ガンANDガール
更新が、かなり遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
なんとか生きています、作者の光沢を持つこんにゃくです。
リアルの都合上、これからも更新は不定期になってしまいそうですが、これからもどうか宜しくお願いします。
玄関の扉。その冷たい鉄製のドアノブを回せば、太陽の明るい光が玄関へと差し込んできて。
その光に、一瞬だけ目を細めるが、直ぐに見開く。敵、敵がいるのだ。警戒しなくてはならない、と蒼井の本能が警鐘を鳴らす。
「お前か、花咲蒼井って――のは?」
太陽光を背に受けながら、そこに立っていたのは女だった。
長い桃色の髪は艶やかに輝き、整った顔立ちに目つきの悪さはやや不釣り合いに感じた。だが、何よりも目の前の女性に不釣り合いなものは、女性の背負っている棺桶だろう。
蒼井のいる角度からは、その棺桶の細部までは見て取れないが、人1人は確実に収納することの出来る――つまり、本物だ。
「勝負をご希望?」
しかし、そんな得体の知れない女性にも怯まず、寧ろ落ち着いた口調で蒼井はそう尋ねた。 自分でも驚く冷静さは、事前に恋有夜と話していたからだろうか。
「あー、話が早いのは助かるがね……お前さん、重要なことぉ1つ忘れてるのがわからねぇか?」
女性も至って冷静だ。少なからず、これから闘いの始まる気配が漂っているというのに汗一つ流さない。それどころか、彼女の腕が腰に回る動きすら空気の流れを変えていないのではないかと錯覚する。 空気より、優しい慎重に重く動く彼女の腕は腰に下げられていた、西部劇のガンマンが下げているようなホルスターに向かう。しかし、中身は少し離れた蒼井からもしっかりと確認が出来る。空だ。 まるで中身をどこかに落としてきたように、留め具の外れたそれには何も入っていない。
「先ずはお前さんが、花咲蒼井かどうか答えんのが先だろぉ?」
しかし、拳銃は現れた。種類やら特徴やらは蒼井からすれば一切分からない。ただ、銀色の巨大な拳銃のその穴が自分を睨む。
「悪い悪い。そうだったな、俺が花咲蒼井だ」
それに臆すわけではない。彼女の能力はテレポーテーションの応用なのだろうと、推察すれば黒桜を握って。
「じゃあ、改めてこっちの質問に答えて貰おうか? 美人のお姉さん」
その堅く無骨な日本刀は、蒼井に何とも言えない心強さを覚えさせ、軽口まで叩かせた。今の蒼井に、これほど頼りとなる武器はないだろう。
「美人かどうかは別として、飛ェ島アスカだ。お姉さんなんて呼ばれ方、気持ち悪くてかなわねぇ。ご察しの通り、“勝利”希望だ」
一方で、飛ェ島アスカと名乗る女性も、手に握る銀拳銃に相当の自信があるのだろう。“勝利”と言い切った。
しかし、当然だろう。それに蒼井は良い顔をしない。
「飛ェ島さん、それは難しいと思いますよ?」
言葉を返す。お互いに自分の勝利を信じて疑わない。
やがて、先に動いたのは飛ェ島だった――。強烈な踏み込みの後、体を屈めば丸くなり、銃弾を警戒していた蒼井に頭から体当たりを仕掛ける。が、勿論そんな攻撃が本命なわけはない。体当たりを横に回避した蒼井は、そこで初めて気がついた。
彼女は拳銃を2丁持っている。
それを、腕をクロスさせる形で左右両方をカバー出来る冗談にしての体当たりだ。 拍子抜けな攻撃を避けて、油断している敵は恰好の的。
「っ――、ぐ」
拳銃は容赦なく吠えた。吐き出された銃弾は、蒼井の胴体に命中。 一瞬の内に血の噴水を作り上げた。
「らぁっ――まだ終わりじゃねぇ!!」
思わず傷口を抑えた蒼井に、2つの銃口が向けられた。