狩り人
海鳥が鳴いている。人の気配は無い。ただ切り立った崖のみがずっと続いている。
「.......生活感のカケラもありませんね...。」
そう呟く少年とも少女とも言えぬ中性的な容姿をした人間が1人。人間の名はー
「カスミ!置いてかないでよ!」
後ろから人間を呼ぶ声がする。声のした方には1人の少女の姿があった。
「ローズ。あなたが遅いからでしょう。僕は早くこの場所を抜けたいのですよ....。あまり良い噂も聞きませんし。」
ここら一帯が何故ここまで荒れているのか。それは地理的な問題では無かった。
「ほら。あなたがモタモタしてるから現れちゃったじゃないですか...戦闘は免れません。サボらないでくださいよ。」
そう言い放ったカスミの視界には無数の魔物の姿が映っていた。その魔物達こそがこの地が荒れるキッカケとなったものだ。
「はぁ。マジですか〜。魔物出ちゃいましたか〜w」
呑気な声を出し依然のんびりとしているローズ。
「何が『マジですか〜』ですか....。だから早くここを抜けるぞって言ったのに...。ほらっ!奴らが来ますよっ!」
一斉に襲いかかって来る魔物の群れ。数では勝てる筈がない。それでも彼らは焦り1つ見せず群を成す魔物を狩っていく。明らかに人間の物ではないチカラを使い魔物を圧倒するその姿はまるで戦場を駆ける2匹の美しい獣の様であった。
この世界には人ならざる能力持った人間が居る。
ある人間はその力を使い魔物と戦い人々の日常を守ってきた。
また能力に溺れ悪の道に走る者も少なからずいた。
能力を隠し普通の人間のように生活する者もいる。
そんな彼らを無能力者の人々は畏怖を込めた名で呼ぶ。
人々は彼らをこう呼んだ。
<狩り人-Hunter->
と。