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Pomegranate I  作者: Uta Katagi
第3章

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書籍の到着

 金曜日の夕方も定時で帰るのは少し気が引けたが、松野さんからもしばらくの間は、残業は控えて欲しいと言われていたので、今日も美紀先輩、菜美ちゃんに退社前に挨拶をして、帰宅の途についた。スーパーに立ち寄って食料品と日用品を買ってから自宅に着くと同時に、昼間に浴びた花粉を落とすために洗面所で手洗いとうがいをした。


 このまま、シャワーを浴びると寝てしまうかもなので、その前に何か食べよう。スーパーで買ったキャベツを切って久しぶりにお好み焼きを作ることにした。食器棚の下段に保管してあった未開封の出汁入りのお好み粉の袋を開けて金属製の小さなボウルに溶かしてキャベツと混ぜ、冷蔵庫にある紅ショウガ、玉子、そしてパック入りの天かすを加えた。


 最後に隠し味として、醤油を少々加えてみる。メインの具材は、予めホットプレートで焼いたコマ切れの豚肉だ。最近はこういう一人用のお手軽料理にも慣れてきた。たくさん出来て余ったら、明日のお昼にでも食べることにしよう。


 横長のホットプレートで一度に2枚のお好み焼きをこてで何回か裏返して、香ばしい焦げ目が出来るまで焼きあげた。すくい上げて順番に丸いお皿に移し、冷蔵庫から取り出したチューブ入りのマヨネーズと関西風という表示のあるお好み焼きソース、そしてパック入りの鰹節と青のりをまぶして完成だ。焼きたての湯気で鰹節がゆらゆらと踊っていて、とても美味しそうだ。


 リビングの方のテーブルにお皿を持っていき、箸で焼き立ての生地をつまみながら、あらためて傍に置いてあったA4の用紙を眺めてみる。サイトにあるファイルの内容を研究所毎に印刷した用紙だ。どの用紙にもレポート番号のリストが記載されている。全てのレポート番号は、WH/FIで始まり、番号形態が統一されている。


 あらためて、ネットでドイツ語を調べると、Forshungsは研究、Instituteはその機関なので、FIは最初に予想した通り、やはりForschungsinstituteの略だと推定した。

 

 そうだとすると、WHもドイツ語の略なのだろうか。そこまでは想像できたが、それが何かはわからない。手掛かりは、参考資料の書き込みにあるはずだと考えるしかない。


 食後にキッチンで洗い物を片付けていると、インターフォンが鳴った。慌てて手についた水滴をふき取り、インターフォンに出ると1Fの管理人事務所からだった。大きな荷物の宅配便が届いたとの連絡だった。待ちに待ったご両親からの書籍に違いない。


 エレベータで1Fに降りて行き、蛍光灯の照明が明るい管理人事務所に着くと顔なじみにしている管理人さんが「湖嶋さん、この荷物ですけど、重いから台車を貸しましょうか。」と言われて荷物を見ると、確かに彼のご両親からの届け物だった。段ボール箱一箱だが、とても持ち上げられない気がしたので、「はい、お借り出来ますか?」と答え、台車を借りることとした。


 1Fと自宅のフロアをエレベータで往復して、自宅に荷物を運び込み、台車を管理人事務所に返し終わると、既に8時を過ぎていた。搬送中、近所の人に会うこともなかったので、荷物のことを誰にも説明することはなかった。


 既に外は暗くて遅い時間だったので、荷物が無事に届いたことを伝えるご両親への御礼の電話は明日にしようと、詩は思った。



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