#19・条件
わたしの言葉をサイラス様は、静かに聞いていた。
「ーーー貴女の気持ちはよく分かりました」
「ならば・・・!」
「では、こうしましょう。貴女が、そう考えるなら、ビクトール国を潰す手伝いをしてもらいたい」
「手伝い?」
「簡単なことです。私が言うとおりに動いてもらえたらいい。仲のいい夫婦を見せつけ、あちらの要求もある程度呑む。そして気が緩んだ時に必ずボロが出るだろうから、そこを叩きます・・・貴女が望む死刑はその後でもいいでしょう?」
そうか、そうすれば、ビクトール国を自分の手で潰すこともできて、崩れゆく父の姿も見れて、最高の死に土産になるに違いない。
溜飲がゆっくりと落ち着いていく。
体の熱も引いていく。
「その後に、必ずわたしは死刑になれるのですね?」
「・・・貴女がその時に望むのならば」
「−−−わかりました」
言質を取れた。今はそれでいい。
「式の3日前には、あちらも来訪されます。それまで時間はあります。」
「完璧なレジナを演じ続けます」
わたしは、頭を下げてサイラス様に背中を向ける。
「レジナ嬢」
「はい?」
肩越しに振り返ると、サイラス様は何故かニッコリとした笑みを浮かべていた。
「あとで、部屋に行きますので」
「?はい」
「今日からともに過ごすことにします」
「え?」
実を言うと、今までは寝室は別で過ごしていた。
一緒にいるのは食事の時と、サイラス様の時間があるときに少し話をする程度。
「えっと、どうして・・・」
「夫婦になるんだから同じ部屋で過ごすことは当たり前でしょう?」
「でも・・・」
「それに、いざという時にぎこちなさが出ても困る」
ね?と笑顔で圧を感じる。
サイラス様の言うことは正しい。
父たちが来たときに、ぎこちなかったら怪しまれてしまう。
「・・・わかりました」
「じゃあ、またあとで」
もう一度ペコリと頭を下げてからわたしは執務室を出た。
(今日、眠れるかな・・・)
サイラス様に限って何かがあるとは思わないけど、初めて誰かと一緒に寝る。
緊急して、眠れるかな?




