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#50・愚姉の謀




「ーーーーー皇太子は、急遽隣国に出張に行くことになったみたいです」



淡々とオルガーが私に報告する。

本来だったらオルガーが使うはずだった部屋のベッドに寝転がっていた私は、上半身を起こした。



「急遽出張?式の前に?」


「なんでも、どうしても緊急で対応しないといけない案件らしく、渋々行かれたそうですよ」


「へぇ・・・」



と、言うことは、あの子の側にサイラス様はいないということ?

本格的に体を起こして足を床に付ける。



「花嫁は、部屋に籠もって出てこないみたいです。部屋の前には護衛が二人いますが、二人ともいなくなる時間もあり、今なら容易く動くことができるかと思われます」


「!まぁ!」



なんということでしょう。

もしかして、神は私の味方をしてくれているのかしら?

神ですら、サイラス様の本当の花嫁は私がふさわしいと思ってくれているに違いない。

じゃないと、こんなおいしい状況にはならないものね!



「ふふっやっぱり、私はサイラス様の妻になるのよ」



ベッドから立ち上がってオルガーの前に立つ。

オルガーは、表情の無い顔で私を見下ろす。

本当なら、主である私より高い位置から見下ろすなんて許さないけど、今日は気分が最高にいいから許してあげるわ。



「で、護衛がいなくなる時間は?」


「ちょうど、30分後ですね」


「そうなの、じゃあ、早速準備しなくっちゃ」



鼻歌を歌いながら、私は支度を始める。

時計はまだ正午を過ぎて日が沈む前。

明るい内に動けるなんて嬉しい。

暗くなると色々と面倒だものね。



「今からの予定を聞いても?」


「あぁ、そうね。貴方には頑張って貰わないとね」



私は、支度をしながらオルガーに計画を話す。

計画は、至極簡単。

あの子を部屋から連れ出すだけ。



「どうやって?」


「うーん、眠らせることができたら一番良いわよね」


「眠らせることは簡単ですが、どこに連れ出しますか」


「そうねぇ、分からないように城の外に出られる場所って無いのかしら?」


「たしか、業者だけが入れる門が城の裏側にあったかと。午前中しか使われないのでそれ以外の時間は人は寄りつきません」


「まぁ!素敵ね!じゃあ、そこから連れ出しましょう」




とんとん拍子に計画が決まっていく。

なんと、スムーズなこと。



支度を終えた私は、バレないようにフード付きの目立たない色の外套を身に纏う。そして、こっそりと持ってきた小さな鞄を持った。



「オルガー、私をその門に連れて行った後に、あの子を連れてきてくれる?」


「了解しました」


「あぁ・・・これで、在るべき形に全てが戻るんだわ」



恍惚とした笑みを浮かべていた私は、冷めた目で私を見るオルガーに気づくことも無かった。




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