第9話 報酬:飴
生徒会長さんに殺された後、再び中央広場に戻った俺は赫耀と合流することができた。
合流した俺達はゲットした花を届けるために、依頼主の指定場所へ向かった。依頼品の受け渡し場所はキグルミさん達の自宅であることが多い。たまに中央広場だったり、掲示板だったりするが。今回は自宅パターンだったので示された住所を目指す。
道中、生徒会長さんとエンカウントし一緒に行くことになった。どうやら因果応報されれば生徒会長さんのヘイトははがれるようだ。敵対モブにならなくて一安心である。俺としても、今更殺されたくらいでいちいち騒ぐようなアマチュアではない。いつか報復はするがな。
俺が密かに復讐心を燃やす中、生徒会長さんは赫耀に話しかけていた。話を聞く限り、赫耀にフィールド調査の手伝いをしてもらいたいそうだ。
「どうしても協力してもらえないでしょうか?」
「そうだなぁ、フィールド調査自体は別に構わねぇけどなぁ...」
「何かほかに問題があるのですか?」
「問題っていうか...賽と遊ぶ時間が減っちまうだろ?」
えっ!こ、こいつ、そんなに俺のことを...。不覚にもドキッとしてしまった。
「賽はよくトラブルに巻き込まれるからな!一緒にいると退屈しなくて済むぜ」
俺のドキドキを返してほしい。人のこと客寄せパンダみたいな扱いしやがって。そんな良い笑顔で言うことじゃねぇだろ。
「お二人とも仲がよろしいのですね。それでしたら、お二人でフィールド調査に参加してもらうというのはどうでしょうか?勿論、よろしければですけど。」
「それだったら別に俺は構わねぇぜ。賽、お前は?」
完全に俺はおまけのような扱いなわけだが。事実おまけなのだろう。フィールド調査となると当然、先住民と戦う機会も多々あるだろう。接敵するたびに死ぬような奴は邪魔でしかない。フィールド調査に参加するならこの機会しかないだろう。
「俺も良いですよ」
どうせ暇だしな。目新しいことは歓迎である。
「本当ですか!ありがとうございます!」
生徒会長さんはうれしそうに笑っている。とてもかわいい。自由に見た目を変えられることもあって美男美女は珍しくもないのだが、やはりかわいいものはかわいい。ファンクラブができるのも頷ける話である。刀さえ腰に帯びてなかったらなぁ。ちょっと物騒よね。
そんな感じで話していた俺らは、ようやく受け渡し場所のキグルミさん宅にたどり着いた。
ドアをノックするとキグルミさんが出てきた。デフォルメされたクマさんみたいなキグルミさんだ。クマさんタイプのキグルミさんは無言で手を差し出す。キグルミさんは喋らない。喋らないのか喋れないのかはわからないが。とにかく喋らない。
さっさと出せ的な圧力を感じるので、おとなしく花を差し出す。一つ頷いたキグルミさんは腰のあたりをごそごそとまさぐって飴を取り、差し出してくる。どこにしまっていたんだというツッコミは受け付けないという圧を感じるので、おとなしく飴を受け取る。メロン味だ。赫耀はオレンジ味か。
用は済んだとばかりにキグルミさんは家の中に引っ込んでいった。
クエスト達成ッ!