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The Story of The Hunter  作者: 白猫@like
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カスミ

「神界から忌み嫌われた禁忌の能力。僕の黒蝶に対抗する術を貴方は持っているでしょうか?すぐに決着をつけては面白くない。遊びましょ。刺客のおにぃさん。」


カスミの顔は狂気に満ちていた。ドス黒い笑みが溢れ、相手を蔑むような目をしている。


「神界の奴らが今更なんの用ですか?まさか僕を仕留めに来たなんて言いませんよね?もし仮に貴方の様な低級能力者が本気で僕を殺せると思っているならこの上なく滑稽ですね。........かかって来い。遊んであげますよ。」


「所詮はただのガキじゃねぇかよ。イキってんじゃねぇぞ殺されテェのか?俺はなぁ、自分が1番強いと思ってるガキが1番嫌いなんだよ。同時にそんなガキに現実突きつけて絶望させるのが大好きなんでな!変に首突っ込んで来たテメェが悪いんだからな。死んでもらうぞ。」


「はぁ。ゴタゴタと煩いですね。慢心男倒すのに能力を存分に使うなんて魔力の無駄ですから。なんでしたっけ?ガキを絶望させるのが好き?そですか。下らない。もう良いですよ。充分喋ってもらいましたから。一撃だけもらってあげましょう。さぁどこからでもどうぞ。」


相変わらずカスミの顔からは狂気の色は褪せていないそれどころかこれから起きる事を予想してさらに狂気に満ちていった。


「ガキが舐めやがって....オラァ死ねっ!」


そう言ってフード男は過去最大の空間斬撃をカスミに向かって飛ばした。そしてその斬撃はカスミの胴体を2つに切断するどころか体にすら届かず消えていった。


「あぁ?なんだ今のは。まぁ良い。オラァッ。し死ねぇっ!」


男はまた連続で斬撃を飛ばし続けたがその1つもカスミに届くことが無かった。


どれだけの時間斬撃を飛ばし続けたのだろうか。しばらくすると一切攻撃が来なくなった。


「...ハァ...ハァ.....どうなってやがる....。」


男は魔力が尽きたのか斬撃を浴びせるのをやめ。肩で息をしながらカスミの方を睨みつけていた。


「終わりですか。つまらない。だから言ったでは無いですか。貴方の様な低級能力者が僕を倒せるわけない。と。貴方はもう良いです。では僕の番ですね。


黒蝶死技<侵蝕・精神> 貴方は精神を蝕まれ、絶望し、生きる希望を失い、迎えるのは死のみとなる。」


カスミの懐から一匹の黒い蝶が現れた。蝶はカスミの周りを数秒飛び回った後に、ひらひらとフード男の方へと近づいて行く。


「なんだこんな子供だましがっ!お前も矢張り大したことないじゃないか!大口叩いた上で使える能力が蝶を飛ばすだけなんてな。」


そう言いフード男は近づいて来る黒蝶を叩き潰そうとした。子供だましの蝶なんてなんの脅威にもならないと思っていたからだ。だが、


「やめるんだ。その蝶に触ると戻れなくなるぞ。」


どこからか聞こえる声。声の主も矢張り空間の裂け目からやって来た。見た目は30代前半程度。身長は170くらいの男が現れフードに言う。


「君は一旦戻れ。コイツは君が勝てる相手ではない。間違いなく死ぬぞ。後は私に任せて君は逃げるんだ。出来るだけ遠くにね。」


「............チッ。」


フード男は言われるがままに裂け目へと入りその場から撤退していった。


「はぁ。せっかく遊んであげようと思ったのに....どなたです?私も獲物を逃した愚か者は。そいつも一緒に殺してやりましょうか.......。はぁ....これはきっと偶然では無いのですね。」


現れた男はカスミのよく見知った人物であった。過去この世で最も尊敬していて、現在最も殺したいほど憎い相手がこの男だった。


「あれから神界はどうですか?僕を追放したあの日から。何もお変わり無いようですが。どうですか?今の神界は。.........せんせ。」


○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○


時は数年遡る。

ー3年前


その日カスミは魔力増幅の修行を終わらせて家に帰るところだった。


「先生。今日は外出して夜も帰ってこないんでしたね。夕飯作んなくて良いから楽だな。.......ただいま。

まぁひとりの家だし返事が返って来るわけ無いんですがね。なんだか帰り道は騒がしかったし。何があったんだ?」


家には新聞のある記事が置いてあった。

[国王殺害。犯人は未成年か!?]と言った見出しの記事であった。


「物騒な世の中ですね。これでまた罪のない方が裁かれるんだろうなぁ....と言うか未成年が犯人なわけ無いでしょうに。国王って国を統べてるんだからそんな大した魔力もない子供が国王殺害なんて出来るわけ無いのに。まぁあのメッセージで判断したんだろうな。」


新聞の写真に写っていたのは国王の亡骸の横に子供の様な下手くそな字で「私はこの国に革命をもたらす者。王は死んだ。私が王だ。」と言ったことが書いてあった。


「捜査するとするなら筆跡鑑定ですかね。この事件迷宮入りですよきっと。先生帰ってきたらどう思うか聞いてみようかな。」


そうしてまた魔力の研究を始めたカスミは、家の外が先程より騒がしくなっている事に気付いた。


「うるさいですね。何があったんでしょうか。とりあえず外に出て見ますか。」


そう言って外に出たカスミを待ち受けていたのは大勢の兵士達であった。


「はい?皆さんどうしたんですか?こんな時間に。」


兵士の1人がカスミに向かって吐いた言葉はこうだった


「国家転覆の罪で貴様を死刑に処す。兵士よ、奴を拘束し身柄を確保せよ」


カスミは全く理解できなかった。なぜ自分がこんな目に遭っているのかが。ただ逃げた。とにかく遠くへと逃げた。がそう長くは持たず結局カスミは拘束されてしまった。


「なんなんですか!貴方達は。なにか僕が国家転覆を図った等証拠でもあるのですか?」


「現場の筆跡と貴様の家の表札の筆跡が一致したという報告があった言い逃れはできんぞ。さぁいけ。」


そこからでカスミと言う人間は大きく歪んでしまった。

どれだけ無実を証明しても誰一人として彼の言葉に耳を持たず放たれる言葉は殺せだの処刑だなどと言った言葉ばかりだった。そして数日の後に刑が執行されることになった、処刑台に上がった際にカスミは大きく絶望した。処刑人が自分が今まで慕っていた先生であったからだ。先生は刑が執行される直前にカスミのもとでこう言った


「罪を代わりに被ってくれてありがとう。国王を殺したのは俺だ。お前は殺され追放されて、俺は英雄となるんだ。」


その瞬間、カスミの中にあった何かが切れた気がした。それ以降な記憶が彼にはない。覚えているのは最後に放った禁忌の言葉のみであった。


禁忌 <輪廻ヲ断チシ死の瘴気>


後に大災害と呼ばれるこの術は神界を一夜で半壊させた。そして彼は神界から追放された。


○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○


「あれからどうですか?先生。」


「貴様と交わす言葉はない。」


「そですか。寂しいこと言ってくれますね。」


「.........。」


「先生。僕はあの日耐え難い絶望を味わいました。ですから、今から貴方を絶望させますが恨まないでくださいね?自身が招いた結果ですから。容赦はしません。僕の能力で絶望してください。



貴方がこれから体験するのは終わらぬ悪夢。

解放を求めるなら戦うのです。

戦う相手は過去の自分や過去のトラウマ。

自身の闇と過去のトラウマを克服出来るなら貴方は解放されるでしょう。

無駄と知って足掻け。

そして絶望せよ。


黒蝶死技[凶星の悪夢]。」


-続-



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