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第一話 転移

「我が帝国の為に!!」


既に周りは部下とワーム型エイリアンの死体で地面が見えなくなっていた、その中を唯一立ち自らが所属している遍く銀河を征服し黄金の如く輝き繁栄している人類帝国を讃える文言を叫ぶ彼も無事ではなかった。


左腕は引きちぎりられ、彼が装着している大きくそして強大な力を持つ装甲服ですら大小様々な傷が付き脇腹には折れた牙が生々しく突き刺さっていた、人型の戦車とも言われ事実帝国の主力戦車や汚らわしいエイリアンどもの主力戦車すらも対等以上に戦える『機動戦闘服(アーマード・スーツ)』がだ…


この血生臭い銀河では彼等人類そして帝国の飢えた剣或いは帝国に仇なす敵を討ち倒す弾丸とも言われ最新かつ最高峰の装備を身に纏う『帝国海兵隊インペリアル・マリーン』ですら苦戦を強いられている。


それ程までにこの銀河は強大な敵に満ち溢れているのだ。


そして…彼の眼前には増援のワーム型エイリアンが地平線を覆い尽くすほどの軍勢で現れた。


エイリアンがこの植民惑星に現れたのは約一ヶ月前、襲来の報を聞きこの惑星に植民地防衛隊、帝国陸軍、帝国海軍、帝国海兵隊等の戦力を集結しその一ヶ月後には集結した帝国の戦力はほぼ壊滅し残ったのは海兵隊の僅かな中隊のみとなった。


増援は数週間前に送ったが、各方面に戦線を広げている帝国が果たしてこの惑星に送るかどうか。


「我が魂は帝国そして陛下の元に!!」


彼…海兵隊第78中隊『ハウリング・ウルフ』の唯一の生き残りで中隊長の彼はエイリアンの死骸に突き刺したままの剣を引き抜き構えた、隣で立ちながら死んだ中隊騎手が持つ偉大なる中隊旗がはためく。


それを一瞥しニヤリと笑いながら大軍に向け駆けた。


力の限り戦い腕が無くなるまで剣を振い続け、途中援軍が到着した事すらも気づかず戦い続けた彼は、地平線を覆い尽くす程の夥しいエイリアンが全て死んだ彼は仲間に支えられながら自分の中隊旗の場所まで行きそこで力尽きた。







力尽きた筈だった


「アリエル様転移成功でございま……鉄の巨人!?」


「慌てるな転移で気絶してる…ふん、物々しい鎧を着てるが転移如きで気絶とはな…しかしステータスも低いしスキルもない…見掛け倒しの役立たずめ、まぁ良いその方が楽しいしな…いつも通りその男を檻に入れておけ」


ニヤリと高価な皮椅子にふんぞり返り部下に横たわりピクリと動かない彼を運ばせた彼女の名はアリナ・リーニャ、かつて『魔導帝国』に使えた上級魔法使いであり『獄炎の魔女』の二つ名を持ち、帝国魔導士が召喚した上級転移者と共に戦っていたが次第に国はアリナ達よりも転移者を重宝し始めそれと同時に彼女達は冷遇されていった。


かつての誇り高い帝国魔導士の姿は既になく、今はこの低級転移者を召喚し殺し合せ帝国民や貴族達を楽しませるコロシアムの冷酷な経営者かつ転移者の処刑人であった。




「やぁやぁやぁ皆様おはようこんにちはそれともこんばんはかな?」


シンと静まり返るコロシアムの通路を陽気な声を響かせながら一人の少女が歩いていた、人間の子供程の背しか無い彼女だが人よりも長い耳がある通り彼女はエルフと言う非常に長い年月を生きる種族であり、それにより彼ら彼女らは後世に自分が見た歴史を伝え謡う吟遊詩人になる事が多い。


彼女は生意気そうな顔付きで明らかにこの次元に住む住民ではない者に向かって語り掛ける。


「それにしても相変わらず辛気臭い場所だなぁ、君達もそう思うだろ?んっ?思わない?来るのが初めて?んふふ…それもそっか」


ウキウキとステップを踏みながら彼女は目的の場所に辿り着きわざと大袈裟なお辞儀をして挨拶をした。


「やぁやぁやぁ転移者君…いや遍く銀河の住民君とでも言おうかね?そして彼のお世話係のアリア・アーシェイド君お元気かな?」


「しっシーニャ様!?」


彼にこの世界そして様々な事を教える様に命じられ一時的に彼の世話係になったアリア・アーシェイドは彼女の姿を見て驚愕した声を荒らげた、それもその筈だ目の前にいたのはかつて魔王を倒した『転生者』の一人で生きる語り部『シーニャ・ハロリン』その人であったからだ。

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