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第三章4 『嫉妬と興味2』
「……なんだ、あの乳女。シルクと、手をつなっ、繋ぐなんて……」
「きゃー!! ミナちゃん大胆!! 自分から手を伸ばすなんて!!」
シルクとミナスを離れた位置で覗き見する二人は鼻息荒く興奮していた。
両者は似たようなことを述べるが内に秘めた感情は違う。
ファルティナは嫉妬、激怒、恨み、殺意。カザリは好奇心、憧憬、期待、愛。
如何にも対照的な反応に二人を見る通りすがりの者は何を見ているのか気になったりする。
「……な……目を瞑って。……アレは。アレは!? き、キスを!? きゅうぅぅぅ……」
「お、お嬢様!? お気を、お気を確かにいいいぃぃぃ!?」
「いけー!! お膳立ては済んだぞー!! 食べるだけやー!! シルっちやっちまえー!!」
「いや、あれは能力使ってるだけだろ。————お兄ちゃん、妹がおっさんっぽくなって心配」
裏ではこんな二組の物語があることをシルクとミナスは知る由もない。




