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#48・サイラスとルナ ②




「ーーーー私は、パーティー客でもないし、親は知らない」


「え?じゃあ、なんでここに?」


「知らないーーー生まれてからずっとここだから」


その横顔は、とても哀しそうだった。

しかし、それは一瞬で、ルナ嬢は身を翻す。



「おしゃべりはここまで」


「え」


「じゃあね」


「あ、」



ちょっと待って、と呼び止める間もなくルナ嬢は、走って行ってしまった。

追いかけようとしたけれど、パーティー会場の方から名前を呼ばれて戻ることになる。



名残惜しげにルナ嬢が去って行った方を見ても、もう彼女の姿を見ることはできなかった。



もう少し、一緒にいたかった。



そんな思いを胸に抱きながら、パーティー会場に戻ると、私を呼んだ母が私を見て不思議そうに首を傾ける。



「あら、サイラスどうしたの?」


「ーーー不思議な子に会ったのです」



私は、さっきまでの出来事を母に話した。

すると、母は目をキラキラと輝かせた。



「まぁ、サイラス。その子のことが気に入ったのね?」


「え?」


「女の子についてそんなに話すなんて初めてだもの」



言われてみると、国で定期的に令嬢と交流する会に参加しているが、ルナ嬢のように興味を持った令嬢はいなかった。

母に聞かれても特徴すらも話せずだったので、いつも文句を言われていた。



「是非とも私も会ってみたいわね。その子に」


「でも、どこの子どもか教えてくれませんでした・・・城にいるってことは貴族だろうけど、服はそんな風には見えませんでしたし・・・」



彼女の存在は不思議だらけだ。

願うならもう一度会いたいけれど、手がかりは名前だけだ。

それに家門すら聞いていないからお手上げではないか?



母に言うと、母は手に持っていた扇子を開いて口を隠す。

扇子に隠れた口がにっこりと弧を描いていることを私は知っている。



「母に任せなさい」


その表情は、とても活き活きとしているものであった。



「でも・・・」


「母にできないことは何一つとしてないのよ」



母がそう言うのであれば、何があってもルナ嬢のことを探し出してくれるだろう。

本当は、自分で探し出したいけれど、今の自分に無理だと言うことは自分自身が分かっている。

ここは母に任せた方が得策ある。



「では、お願いします」


「ええ」



母に任せてでも、私はもう一度ルナ嬢に会いたかった。







その願いが叶うのは、何年も先のことになるのだけれど。






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