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Pomegranate I  作者: Uta Katagi
第3章

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全ファイル開く

 すぐに、起き上がってリビングのパソコンを立ち上げた。先日来、いっちゃんのサイトはよく閲覧するサイトとして、☆のマークで表示されるお気に入りのサイトに登録している。


 ログイン後、あらためてファイルの数を確認した。全部で七つ。確かに六つではないが、最初のファイルはこのサイトへのwelcome messageでパスワードはかかっていない。パスワードがかかっているファイルは残りの六つ。そして、その一つはリゲルだった。

 そもそも、これらのファイルを解凍するためのパスワードはベテルギウスだった。冬のダイアモンドの中心の星!


 だとすると、これまで開けなかった残りのファイルはリゲル以外の冬のダイアモンドを構成する星だ。早速、二番目のファイルにシリウスを試した。

 「S」、「I」、「R」、「I」、「U」、「S」・・・


 『パスワードが正しくありません。』

開かない。何度も見たメッセージだ。


 二つ目のファイルは、開かなかったが、六つのファイルのどれかかも知れないから、気にせずに次の三番目のファイルを試してみる。


 「S」、「I」、「R」、「I」、「U」、「S」・・・


 文書が開いた!やっぱりそうだ。

この6つのファイルのパスワードは星の名前なんだ。ダイアモンドの中央に位置するベテルギウスでサイトにログインして、残りはベテルギウスを取り巻く冬のダイアモンドを構成する星々の名前が、それらのパスワードになっているんだ。


 そう確信して、残されたファイルに、リゲルとシリウス以外の冬のダイアモンドを構成する星の名前でアクセスしていった。


 プロキオン

「P」、「R」、「O」、「C」、「Y」、「O」、「N」・・・

アルデバラン

 「A」、「L」、「D」、「E」、「B」、「A」、「R」、「A」、「N」・・・

 カペラ

「C」、「A」、「P」、「E」、「L」、「L」、「A」・・・

ポルックス

「P」、「O」、「L」、「L」、「U」、「X」・・・


 全てのファイルがこれらのどれかのパスワードで開いた。

 開かれたそれぞれのファイルの中身を見ると、リゲルのファイルと構成は同じだった。それもドイツ語の文章。最初にwelcome messageと研究所名、そしてレポート番号のリストと参考資料。相違するのは、研究所名とその研究所に該当する記号。


 リゲルをパスワードとする天文学研究所、宇宙物理学研究所以外に新たに表れたのは、以下の研究所だった。プロキオンをパスワードとする神話学研究所、シリウスをパスワードとする考古学研究所、アルデバランをパスワードとする人類学研究所、カペラをパスワードとする言語学研究所、ポルックスをパスワードとする哲学研究所、宗教学研究所だ。 


 FIに続く数字が研究所の番号だとして、順番に並べると以下のようになる。どうやら、これが研究部Forshungsinstitute Departementの全容のようだった。


 FI/1: 神話学研究所

 FI/2: 考古学研究所

 FI/3: 天文学研究所

 FI/4: 宇宙物理学研究所

 FI/5: 人類学研究所

 FI/6: 言語学研究所

 FI/7: 哲学研究所

 FI/8: 宗教学研究所

 

 それにしても、驚いたのは、それぞれの研究所のファイルに列挙されていた参考資料の多さ。もし、これらをいっちゃんが所有していたとすると、ご両親が言った通りの床が抜けるほどの本の量になることが予想された。町の図書館でも、これらの特定のテーマに対してこんな充実した蔵書は保有していないはずだ。


 これだけの研究所の資料をいっちゃんが本当に所有していたのだろうか。それとも、誰か他の人と共有していたのだろうか。そうであれば、その人達はどうしているのだろう。もしかして、その人達の連絡先が貸金庫の中の大切なものなのかな。そもそも、彼は研究所の中でどういう立場だったのだろうか。今更ながら、様々な疑問が脳裏をよぎった。


 やっぱり、彼の両親のところに行ってみよう。もしかしたら、参考資料だけでなく、研究成果を纏めたレポート自体がそこにあるかもしれない。このファイルはそのレポートの単なる目次に過ぎないのかも知れない。彼は私にそのレポートを確認させるために、このフォルダを作成したのかもしれない。


 そして、そのレポートには大切なものに繋がる情報、新しい世界への扉を開くための情報がそこに書かれているはずだ。ここまで考えて、この日はフォルダの探求を終えることとした。


 だがこのときもまだ、これが壮大なロマンの入り口に過ぎないということを、私は理解していなかった。


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