研究所リスト
そういうと、芽依ちゃんはスマホのメモ帳に記載した研究所番号と、パスワードの表を見せてくれた。これまで、私が話した内容を丁寧に纏めていてくれたみたいだ。
・プロキオン :F01 神話学研究所
・シリウス :F02 考古学研究所
・リゲル :F03 天文学研究所
F04 宇宙物理学研究所
・アルデバラン:F05 人類学研究所
・カペラ :F06 言語学研究所
・ポルックス :F07 哲学研究所
F08 宗教学研究所
詩は吸い寄せられるように、その画面を見つめ、芽依ちゃんの言葉を待った。
「そう、最後のポルックス。双子座の一等星。カストルという星と双子の兄弟なのだけど、ギリシャ神話を調べていくと驚いたことがあるの。」
「驚いたこと?」
「詳しい神話の話は省略するけど、地上と地界を行き来することが出来るの。」
「え?」
思わぬ言葉に、詩はとまどった。
「ポルックスは元々、神様の子で不死なのだけど、亡くなった人間のカストルに会うために、自分の命をカストルと分け合って最終的に一緒に暮らすようになったというお話しだったの。」
すぐには理解できなかったが、芽依ちゃんの言いたいことは理解できた。この冬のダイアモンドの並びで構成されている一連のファイルの結論は、彼との再会に繋がっているのかも知れないということだ。
芽依ちゃんは、もう一度、言った。
「魔法使いなんだから、何らかの方法を使って本当に戻ってくるかもしれないよ。」
「何らかの方法?」
「そう。もしかして、それを知るのがこの研究じゃないの?」
ティーカップを持つ手が震えた。詩は言葉を飲み、頷くことしか出来なかった。
「うん…」
絶対にファイルの謎を解いて、大切なものを受け取りたい。
詩はあらためて、そう思った。




