ポニーテールの芽依ちゃん
「あ、ポニーテールにしたの?芽依ちゃん、可愛い!」
「このところ、梅雨入りで蒸し蒸しして暑いからね。」
ここは、いつもの欧風のカフェ。先日の電話以来の芽依ちゃんとのお茶会だ。確かに今日は暑いので、詩はアイスティを注文した。
「そういえば、芽依ちゃん、昔、巫女さんのアルバイトしてたと言ってたよね。」
「うん、そうだよ。近所の神社だけどね。今でも人手が足りないとき、頼まれるけど、もう歳だからね。そろそろ、引退かも。」
「何をいってるのよ、まだ若いじゃん。全然大丈夫よ。それにしても、芽依ちゃんの巫女さん姿って、可愛いだろうな。」
詩は、その姿を頭の中で想像してみて、テーブル越しの芽依ちゃんに微笑みかけた。
「え、いきなり何?私を褒めても何も出てこないよ。」
「だって、芽依ちゃん、ポニーテール似合うし。」
「巫女はポニーじゃないよ。もっと耳から下で髪を括るのよ。」
「あ、あれはポニーじゃないんだ。」
そんな会話をしながら、詩はいつも的確なアドバイスをしてくれる芽依ちゃんこそ、可愛い使者ではないかと勘繰っていた。だって、巫女って可愛い上に神様に近い存在だ。
「そんなことより、今日は例の話の続きを聞かせてくれるよね。」
芽衣ちゃんが、本題の話しを聞いてきた。
「うん、もちろんよ。順番に話すね。実は、凄いことになって来たのよ。」
貸金庫の秘密を共有化して以来、秘密結社のスパイになったような気分で、この会合は二人のテンションが上がる。芽依ちゃんも前のめりになって、詩の話しを聞く態勢に入った。
今日の日に備えて事前に十分に整理した内容に基づいて、詩は順を追って話すことにした。貸金庫を開けてからの内容が盛りだくさんで、どこから話すかもポイントになりそうだったからだ。
まずは、貸金庫にあったファイルのことを話した。先日の電話の際、ファイルのタイトル名は伝えたが、それ以上のことを話すのは今日が初めてになる。二つのファイルの一つは真理のファイル、詩は最近これを「真理の書」と呼んでいる。ファイルという表現ではもはや軽々し過ぎるからだ。そして、もう一つはその真理の書に引用されている参考文献を纏めたレポート集であることをあらためて芽依ちゃんに伝えた。そして、そのレポート集は彼の実家にあった膨大な書籍の情報を8つの研究所が調査分析したものであることを話した。
芽依ちゃんは、話の冒頭から興味深々の様子で、更に身を乗り出してこう聞いてきた。
「そんな風になっていたのね… それにしてもその真理の書って、いっちゃんが知ったというこの世界の真理が書いてある文書だよね。その内容を理解すれば、詩ちゃんといっちゃんがずっと一緒にいる方法がわかるんだよね。ねえ、中を見てみた?何が書いてあった?」
詩は、落ち着いてこう答えた。
「もちろん、中を見てみたけど内容が難しくて、私もまだ全容を理解できてないの。でも、わかる範囲で説明するから聞いてね。真理の書は四つの面と八つの稜の章に別れているの。」
「え、何それ?どういうこと?」
当然の疑問だ。私もどういうことか知りたくて、今日は物識りな芽依ちゃんに話して、彼女の意見を聞こうとしている。




