#57・ビクトール国の終末 ①
「ーーー何か、勘違いをされているみたいだが」
「え?」
「ペラペラとよくもまぁ偽りばかりを・・・貴方の所業は全てこちらには知れ渡っています。もちろん、私の父も母もね」
「!」
「小国が大国を欺こうとしていたんだーーーどうなるか貴方は分かるはずだ」
「っ、何を!だから、儂は!」
なおも言い逃れを計るビクトール国王だったが、サイラス様は、ため息を一つ吐いてから腰に差していた剣を抜いた。
輝く刀身、その切っ先がビクトール国王の首に添えられる。
「ヒッ」
「自分の欲に吞まれた結果ですよーーーー。一つだけ、ここにいるルナ嬢に何か言うことがあるでしょう?」
「?ルナ?」
わたしの名前を聞いても、ビクトール国王はピンとはきていない。
わたしの名前など、この人にとってはその程度のことで。わたしの存在すらも体の良い駒だった。
分かっていた。初めから分かっていたことだったのに、どうしてわたしは傷ついているのか。
「ーーー偽物の花嫁としてきましたが、貴方の娘でしょう」
サイラス様の言葉に、ビクトール国王は、あぁ、と納得いったように声を出す。
そして、サイラス様の後ろにいたわたしに目を向けると、ギロリと睨み付けた。
「ーーーーーー全く、役に立たなかったな」
「っ」
「何のためにお前を使ったと思っているのだ?」
開き直ったかのようにビクトール国王は、冷たく言い放つ。
「それより、ちゃんとその体を使ったのか?大国の後継者の子は身籠もったのか?男児でなければいけないぞ、男児でな「ーーーー黙れ」」
低い声と共に、ザクッと剣が刺さる音。
そして、
「ぎ、あぁぁぁぁl!!!」
サイラス様の剣が、ビクトール国王の膝を貫く。
まさか刺されると思っていなかったビクトール国王は、床に転がり痛みにのたうち回る。
「ーーーー連れて行け」
サイラス様は近くにいた騎士に指示を出す。
騎士達は直ぐに行動を起こし、転がるビクトール国王の両脇を抱えて小屋から出て行った。
サイラス様は、残っていた騎士に目配せをする。
意図を読み取った騎士は、魂が抜けたようにぼんやりとしているレジナを連れ、小屋を出て行く。
「ーーーールナ」
サイラス様が、わたしの側に来た。
片膝をついて、わたしと目線を合わせるように、その表情は、先ほどとはうって変わって哀しそうに見える。
「サイラス様」
「ーーー痛かったね」
ソッとサイラス様の大きな手がわたしの頬に触れる。
城医と城看師の人は、小屋から出て行っている。
小屋にはわたしと、サイラス様の二人。




