転校生
1ヶ月も放置してすいませんm(_ _)m
ただし更新ストップだけはしないのでどうか見捨てないでやって下さい。
校長の変なボケに蒼井が付き合っている頃に……。
「ここが江木常……」
1人の少女が校長室の椅子に腰掛け天井を見上げていた。
ふと、紫色の髪を揺らして机の引き出しを開くと、余りにマニアック過ぎて誰も知らないであろうメーカーの煙草がズラリ。
「腐っているな」
静かに呟き、瞳を閉じた。
―――
「おい、終わったぜ」
未だに怒りが収まらないのか、蒼井と盛大に喧嘩を繰り広げている校長へと大牙が声をかける。
「ご苦労」
校長もそれにはしっかりと返事をするが、蒼井への攻撃が止まない。
アッパー、踵落とし、エルボー……なんでもありの試合らしいが、結局煙草で損なわれた健康が左右してか、最終的には蒼井の拳でプールへと叩き落とされた。
「テンメェー! 水のはってねぇプールに叩き落とすとか殺す気か!?」
「殺す気だよ!!」
ファッキングポーズで互いを罵り合う。
なんだこの人達、もう教師と生徒の関係じゃねぇよ。
「いい加減にしなさいよ」
麗歌、余りのうるささにイライラがピークに達したのか凄まじい速度で蒼井と校長の脇腹に手刀を放つ。
「ぐっ、ふ……ぅ」
「おが…………」
―――
紫髪の少女は歩いていた。
煙草は見なかったということにして、今度は屋上を目指している。
何せ明日からお世話になる校舎。自分の気に入りの場所を探すのは悪いことではない。
「……んだよ」
「……な!」
ふと、耳に入るのは汚い言葉と打撃音の数々。
打撃を通り過ぎ、ガラスの割れる音まで聞こえてくる。
さて、ここで質問。自分が静かにしたいとき周りにウルサい奴がいたらどうするだろうか?
最低限イライラする。
(高校生活の危険分子を取り除いておくか……)
屋上での読書を考えれば心は踊る。
ウルサい奴に気持ちは憤怒する。
――響きの良い音をたてて、会議室の扉を開ければ……
「煙草って言えばmacadamiaだろ!」
「だーかーらーそんなメーカー知らねぇんだよ!!」
なんか下らない内容で喧嘩してました。
勿論、蒼井と校長が。
「こ、校長……」
「その腐った脳みそでもいい加減理解しろっ! タコ」
「腐ってんのはテメーだろ! ボケ」
頭が痛くなってきた。
何が悲しくてこれから過ごす高校の裏の顔など見ているのだろうか。
別に辛くもなんともないのに目頭が熱くなる。
憐れみってこういうことを言うんですね。
―――
打撃音が続くこと582回。いい加減にしろよこいつら、無意識に呟いてしまった少女に、漸く華蓮が気付く。
「あの、失礼ですがどちら様ですか?」
「む、お前はここの生徒か?」
「そうですけど」
「漸くまともな人間に出会えた。私は糖胴 恋有夜転校生だ。
宜しく頼みたい」
丁寧な華蓮、それに合わせるように少女――恋有夜も答える。
「ん? 糖胴ちゃんじゃないか」
互いを罵り会うことを止めて、漸く校長も恋有夜に気付く。
「紹介するな。この夏から転校してくる糖胴恋有夜ちゃんだ」
事実は小説よりいきなりとは良く言ったものだ。