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#24・ピクニックに行く準備




「さ、準備いたしましょう」



あっという間にハンナの手で身支度が済まされる。

着てみると、普段のドレスより着やすくて着心地もいい。



「お似合いですよ」


「ありがとう」



そのまま軽く化粧と、髪は頭の上で1つに結い上げられた。

服と髪型が違うだけで印象や身軽さが変わるなんて不思議。



準備が終わってから軽く朝食を摂る。

コーヒーを飲みながら一息ついていると、コンコン、と来訪を告げるノック音。



「はい」


「サイラスです」


「あ、どうぞ」



自分の部屋でもあるのに、サイラス様はノックを欠かさない。

中に入ってきたサイラス様は、わたしの着ている服と同じ色で似たようなデザインの服を着ていた。



「その服、似合ってるね」


「ありがとうございます・・・サイラス様も」


「ありがとう。対になるようにデザインされた服らしいよ」



道理で似ているデザインな訳ね。

それにしても、元々顔が整っているサイラス様のかっこよさをまたさらに引き上げる服だなと思った。

とにかく似合っている。似合いすぎている。



(隣に立ったら不釣り合いが全面に出てしまうわね)



「朝食は、食べた?」


「あ、はい。軽く」


「私も着替えた後に食べた。落ち着いたら出かけようか」



そう言ってソファに座ったサイラス様。わたしは、コーヒーを準備しようかと思ったけれど、大丈夫と言われたので、自分のカップに残っているコーヒーを早めに飲み干すことにする。



「急がなくて良いよ。今日は時間たくさんあるから」


「お仕事は?」


「今日は休み。ちなみに、君もね」



実は少し気になっていたから知ることができてよかった。

何か講義等の時間があるなら、気にしながらピクニックに行かなきゃいけないもの。



グイッとコーヒーを飲み干して、カップをソーサーの上に音を立てないように置く。



「お待たせしました」


「逆に急がせてしまったかな」


「いえ、そんなことはないです」



サイラス様がソファから立ったので、わたしも立つ。



「じゃあ、ピクニックにいこうか?」


「はい」



すると、サイラス様はスッと手を差し出してきた。

わたしは、ジッとその手を見つめて首を傾ける。



「えっと・・・?」


「右手を私の手の上に乗せてくれる?」


「はい」



言われた通りにサイラス様の差し出された左手の上に右手を乗せると、ギュッと繋がれた。



「は、え、え?」


「よし、行こうか」



ニコッと笑ったサイラス様は、わたしの手を握ったまま歩き出す。

部屋を出てからも離してくれなくて、わたしは繋がれた手を見ながら戸惑う。



「は、離してください」


「なぜ?」


「え、なぜ?それは、わたしのセリフで・・・なんで手を繋いで?」


「そりゃ、仲良くするためだよ」


「?」



さっぱり意味がわからない。

わたしたちの今の姿は、すれ違う人たちみんなに見られてしまっている。

きっとその人たちが他の人に言って、どんどん広まっていく。

後が大変になるだけなのに。



「ーーーその必要はないのでは?」


「ん?」


「わたしは、いずれ死刑になる身ですし・・・」



ポツリと言うと、前を歩いていたサイラス様は、足を止める。手を繋いで歩いていたので必然的にわたしも足を止めることになる。



「ーーー昨日、私が言ったことは覚えている?」


「?もちろんです」


「なら、今のこの状態が大切なのは分かっていますよね?」


「え?ーーーあぁ!」



サイラス様の言葉を思い出す。

そうだ、父王を欺くために必要なことだった。



「思い出したなら良かった」



じゃあ、このままでいいね?と歩き出す。

私は繋がれた手を見つめる。



わたしたちが仲のいい様子を周りが知れば知るほど、父王へ伝わりやすくなる。

そのための、これ。そのための演技。



(ーーー変なの)



分かっているのに、離してほしいと思ったのに、実際にサイラス様から理由を告げられた時にほんの少しだけがっかりしてしまった自分がいた。

なんで、そんな風に思ってしまったのか、わたしにはさっぱり分からなかった。



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