第三章7 『嫉妬と興味3』
シルクとミナスが夕日を正面に歩いている最中。
「あうっ……。シルクめっちゃ良き……。いと尊し……。でも、男が変わる時……女を知った時……。本で読んだ……。シルク……。女知った……。でもカッコ良き……うう……。ぷしゅうううう……」
「お嬢様気をお確かに!! 美容院に二人で入って、あの女が単身で出てくるのにかかった時間は多く見積もっても三分ありません!! 三分で普通、不祥事なんて起こせませんよ!? ——————————まぁ、シルクヴェントが相当な早撃ちなら話は別ですが」
「シルク……早撃ち……。ガクッ……」
「冗談ですお嬢様!! お嬢様ぁあぁぁぁあああああああっっっ!!」
こうして一ペアは脱落した。
またもう一ペアも。
「おおおうううッッッ!! この甘々な感じめっちゃいいですなぁ!! それもこの背景が良い仕事を!! これは主神様も『イクところまでイケ』というサインなのでは!? ブフォ!! ————あ、鼻血。お兄ちゃんティッシュちょうだい」
「まず我らがエスティア教に神などいない。神は七罪を指す。これを聞かれたら宗教裁判だぞ……。それにほらティッシュ。これで何枚目だよ。お兄ちゃん、妹が汚いおっさんに見えてほんと心配。ほら以前のアレ」
「前の任務で会ったあの共和国のお偉いさんでしょ? えっとどっち? 公共施設に性奴隷を十人も持ち込んだとかいうあのおっさん? それとも私を下卑た目で見て、夜の相手をさせようとしたあのおっさん? ——————と言うか私そんなやつらと同等にに汚いの!?」
「兄としては妹は淑女のように、健やかに生きて欲しいと」
「はいはい過保護乙。これぐらい年頃のレディーなら当然だって。————そういや、今の二人のおっさん不審死したって話だけど何か知ってる?」
「……。知らんな。俺は全く知らない。本当に知らないぞ」
「分かったって。三回も言わんでよろしい。あっ、ティッシュなくなっちゃった。アレ、鼻からちが止まんない……。目の前もくらくらと……。きゅうううううう………」
「全く……仕方のない妹だ……」
兄————レンは妹を担ぎ上げて寮を目指す。こうしてもう一ペアの脱落した。
◆◆◆
倒れた二人が起きた時、既にもう月が登っていた。満点の星空に寮から見える学院の灯が綺麗に映える。二人は窓を見て今日のことを思い出す。
「「((最後まで、追えなかった!? 二人はどこまでいったの!?))」」
意味合いは微妙に違う。だが、周りへの迷惑を考慮して寸分違わない同じ文言を内心で叫んだ。
二人は悶々とした気持ちの中ベッドの中に深々と潜る。
「「((明日、ズバリ聞いてやる!!))」」
興奮で睡魔が去った二人。日向ぼるまで起き続けていた二人は朝、仲良く似たような黒いクマができていたらしい。




