第4話 赫耀
プレイルームの中央広場にやってきた。
中央広場はその名の通り、プレイルームの中心地である。
そのため人の数がかなり多い。移動が少し困難なくらいいる。とても邪魔である。
そのため、たいていの人は目の前にいる人間を殺しながら進む。
死んだらリスポーン地点に飛ばされるからな。死体が残ることもない。
今日もそこら中で血しぶきが舞っている。世紀末もいいとこだ。
だが俺は平和主義者なので、こそこそしながら人込みをかき分けていく。
「おい」
今日は何をしようか。
プレイルームはゲームを参考に創られた世界なので、ストーリーやクエストのようなものがある。そのため、割とやることには困らない。
「おいッ!」
ただし、ストーリーを進めるのはかなり難しいため、多くの人たちはクエストをこなしつつレベリングをする日々を送っている。
「聞こえてるだろうがッ!お前だよそこのお前ッ!」
クエストは中央広場の至る所にある掲示板から確認できる。とりあえず近くの掲示板を見に行こう。
「テメェ無視しやがってッ!ちょっと待てオイッ!」
向こうのほうに何やら人だかりができている。さっきから聞こえていたバカでかい声のするほうだ。乱闘騒ぎは珍しくもないので、野次馬が集まるからには面白いものでも見れるのだろう。
俺も野次馬することにした。
先輩野次馬に話を聞いてみる。
「何かあったんすか?」
「あぁ、世紀末のモヒカンのような奴がダル絡みしてるんだ。最近多いよな、モヒカン。」
なぜか最近、世紀末のモヒカンスタイルが流行しつつある。アバターの見た目はいつでも変更可能なので、ふざけて遊ぶ奴は結構多い。ちょっと前は8頭身のドラえもん(メタリックver)が流行っていた。軽いホラーだったわ。
「ダル絡みするモヒカンは珍しくもないんだが、絡まれてる相手があの"赫耀"なんだ」
赫耀。
唯一空を飛ぶことができるプレイヤーの二つ名である。名前の重複が可能であったり、名前の変更が可能であったりするので、名の売れたプレイヤーにはたいてい二つ名がつけられる。二つ名がつくと何となくそいつが本物かどうか分かるようになる。
なぜ赫耀かというと、飛んでる姿があまりにもモン〇ンのバ〇ファルクだったからだ。本人も意識しているのか、なぜか飛んでる間は赤い光を纏う。
派手なので目撃情報は多いが、基本飛んでいるので赫耀のことをよく知る人は少ない。そりゃ人も集まるわけだ。
「お前さん、あの有名な赫耀だろぉ?俺にも飛び方のコツ教えてくれよぉ~なぁ?」
空を飛びたいと思うプレイヤーは多く、モヒカンもそのうちの一人らしい。
モヒカンのこの一言に、話しかけられていたのが自分だと気づいた赫耀が振り向く。
バルファ〇ク装備(男)みたいな鎧に身を包んでいる。大好きかよ。
「飛び方のコツだぁ?んなもん決まってんじゃねーか」
「バルファル〇の真似すりゃいーんだよ」
〇ルファルクの真似ってなんだよ。