#59・ルナの結末 ①
「ーーーーーサイラス様」
「うん?」
「ありがとうございました」
頭を下げると、サイラス様は、ソッとわたしの肩に手を置く。
「これで、目的は達成されたよね?」
「はい。すごいですね。戦争をせずにビクトール国を無くしてくれるなんて・・・」
流石、大国だ、と思った。
わたし一人だけではどうにもならなかっただろう。
今回のことだって、サイラス様がいい人だったからこんな形で終わりを迎えることができたが、もし、ビクトール国王と同様に自分たちのことしか考えていない傲慢で強欲な人たちであったならば、わたしは偽物として嫁いできたあの日にはこの世にはいなかっただろうし、戦争も起こっていたことだろう。
「ーーーーまぁ、元々目はつけていたからね」
「そうだったのですね」
「まぁ、結果は良しとして、とりあえずは体をゆっくりと休めて」
優しく言ってくれるサイラス様。
わたしは、姿勢を正してサイラス様をまっすぐ見つめた。
「サイラス様。」
「?なにかな?」
「国と父達のことは終わりましたーーーー次は、わたしの番です」
「!」
サイラス様が口元をひくつかせた。
綺麗な顔で渋面を作る。
「ーーーーー忘れてなかったんだね」
「忘れるわけがありません。わたしはいつ、死刑になりますか?」
すると、サイラス様は深いため息をついた。
「とりあえず、体調を良くしてから」
「なぜでしょうか?死刑になるなら体調などどうでもいいはずです。絞首刑でも斬首でもなんでもわたしは受け入れます」
「ーーーールナ」
低い声。サイラス様の声が急に低くなったので、わたしは驚いた。
サイラス様を見ると、機嫌が悪いように見える?
機嫌を損ねてしまった?わたしが?一体どうして?
「サイラス様?」
「ーーーー今は、寝て。体を休めるんだ」
「でも、」
「いいね?キミのその話はそれからだ」
そう言ってサイラス様は、これ以上は話をしないとばかりに立ち上がると部屋を出て行ってしまった。
出て行くときに大きく音を立てて閉まったドアに、サイラス様の今の感情が見えた気がしてどうしてか分からないまま、わたしは、仕方なくベッドに横になったのだった。




