#61・ルナの結末 ②
寝て、起きて食事をして城医に診て貰って・・・を三日続けた頃。
わたしの体調は問題ないとお墨付きを貰うことができた。
ベッドからも出ることができ、部屋の中なら自由に歩き回れる。
この三日間、サイラス様はこの部屋には来なかった。
きっと事後処理で大変なんだろうなと推測される。
やることは山積みだろうから。
それに、一緒に寝室で過ごしていた時と今はもう違う。
ーーーコンコン。
「はい」
「失礼します」
ノックの返事をして、ハンナが入ってきた。
「今日は、お加減はいかがでしょうか?」
「大丈夫です。お医者様も大丈夫とのことです」
「安心致しました。実は、サイラス様よりお誘いが来ております」
「?お誘い?」
「はい。調子がよろしければ、外に一緒にどうか、ということです。体がキツい様子でしたら、そのままお休みされてくださいとのことです」
ーーーサイラス様から、侍女を介しての誘いは初めてじゃないだろうか?
いつもは、サイラス様自身が部屋までやってきて色々と連れ出してくれていたのに。
(ーーーー何、わたし、当たり前じゃない)
これが、本来あるべき姿なのだ。それに、わたしは罪人の娘だ。尚更、国の国宝である皇太子様を危険な場所に送る事なんてしないだろう。わたしは、死刑を待つ身なのだから。
「どうかされましたか?」
「あ、いえ、分かりました。行きます」
決して、サイラス様がここに来て誘ってくれないことに寂しさなんて感じてなんか、いない。
ハンナに身支度を手伝ってもらってから、わたしは久し振りに部屋の外に出た。
外は、天気も良くておでかけ日和。
そよ風が頬を優しく撫でていく。
日焼けしないようにとハンナから日傘を受け取って、わたしはサイラス様がいるという所に向かう。
サイラス様は、城の中庭にある噴水の近くのベンチに座っていた。
遠くから見てもすぐに分かる。
綺麗な人は、どこから見ても綺麗だ。
サイラス様は、噴水に流れる水を眺めてみるようだった。
わたしが少しずつ近づくと、人の気配を察知してサイラス様は顔を上げる。
「ーーーールナ」
「っ」
優しい、声。
久し振りに聞く声にわたしはドキリとした。
どういう意味のドキリかは、分からない。
「来てくれてありがとう」
「いえ」
「調子はもう?」
「はい。大丈夫です」
安心した、とサイラス様は、ベンチに座っているその空いている横に座るように促してくれた。




