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Pomegranate I  作者: Uta Katagi
第3章

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段ボール箱の山

 さて、あらためてリビングに届けられた段ボール箱の山を眺めてみる。未開封の箱が全部で5箱ある。先日の分と合わせると、合計6箱届いたことになる。全ての箱を開封した後、その書籍を整理するための収納ボックスを買おう。そうしないと、どれが何の種類の本はわからなくなる。今度、ネットで発注しておこうと思った。


 いずれにしろ、今日、これを全部開けて読むのはとても無理な量なので、一箱だけ開けて中身を確認することにした。手っ取り早く、一番手前にある箱を開けてみると、一番上に星座の起源という本が入っていた。星が好きだったいっちゃんが持っているのに相応しい本だ。いったい誰がどこで星座を考えたのかとかいう星座の起源など、今まで考えたこともなかったが、興味深かったのでその本を開いてみた。


 その本には、各国の星座の歴史が紹介されていた。書籍を取り寄せたのは、貸金庫の暗証番号に繋がる書き込みを確認することが目的だったが、いつしか時が経つのも忘れて、詩は本の内容を読みふけっていた。


 星座のルーツをたどると古くはメソポタミアの羊飼い達の時代に遡るらしい。その多くが古代ギリシャに伝わって神話になり、現在に伝わっているみたいだ。神話って真実の伝承という言葉を思い出した。


 例えば、いっちゃんが大好きだったオリオン座の起源も歴史で習ったメソポタミア文明の頃に遡るようだ。他にも私たちが、恋愛相談などに使っている星占いの星座の起源も、実はこんな古い時代に考え出されたものらしい。インターネットが普及した21世紀の今も、何千年前の太古の人と同じ星座を見ているなんて、なんかロマンチックだなと感じた。


 そう、この箱の中身は、天文学のコーナーの本、天文学研究所FI/3の参考資料だ。茶室の図書館を入り口から入っての左側の本箱に収納されていた書籍だ。


 茶室の図書館で本を開いたときから気になっていたが、特に古代エジプトの星座の説明の箇所に下線が引いてある。例えば、王家の墓の天井には星が描かれていて、古代エジプトはメソポタミアと並んで星への関心が強かったことが記されている箇所に下線が引いてある。歴史で学んだように紀元前3000年くらいの大昔の話しだ。


 茶室の図書館で目に留まった背表紙にピラミッドの写真が掲載された本の中身は、オリオン座に関する内容だった。その本にはたくさんの書き込みがあり、それらの箇所の下りをざっと読んでみると、ギザの三大ピラミッドの配置が、オリオン座の三ツ星の配置と合致することが証明されたということらしい。


 これは、いっちゃんが私に書いてくれた七日間物語にあったお話しだ。『僕はリゲル、君はベテルギウス』、いっちゃんはオリオン座のことを調べていて、エジプトに関心を持ったのだろうか。それともエジプトに関心があって、オリオン座を好きになったのか。いずれにしろ、詳しくはわからないが、いっちゃんは、星と古代の歴史が繋がっていることを知っていたのだと感じた。


 さらに段ボール箱の本を取り出していくと、ここは天文学のコーナーなので、日の出・日の入りの計算法という本もあった。たくさんの数式が書かれていて、数学的な知識が要求される本だった。


 数学の記号が入った数式にたくさん書き込みがあった。理科と数学が得意ないっちゃんは、これを理解していたのだろうなと思った。


 ある土地の春分の日にどの星がいつ昇るのか、この本の数式を使えば計算できるらしい。そういえば、ピラミッドは正確に天体の動きを考慮して設計されていたようだが、そのためには古代エジプトの神官達はそんな太古の時代にこの天文学の数式を完璧に理解していたということになる。


 コンピュータも発明されていない太古の時代に、どうやってそんな計算が出来たのだろう。神官達は、タイムトラベルでもしていたのだろうか。星に関する数多くの書籍を読み進むにつれて、詩はふとそんなことを思った。


 開封した箱の中にある残りの書籍は、相対性理論やビッグバーンといった科学の本だった。これは、宇宙物理学研究所FI/4の蔵書だ。読み解いていくのに、時間がかかりそうなので、今日の調査はこの辺にしてまた別の日にそれらの書籍を確認しようと思った。そもそも段ボール箱はまだたくさんある。 


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