表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄でカフェをOPENしました  作者: 美倭古
47/54

Assembly

 突然、腕を掴まれた千方ちかたは、訳がわからず身を委ねるしかなかった。

「おい、小角おづぬ何をする! うわ―――――」


『ゴゴゴゴゴゴゴ』

 突如、上空を旅客機が通過したのだ。


「機長、今、人間の様な者が、居ませんでしたか?」

「おいおい、高度8500mだぞ。可笑しな漫画を読み過ぎじゃないか? あははは」

「そう、そうですよね。こんな所に人が居たら怖いですよね」

「ああ、ウルトラマンじゃあるまいし。そんなことより、先程、乱気流に遭遇すると思われたが、小規模だったのかな。大丈夫のようだね」

「その様ですね」


 難を逃れた千方は未だ、飛び去る飛行機に目が釘付けになっていた。

「なん、なん、何やつだ、、、、あの巨大な鳥は」

「飛行機と呼ばれる物らしいぞ。何と何百人もの人を運べるらしい。凄い時代だな」

「あの鳥の中に人が乗っているのか、、、、ではここで待ち伏せて、攻めればいいだけだ。何と簡単な世になったものだ」

「中に乗っているのは朝廷の者でも、武将でもなく、関係のない者だ。千方よ、ちょっくら下に降りて、今の世を見てみないか? 隠形せねばならぬがな」

小角おづぬ、余の望むところよ」


『この人が千方さん。獄卒を従えてるって言うから、もっと怖い人かと思ってたけど、、、、若くにして死んだのかな? しっかりしてそうだけど、俺より絶対に年下だよ、、、、

うわ! うわ―――― 急降下するなら先に言ってよぉ』


 小角おづぬ大嶽丸おおたけまる、そして千方ちかたは、隠形をすると雲の下に降り立った。すると都会の町並みと騒音が、眼下に広がっていた。

『ブブー』

『ピポ—ピポ—ピポ―』

『ブルルルル』

『ガシャン ガシャン』


「げほごほげほ。何だこの大気の悪さは、ただならぬ煙が立ち込めているぞ。息が出来ん」

「これが今の世だ」

「何だあの箱の様な者は? あれが人か? この喧しい音は、どこから来るのだ? 髪の色が七色ではないか、しかも誰も髷を結っておらん! あれは女子おなごか? 御足を放り出して、はしたないぞ! 何だあの光は? 城なのか?

何だ??#??※??? あれは?@???#??? まさか??@??%?? これは???#¥??」

 千方は肩で息を切らしながら、疑問を口にし続けた。

「ぜーぜーはーはー、、、、小角おづぬ? おい! なんじ等、茶を飲んでる場合か!」


「お前も飲むか? 俺様が育てた黄泉の茶葉だぞ」

「緑茶あったんだ~ 美味しい」

「玄も味わえるのだな。それはいい」

なんじ等、、、、、」


「千方が、眠っておる1000年もの間に、随分と様変わりしたのじゃ。そちは、これが初めての甦りか?」

 ふと、小角おづのの脳裏を、千方のさらし首が過ぎった。

 無念に満ちた最後の顔が、目に焼き付いていたのだ。

「ああ、余は憎き朝廷に処刑され、身体は鬼火で葬られたのだ。だが奴等、頭は焼き払わず、さらし首にしよった。故にこうして転生出来た」

「そうだったのか」

「そんな事より、小角おづぬ、妖は何処だ!」

「ここには居らんだろう」

「山や木々、他の生物はどこに居るのだ」

「山などは、まだ少し残っておるぞ。我等は恐らく1番騒がしい所の上に居る」

「人間どもめ、、、、これでは朝廷よりも愚かではないか! 小角おづぬ、こうなるまで、汝黙って見ていたのか!」

「千方、よう見てみい、、、、確かに自然は少なくなってしまった。妖も山の獣も、町から追いやられ昔のように、自由には暮らせん。だがな、馬に乗った者が、庶民を斬りつけたりしておるか? 戦が見えるか? 平和じゃろ」

「千方、この平和を手に入れるのは、決して平たんな道のりでは、なかったのだぞ。沢山の者が犠牲になった。それは妖だけでない人間も多く死んだ。その中には、妖を愛し守ろうとした者もいたのだ。

小角おづぬが命と引き換えに、俺様達を黄泉へ送ってくれたのだ。妖達は皆、平和に暮らしておる」

「大嶽丸、、、、」

小角おづぬは最後、まるで大根の様に切り刻まれて死んだ。だが、誰も怨んでおらん。また懲りずに人界に転生しよった」

「小角、、、、」


「裏切者の声に惑わされるな! 千方、お前の甦り心待ちにしていたぞ」

鬼髑きどくではないか!」

「千方、妖は皆、人間によって成敗されたのだ。そして見ろ、美しかったこの地を汚し、破壊した。今こそ獄卒を呼び戻し、この地を取り戻すのだ」

 鬼髑きどくと呼ばれるモノは、大きな目を持ち身体は蟹のようで、玄が今まで見た事のない妖であった。

 そして、人間に対して、怒りを抑えきれない妖達が、鬼髑に続き、ぞくぞくと現れたのだ。


閻魔えんまは失敗したのか⁉」

「否、丸、そうでは無いようだぞ」

 大嶽丸と小角の背後にも、妖達が数多く参上していた。

『わっ! 閻魔大王だ! 地獄で最初に会った妖だ! やっぱこえ~』


「いや~ 大嶽丸、小角おづぬ、すまん、皆の説得は出来んかった」

「閻魔、、、、これだけ味方に出来れば十分だ。ご苦労だったな」


『うわ―― こんなに沢山の妖が、まだ日本に居たんだ! めっちゃ怖いのも居る、、、、猫の頭で身体が人間って、どうよ。あっけど、あの妖はどっかで見た事があるような、、、、シーサーだ! かっこいいな! 女ぽい妖も多いんだ~ うわ! あれって夜叉、ひゃ――』


「玄よ、沢山の妖に囲まれても余裕だなぁ、感心じゃ」

「あれ? 心の声も聞こえちゃった? 妖より、空に浮かんでる方が、俺には苦手だよ。小角おづぬさん下をあんまり見ないでね」

「下に何かあるのか?」

「ギャ―― 俺高い所、苦手なんだよ!」

 高所恐怖症なのだと訴えたのだが、理解して貰えなかったようだ。


小角おづぬ様、お久振りでございます」

「お、共命鳥ではないか。そちは無事であったか」

「はい、お蔭様で」

「おのれ~ 小角おづぬめ! 何故、儂等の邪魔立てをする」

 人間を憎む妖を率いる千方と、彼等との戦いを避けたい小角との間には、緊張した空気が流れ、一触即発の状況となった。

 そこへ突如、突風が吹き荒れたのだった。


「大嶽丸ではないか! 久しいの―― 今度こそ、そなたを葬ってやるわ!」

「あちゃ―― 大変な時に、ややこしいのが現れたな。田村麿たむらまろ、久し振りだな。なぜ女子おなごの姿なのだ?」

「喧しい。小角おづぬ殿が甦られるのを察知して、も慌てて業に入ったのだ。ちょっとした手違いだ」

「なかなか、可愛いぞ。その方が似合っているのではないか。さてお前、今のこの状況が見えていないのか?」

「状況?」

 大嶽丸に問われた田村麿は、周りを見渡した。

「おい、、、、何故皆が揃っておるのだ。そなたは千方か! また甦りよって何をするつもりだ! そなたの4鬼はが成敗した」

「田村麿、、、、おのれ~」

「麿、俺様を祓うのはいいが、もし千方が4鬼を呼び寄せたら、お前、今度こそちゃんと葬れよ」

「なんという言い草。はちゃんと、あのモノ達を討った。祓えておらんのは、そなただけだ」

「覚えてないのか? あの時、お前はしくじった。胡散臭い陰陽師を、連れて来よって。奴らは祓えておらん。小角おづぬが阿鼻へ送ったのだ。4鬼はピンピンしておる」

小角おづぬ殿が、、、、そうであったか。もしや、貴公は小角殿か?」

「ほ~ 麿までも甦ったか。賑やかじゃな」

小角おづぬ殿、ご無沙汰しております」

「麿、大嶽丸は良い奴だぞ、それに我の友じゃ。もう虐めるのは、勘弁してやってくれぬか?」

「しかしこ奴は、、、、」

「おい! おい! おい! 小角おづぬ、大嶽丸、田村麿、余を無視するな!」

 小角達の会話に入れず、蚊帳の外に放り出された千方は、子供のように足をバタつかせながら、声を荒げたのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ