みんなのゆめのなか
ぼくはまほうつかいだ。
どんなまほうがつかえるかって?
ふふふ、それはね。
だれかのゆめのなかにはいれるまほうさ!! かぞくやともだち、だれのゆめにでもはいれるんだ。
よるになったら、ふとんにもぐってめをつぶる。
そうすればあっというまに、だれかのゆめのなかへといけちゃう。
おさななじみのみくちゃんのゆめのなかは、いつもたのしい。
このまえは、おかしでできたいえのゆめをみた。
ぼくたちはふたりでぜーんぶたべちゃったんだ!!
そしたらとってもこわいまじょさんがやってきたんだけど、みくちゃんがすっごいおおきなかぜをふかせてふっとばしてくれたんだ!!
おとうさんのゆめのなかでは、いつもだれかにおこられてる。
ごめんなさいごめんなさいってあやまりつづけるおとうさんは、まるでちいさなこどもみたいだ。
だからぼくはいつもぎゅっとだきしめて、だいじょうぶだいじょうぶっていってあげる。
そうすると、おとうさんはにっこりわらってくれるんだ。
おかあさんのゆめのなかでは、いつもぼくとおとうさんとおかあさんのかぞくみんながでてくるんだ。
でもさいきんは、そこにもうひとりでてくるようになったんだ。
そのこはぼくよりもずっとちいさなあかちゃんで、とってもかわいいんだ。
そういえばおかあさんがぼくにもうすぐいもうとができるっていってたから、もしかするとそのこはぼくのいもうとなのかも。
みんないろんなゆめをみる。
たのしいゆめだけじゃなくて、こわかったりかなしかったりするものもある。
でもゆめのなかなら、みんななんにでもなれる。
あ、ちがうや。
ゆめのなかじゃなくても、みんなきっとなんにでもなれるんだ。
でも、みんななりたいものはひとつじゃないから。
なりたくてもなれなかったものに、ゆめのなかでなるのかもしれないね。
きょうもぼくは、みんなのゆめのなかでなりたいものになっていく。