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#43・思い通りにならないなんて




引っ張られながら部屋から出される。



「っ、離しなさい!」



私を掴んでいた手を振り払う。

お父様の部下は、困ったように眉を下げる。



「姫様、もう宜しいでしょう?国に戻りましょう?」


「いやよ!私はずっとここにいるのよ!帰るのはあの子の方!」


「姫様・・・」


「元あるべき姿に戻るだけじゃない。なのに、なんでみんな・・・」



ギリッと親指の爪を噛む。

なんで、私の思い通りにならないの。

お父様もなんですぐに頷いてくれないのよ。

私は何も悪いことなんてしてないのに、元に戻したいだけなのに。

頼みのお父様はアテにならない。じゃあどうする?

あの子にもう一回言いに行く?それともーーー。



「ーーーそうだ」



ピンッと私の頭にあることが思い浮かんだ。

それから、目の前の部下を見る。



「ねえ、貴方」


「はい?」


「貴方、今から私の部下になりなさい」


「え?」



私は、ニヤリと嗤う。

部下は困惑しているみたい。

こういうタイプは、少しお金をちらつかせたら言うことをきくんだから。



「私が、サイラス様の隣に立てるようにしてくれた暁には、一生生活するのに困らないお金を上げるわ」


「え、」


「だから、今この瞬間から私の部下になって色々してちょうだい」



ね?と私は上目遣いで部下を見つめる。

私にこうやって見られて顔を赤らめない男の人なんていないわ。みんな一瞬で虜になってくれる。

思った通り、部下も頬を赤らめた。

ふふ、私の勝ちね。



「ほ、んとうに姫様の手伝いをしたら下さるんですか」


「もちろんよ。さっきのお父様の話からしてあの子と接触しようとしてるんでしょう?このままお父様の命令を聞きつつ、私の手伝いをして」



確か、この部下はお父様がかなり信頼している男だったはず。お父様は有能な人しか側に置かない人だ。

有能でも所詮は金に目が眩む、人はよく深いのだから。



「ーーー分かりました」



ほら、ね。



「ふふ。ねえ、貴方名前は?」


「オルガーです」


「オルガー、じゃあよろしくね」



ふふ、私の思った通りになったわ。

そう、そうよ。これが普通なの。私の願いは何だって叶うのだから。



「ーーー姫様、一つお願いしても?」


「何かしら?」


「今から、姫様の願いが叶うように動きますが、姫様は身を隠してもらえますか」


「え?」


「貴女様は、今ここにいてはいけない存在です。この国の誰かしらに見つかってしまうと全てが台無しになってしまいます」


「確かにそうね・・・。でも、どうしたら・・・」


「私も特別に用意された部屋があります。そこで過ごされてください。私は一緒にきた使用人たちの部屋に行くので」


「あら!そうなのね!わかったわ!」



私のために準備してあったようなものね。

やっぱり、運命は私を中心に回っているのよ。

私の都合のいい展開にしかならない。



「騒ぎを起こさないように注意してください」


「もちろんよ。全部手に入るまで大人しくしてるわ」



機嫌もこの上なくいい。

オルガーに部屋まで連れてきてもらって、ドア前で別れる。



「食事などは、都度私が持ってきます」


「ふふ、貴方ほんと有能ね。楽しみにしてるわ。色々と」


「ご期待に添えるよう善処します」


「じゃあ、よろしくね」



鼻歌まで出てしまいそう。

部屋の中に入ると、それは豪華な装飾だった。

ソファもベットも上等品だ。



「ふふ、もうすぐこれ全部が私のものになるのよね」



ふふ、ふふふふふ。

高笑いにならないように気をつけながら、私は溢れる笑みを抑えることができなかった。

満足いくまで、小さな声で笑い続けた。










「----はぁあ、ほんと親も親なら子も子、とは・・・」



ため息混じりの声は、誰にも聞こえない。




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