#62・ルナの結末 ③
「失礼します」
隣に座る。
「・・・・」
「・・・・」
無言の時間が流れる。
なんでここに呼ばれたのかさっぱり分からない。
サイラス様の横顔を見ても、彼が何を考えているのか分からない。
「ーーーーールナ」
「はい」
「君の処罰についてなんだけど」
「!」
やっと、私の刑が決まったのか。
絞首刑か、斬首か。それとも火あぶりか。
どれでもいい。この生に終わりが迎えられるならば。
サイラス様は、わたしに体を向ける。
わたしも姿勢を正してサイラス様を真正面から見た。
「ーーーーこのままじゃダメかな」
「ーーーえ」
「このまま、私の花嫁として側に居るんだ。それじゃ、ダメか?」
一瞬、サイラス様が何を言っているのか分からなかった。
后として、側に居る。
つまり、レジナのままでいるということ?
「ーーーーそれは、難しいです」
「ルナ」
「わたしの目的は、初めにお話しさせて貰ったと思います」
自分の国の滅亡と父への復讐。そして、自らの生を終わらせること。
「わたしは、早く死にたいんです。どんな刑でもいいんです。お願いですから処刑してください」
「ルナ、私は、」
「式は挙げていないんです。わたしは病気かなにかで死んだことにすれば、サイラス様には迷惑をかけることはないかと思います。それから新しいお妃様を」
「っ」
「もう、わたしはレジナではいたくありません。ルナとして最後を迎えさせてください」
お願いします。と願いを込めてわたしはサイラス様に頭を下げた。
サイラス様がどんな表情でわたしを見ているかは分からない。
「ーーーー君は、残酷だ」
「え」
「自分の事ばかりで、他の事には全く気を向けてくれない」
顔を上げると、寂しそうな、哀しそうな表情。
なんで、貴方がそんな表情をするのですか?
「なんで、死ぬことばかり考えるんだ?君を苦しめていた父も姉妹も国も君が望むようになくなった。これからは、自分の人生を幸せに過ごすことを考えてもいいじゃないか」
自分の人生?幸せに過ごす?
わたしには、その考えには至らなかった。
「ーーーわたしは、元々望まれて生まれてきたわけではありません。今までほとんど部屋に閉じ込められて過ごしてきました。生きる楽しみも幸せも何も分からないまま。そんなわたしがどうして自分の人生の幸せを考えることができるでしょうか?」




