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江木常来訪者

校長が校舎の真ん中でぷらぷらしている頃――花咲蒼井を筆頭とする集団は割と真面目にプール掃除なんかをしていた。

何故なら彼らは暇だからだ。

無駄に暇なのだ。

暇人の鏡と言える程に暇なのだ。

クドいようだがもう一度言おう、暇なのだ。

かと言って、麗歌と大牙以外は全員かなり頭の良い集団なのだ。家に帰って机に散らかした教科書を開いたところで、昆虫図鑑の中身が全部カブトムシ状態。

とっくの昔に全てを理解してしまっていて別の意味で勉強が手につかない。

それならば、せめて他の生徒のために、この緑色の液体の支配する鴨の住処、もといプールを掃除しておくのも悪い話ではない。

排水を行い、プールサイドも含むプール全体をデッキブラシでくまなく磨く。

割と骨の折れる作業だ。と、ここで蒼井が呟く。


「まもなく掃除を始めて1時間。12時になりますよ~」


その言葉と共に全員がデッキブラシを投げ出し、双眼鏡で少し離れた校舎の時計を覗く。

相変わらず短針から垂れた縄の先で校長がぷらんぷらんしているだけだが、勘の良い第三者は気が付くだろう。

12時ジャスト! 長針は短針に追い付き……


「あら? あらぁあぁあぁぁああ!!」


鋏の要領で校長の吊された縄が両断された。


まるで処刑のように慈悲がなく、綺麗サッパリと両断された縄と校長は、重量に従い徐々にスピードを上げながら落下する。


「やっぱ瞳は考えることが違うわ~」


それを見ながら、麗歌は計画を立てた瞳に歓喜の声を上げる。

勿論、蒼井達もそれには賛同する。

素晴らしく計算済みの完全犯罪(?)だ。

とは言え、校舎からあのスピードで落下すれば並の人間でなくとも助からない。

即死してしまう。


「あれ、死なないよな?」


流石に心配して大牙が瞳に声を掛ける。


「大丈夫……馬鹿には慈悲をかけてる」


そんな言葉の後だった。季節に似合わず校長の落下地点から大量の落ち葉が舞い上がったのは。



―――


「お前らは校長を何だと思ってるんだ!?」


無銘のメーカーが生産した煙草をふかせながら、校長は蒼井達に詰め寄る。

悲しいことに落下の衝撃を吸収してくれた落ち葉が未だに頭についているが、それも気付いていないのだろう。


「ぷ……変態、くく」


必死に笑いを堪えながら麗歌が答える。


「花咲、今年はお前がプール入った途端に電流を流すからな」


もう一度言う、“麗歌が”答える。


「何で俺!?」


当然蒼井だって驚愕だ。よもや自分に来るとは想像もしなかった。


反論は無駄だと知りつつも試みてみる。


「可愛いおにゃのこ傷つけられるか?」


残念校長は末期だった。


「てか、どうやって電流流すんだよ?」


聞いては居られない。慌てて話題を変えてみる。

後ろを振り向けば、女性陣が全員引いている。

と言うか、大和撫子代表な華蓮にさえ引かれる校長って一体。


「それは、俺の常人の倍以上の雷を発生させる細胞を全て直列に繋げてな……」


「校長、知らなかったぜ。あんたは脳内に寄生虫を飼っていたんだな」


この日、校長は変態だということ以外に、彼は水中だと永久に生きていける生物だと言うことが判明してしまった。

作者のぼやき


アスラク○インのヒロインって凄いよね……まさかヤクザの頭の娘なんて……


~end~

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