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Pomegranate I  作者: Uta Katagi
第3章

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六芒星のブローチ

 その引き出しの中にある他のブローチを確認してみると、見覚えのある紋章のような形のブローチを見つけた。くすんだ金属製の光沢で煌びやかではないが、印象的なブローチだった。

 

 これって、六芒星。そうだ、封筒に使ってあった封印の形だ。芽依ちゃんが言ってた。意味は知性の象徴だったっけ。確かにここは知性が要求される部屋だ。


 六芒星の意味、調和と完全。まだ何かが足りないんだ。それにそもそも疑問に思っていたのだが、研究所というからには、いっちゃん一人ではなく、他にも研究者がいるはずだ。そうすると、いっちゃんが一人が全ての文書を管理している訳はなく、他の研究者が研究レポートを所持しているのかも知れない。


 きっと研究者の間に役割があって、いっちゃんは参考資料の管理を担当していたのかも知れない。そうすると、レポートを作成する役割は別の研究者が果たしているはずだ。


 そのヒントが遺されているとすれば、付箋のある参考資料に記載された彼の書き込みだ。それを読んでいけば、その研究者の名前がわかるかも知れない。


 いずれにしろ、いっちゃんが興味を持っていた資料だ。ご両親の言葉に甘えて全部受け取ることにしよう。そう考えて今日、持てるだけの資料を手に取り、リビングに戻りご両親に伝えた。興味がある本がいっぱいなのですが今日はこれだけしか持てないので、また取りに来させて貰いますと告げた。


 そういうと、何度もここまで来るのは大変だし、重たいから宅配便で送りますよとのことだった。詩ちゃんが読んでくれると嬉しいからと、強く薦められたので、恐縮するしかなかったが、ここもご好意に甘えることにした。


 結局、その日は夕方までかかって、ご両親に宅配便で送って貰う本をひたすら本箱から取り出す作業に専念した。書籍の選別のルールは、事前にプリントアウトしてきたサイトに記載されていた参考資料のリストを見ながら、該当する本を本箱から取り出すことと決めた。興味がある本があっても、それはまたの機会にここに取りに来ようと思った。まずは、自分の興味よりも研究レポートに繋がる情報の入手が最優先だ。

 

 選別の作業自体は、いっちゃんの整理が良かったため、割と楽だった。研究所毎のリストに対応するように本箱のコーナーが配置されているので、リストとの照合が簡単だった。例えば、神話学研究所の参考資料は神話のコーナーの本箱に、宇宙物理学研究所の参考資料は科学技術のコーナーの本箱に置いてあった。ただ、量が膨大なため、予想以上に時間がかかった。


 最終的に畳張りの書斎の床に選別した本を研究所毎に平積みで置くと、足の踏み場もない量になった。最後にご両親に送って頂きたい本はこれだけたくさんあることを告げて、料金は着払いで良いのでご送付頂けるとありがたいですと話した。


 ご両親はこんなに多くの書籍を受け取って貰えると思っていなかったようで、詩ちゃんに読んで貰えて樹も喜んでいると感激し、こちらが面倒をかけているのにも関わらず、凄く喜んでくれた。料金のことについては、どちらが負担するかで押し問答になったが、どうせいつかは処分しないといけないからと、先方の支払いで大丈夫ですと言ってくれた。


 いろいろと話し合った結果、その日の内に持ち帰ろうとした神話関係の本も電車で持ち帰るとすると量があり、かなり重たくなったので、結局、全部送付して貰うことにした。そして、最終的にその膨大な書籍の送付については、送る日程も含めて、ご両親のご都合に一切お任せしますと伝えて、日暮れも迫る中、詩は彼の実家を後にした。


     挿絵(By みてみん)


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