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不思議は続くから不思議

もう、あれです。このままじゃペースダウンも良いとこなので2週間に1回は更新します! 決めました。

そして、今まで本当にすいませんでした!

あれは一体なんだったんだ? コンクリート製の壁を容易く2枚ぶち破り、マンションの7階から飛び降りても無傷。

そしてなにより、蒼色の雷に姿を変えた自分。


気になることは山ほどあるが唯一確信できる、あの能力に恋有夜が関わっている事実。不思議なことにあの晩からは、恋有夜の姿を見ていない。


「別に逃げたわけでもないだろうし」


逃げる理由は見つからない。


「火災に巻き込まれてもないだろうし」


焼死体も見つかっていない。


「不思議だよな」


ただ1つ、言えるのは


「ごはん♪」


幼女を拾ったということ。


―――


「はいよ」


優しい声で食器類を渡すと、目の前の幼い少女は笑みを浮かべて料理にガッツき始める。どこか恋有夜に似た雰囲気のある少女だが、まさか同一人物などということは万に一つも考えられない。

というか、同一人物などという考えにさえ、今の蒼井は気付いてすらいない。アレ以降出せなくなった蒼い稲妻、そちらに思考を回し過ぎて少女のことなど二の次になってしまっているのだ。


「おいひぃ~」


美味しい、と言ったのだろう。少女はまだ口にトーストを詰めたまま蒼井へと味を告げてくれる。正直、それは負担というものだ。今は優しい蒼井も、もともとは喧嘩三昧していたロクデナシだ。少女の感想よりも、寧ろ目を引いてしまうのはその口から落ちるトーストのカス。


(あ~あ……後で掃除機かけねえと)


もともとがロクデナシな分、蒼井は思考で他人に優しく接することが多い。出来た人間とは違い、本能ではなく「今、可哀想だろうから励まそう」と思考を巡らせてから蒼井は他人に優しく接する。

そういう、やはり本能しか持たない“何か”を持たない蒼井には、首を絞められるものがある。

――背徳感だ。

惨めだから接してるような、全力で困ってる相手に全力を持たずぶつかる感覚。それが爆発して蒼井は、もっと、もっとと深く思うのだ。

――もっと優しくと。

だからこそ、今回も蒼井は優しく少女の頭を撫でている。

やはり、背徳感は拭い去れなかったが、それでも出来る限りの優しさを少女に与えてから家を出た。


―――


不思議とは続くから不思議。そんな感じのことを小学生の頃に先生に向けて放ったら、案の定笑われた。だけれど、今でも、やはりその通りだろうと思う何時もの通学路。

林の脇を通る登り道。右を向いてみればそこには太陽光を反射する巨大な鏡のような大海原が広がるいる。美しい。昨晩の、稲妻のよう……。


(取れねぇ)


一度、悩み始めると忘れていてもフとした拍子に思い出してしまう。今の蒼井には、稲妻や恋有夜のことが心に染み付いた汚れでしかなかった。


ざわっと、海とは逆方向の林が揺れた気がした。いや、確かに揺れた。頬を風が触っていったのは数秒前。それだろう。


「花咲、蒼井様ですね?」


違った。


黒色のドレスにシルクハット、サングラスをかけた、金髪で長身の女が蒼井の前に現れた。

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