#4・自国とハーゲン国の違い
どれほどの時間馬車に乗っていたのだろうか。
街並みから何もない草木しかない道を走り、やがて、大きな城壁が見えてきた。
ビクトール国よりも高そうな城壁に、ハーゲン国が大国だということがわかる。
もう少しで、ハーゲン国・・・。
姉の代わりに嫁ぐ・・・か。
こんな大国を騙してまで、あの父王は姉が大切なのか。
ビクトール国にもそれなりに国民が住んでいて一国の王だというのに身内優先。
同情するわけではないけど、国民は選ぶ王を間違えたんだね。
ハーゲン国の城門を潜る。
−−−刹那、息が止まった。
「ビクトール国の馬車だぞ!」
「皇太子様のお嫁さんがいるの?」
「初めまして!ハーゲン国にようこそ!」
わあぁっと歓声と共に色とりどりの花が舞う。
馬車が進むのを邪魔しないように左右にたくさんの人が並び、花を投げている。
車内から見える人の表情は、とても明るくて歓迎してくれていることが伝わってくる。
−−−ビクトール国とは、大違い。
暖かさが、優しさが伝わってくる。
わたしのことを国民にも知らせていたの?
あの国の国民は知らないのに。
あぁ、なんて素敵な国だろう。
きっと、わたしが代わりに嫁ぐ皇太子も暖かい人なんだろう。
こんな異国の知らない女のことをここまで歓迎してくれている。
わたしは、これからずっと死ぬまでこの人たちを欺いていかなければならないの?
顔も知らない姉のために?
愛情なんてくれなかった父王のために?
−−−そんな馬鹿げた話あってたまるものですか。
ツウっと涙が頬を伝う。
「−−−ごめんなさい。わたしは、歓迎される人間ではないの」
流れる涙を拭うことをせずに、わたしはただこの光景を目に焼き付けた。
もう、二度と見ることのない景色を。
最後に暖かい景色を見ることができて本当に良かった。