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#41・手当



「馬車で、レジナに引きずり込まれたので、その時に出来た怪我ですわ」


「引きずり込まれた?」


「ええ、驚いてしまって」


「・・・ちょっと待って」



サイラス様は立ち上がると、部屋を出ていった。

どこに行ったのだろう?と思いながら少しするとサイラス様は小さな箱を持って戻ってきた。



サイラス様は、無言で部屋を出ていく前みたいにわたしの前に膝をついて持ってきた箱を開けた。



「あ、」


「傷が悪化したら大変だろう?」



箱は、救急箱だったみたい。

消毒液や傷の手当に必要な物が入っている。

慣れた手際で消毒液を取り出したサイラス様は、蓋を開けるとガーゼをわたしの傷の側に当てて少しずつ垂らした。



「っ、」


「我慢して」



消毒液のあとは、また新しいガーゼを出して傷を覆う。

そして、外れないようにテープで留めてくれた。



「はい」


「ありがとうございます。手際いいですね」


「怪我はね、多いから」



救急箱を閉じて、サイラス様はわたしの隣に座り直す。

わたしは、サッとドレスの裾を下ろして足を隠した。

さて、お茶を入れようかな、と思ったけれど、今度はサイラス様に手を握られて立つことができなくなった。



「サイラス様?」


「−−−ねぇ、ルナ嬢」


「はい?」



わたしの手を握るサイラス様の顔は、とても真剣だ。

まっすぐわたしを見つめる瞳の奥に見えるのは、昏い炎?



「今、決めたんだけど私は、私のやりたいようにやろうと思うんだ」


「?何をですか?」


「色々と−−−ねぇ、もし、どんな結果になっても君は受け入れてくれる?」



サイラス様が何のことを言っているのかイマイチ理解できなかった。

首を傾けるけれど、サイラス様はわたしの答えをジッと待つだけ。

これ以上説明するつもりはないみたい。



「−−−自分が納得する結果なら受け入れますが・・・」


「うん、ありがとう」



サイラス様はにっこりと微笑むと、救急箱を持って立ち上がる。



「サイラス様?」


「お茶はいらないよ。疲れただろうからゆっくりして」


「あ、はい・・・」



「じゃあ、またあとで」



どこか軽い足取りでサイラス様は、部屋を出ていった。



「・・・何するつもりだろう?」





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