第17話 最終回!
メグラを見失い、焦るミストと共に行方を探す菜々美達
ミスト「メグラを放っておいてはマズイ!」
武「ミスト!奴は一体何者でござるか?」
「僕には奴が強いとは思えなかったでござるが…」
ミスト「ああ…奴が歯車のずれの影響で手に入れたのは俺やフランのような単純な力じゃない…」
「別世界へ移動出来る力…そう、菜々美のように…」
菜々美「え?」
ミスト「俺達、イレギュラーが別世界に移動出来るのは奴の力を使ってるからだ…」
「そして奴はその力でとんでもないことを企んでいる…」
フラン「とんでもないこと…なんだよそれ…」
巨大な扉の前に行き着く
ミスト「奴はおそらくここにいる…」
扉を開け、中に入る
メグラ「ちっ!来ましたか…まあ、いいでしょう…」
ミスト「やめろ!メグラ!お前…それを解放したらどうなるか分かっているのか!?」
メグラ「分かりますよ…ありとあらゆる世界…全てが完全に滅亡する!!」
菜々美「!?」
武「何!?」
セイレーヌ「嘘…!?」
フラン「なんだと!?」
メグラ「ひっひっひっ…これをご覧なさい…」
菜々美「あれって…鏡だよね…?」
メグラ「そう!一見、何の変哲もない…ただ大きいだけの鏡です…」
シュン…
ミスト「はあああああ!!!」
ミストがメグラに襲いかかる!…が!
バンッ!
ミスト「な!透明のバリア…!?」
メグラ「説明しようとしてるところを殴りかかろうとするなんて…おっかないですねぇ…」
「良かったですよ…事前にバリアを張っといて…」
ミスト「くそっ!」
メグラ「あ!それと…そのバリア…あなた達の力じゃ破壊することは出来ません…もちろん魔法でもね…」
フラン「どうしたんだミスト!あの鏡に何かあるのか…?」
メグラ「気になりますよねぇ!今、説明いたしますよ!」
「この鏡…実はあるところに繋がっているんですよ…」
武「あるところ…」
メグラ「それは…世界の歯車が存在する世界です!」
菜々美「世界の歯車!?」
武「なんと!?」
フラン「それって結構やばくねえか?」
メグラ「あなた達、何故…世界の歯車がずれたかご存知ですか?」
菜々美「いや…知らない…でもずれるのは運命だったって…」
メグラ「そう!運命だったのです!」
「この歯車がある世界には歯車以外の物は存在しません…ましてや生き物などが生まれるなんて、まさか絶対起こるはずがありません…」
「ですが…起こったんですよ…」
「生まれるはずのない生き物が…この歯車だけの世界に…生まれたんですよ…」
「どうして生まれたかも分からないその生き物は最初はとても小さなものでした…ですので歯車には何の影響も無かったのです…」
「ですが…その生き物は食べ物も水も無いにも関わらずどんどん成長していったのです…」
「そしてどんどんどんどん大きくなっていった生き物はやがて周りにあった歯車に干渉していき…」
「とうとう一つの歯車がずれてしまった…」
菜々美「そんなことが私の知らないところで起こってたなんて…」
フラン「でもよお…だからなんなんだ?」
「俺はてっきりその歯車の世界に繋がってる鏡にあんたが入って直接手を加えるのかと思ってたけど…」
「ご丁寧に説明してくれたってことは別の考えがあるってことだよな?世間話にしちゃ今のは、ちと面白みに欠けるぜ」
メグラ「直接手を加えるなんてことが出来るならしますよ…」
「一つ聞きますがあなた達は歯車のある世界に生まれた生き物と聞いてどんなものを想像しましたか?」
フラン「なんだって?」
武「どんなもの…と聞かれても…」
セイレーヌ「そりゃ…まあ…」
菜々美「やっぱ…凄いと思う…」
メグラ「乏しいですね…あなた達に聞いた私が馬鹿でしたよ…」
フラン「あいつ腹立つな」
メグラ「想像出来ないならば実際に見せてあげますよ!」
メグラが大きな鏡に手を触れる
するとさっきまで自分達を映していた鏡がまるでゲートのような黒い空間へと変わる
メグラ「さあ!この世界を破壊し尽くしなさい!歯車の世界に生まれし魔獣よ!」
巨大な手が鏡から姿を現す
フラン「おいおい…手だけであんなにでかいのかよ…」
ミスト「奴は天をも揺るがすと言われている魔獣だ…あの鏡から出してはいけない!!」
ミストが必死にバリアを殴る
メグラ「無駄ですよ!!世界はもう滅亡する未来しかありません!!ひっひっひっ!!」
魔獣「グシュルルルル…」
鎖で縛られた魔獣がとうとう鏡から現れる
メグラ「神を名乗る不届者どもめ…鎖でどうにかしようとした…という訳ですか…」
「まあいいでしょう!!この魔獣が世界に姿を現したのなら最早、鎖でどうにかなるものでもありません!!」
「ひっひっひっ…ひゃはははは!!!」
魔獣「グアアアアアアアアアッ!!!!!」
魔獣の雄叫びがバリアをも破壊しありとあらゆる物を吹き飛ばす!!
メグラ「うげえええ!」
ミスト「ぐっ…ミーナ!」
吹き飛ばされそうになるミーナを抱きしめるミスト
ミーナ「お兄ちゃん…」
武「菜々美!僕に掴まるでござる!」
菜々美「武…」
セイレーヌ「きゃあああ!!」
フラン「セイレーヌ!」
ガシッ
セイレーヌ「フランさん!」
フラン「大丈夫だ!」
魔獣「グルルルルル…」
はぁ…はぁ…
武「これが…世界の歯車をずらした魔獣の力…」
フラン「あれ以上、動いたらまずい…」
ミスト「とにかくあの鏡の中に戻すんだ!!」
メグラ「う…うぅ…」
吹き飛ばされたメグラが気を失う
メグラ「い…いいですよ…その調子で…世界を…破滅して…やりなさい…」
武「はああああ!!」
フラン「うっしゃああああ!!」
ミスト「はあ!はあ!はあ!!」
セイレーヌ「プリティ!ラブリー!ハート!!インパクト!!!」
みんなが一斉に攻める
魔獣「ガアア!!」
だが全く効いていない
魔獣が腕を払い、たちまちミスト達を弾き飛ばす
武「うあッ!!」
フラン「うぐッ!!」
ミスト「くッ!!」
セイレーヌ「きゃあ!!」
菜々美「みんな!!」
フラン「ありゃ全く効いてねえぜ…」
セイレーヌ「私の最大の魔法も効かなかった…」
武「大ピンチでござるな…」
菜々美「…」
「武!!この刀借りるよ!!」
武「菜々美!?何をするつもりでござるか!!」
ゲートを開き、魔獣の頭上にワープする菜々美
菜々美「私だって…」
「やるときは…」
「やるんだから!!!」
「はあああああああああああああああああああ!!!!!」
「いっけえええええええええええええええええ!!!!!」
ザクッ!!
魔獣の眉間に刀が突き刺さる!!
魔獣「グアアアアアアアアアッ!!!!!」
思わず後退りしていく魔獣
後ろに倒れてあった鏡に落ちていく
フラン「やったぞ!!魔獣が落ちていく!!」
ミスト「!?やばい!!魔獣が口を開いてる!!菜々美を狙ってるぞ!!」
武「おい…まさか…あいつも映画の怪獣みたいに…」
バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ
鏡から巨大な熱線が放出する!!
セイレーヌ「プリティ!菜々美を守って!!」
菜々美の前に魔法の盾が現れる
バキバキバキバキ
セイレーヌ「駄目!!全然もたない!!」
バッキィン
フラン「菜々美!!」
武「菜々美…」
魔獣の放った熱線は天井をも破壊した
セイレーヌ「嘘…私の…魔法じゃ…守れ…なかった…」
武「セイレーヌ…」
フラン「うぅ…」
ミーナ「皆さん!!あれ!!」
ミーナが指を指した方向を見る
菜々美「みんな~!!私なら大丈夫~!!」
ミストが菜々美を抱き抱えて降りてくる
武 セイレーヌ フラン「菜々美!!!」
ミスト「間に合って良かった」
フラン「ミスト!!お前!!やるじゃねえか!!」
武「無事で良かったでござる!!」
セイレーヌ「良かった…良かったよ…私…てっきり…」
菜々美「もう!大丈夫だよ!セイレーヌ!!」
ミスト「よし…後はあの鏡を破壊するだけだ」
「はあっ!!」
パリンッ
菜々美「良かった…これで…もう…」
「ねえ!ミスト!最後に私達に協力して!」
ミスト「ああ、分かってる」
「ミーナ!」
ミーナ「何?お兄ちゃん」
ミスト「世界が元に戻ったら…家族みんなで楽しく暮らそう…」
ミーナ「!…うん!!」
菜々美「じゃあ…いくよ」
物を押すような感覚で手を前に出しゲートを開く
ゲートの中はいつもの暗い空間とは違いまるで宇宙の中にいるようなとても幻想的な風景が広がっていた
菜々美「うわあ!凄い!」
武「綺麗でござるな!」
セイレーヌ「本当!」
フラン「おお!」
承知之助「ここに来たということは無事に仲間が揃ったようだね」
菜々美「あ!あなたは…えっと…最初の…おじさん!」(名前が出てこない…まあ、いいや)
承知乃助「今までどんなことがあったのか…見守ることすら出来なかった私達にはとても想像出来ないことがあっただろう…今こうして世界を元に戻せるのは君達のおかげだ!君達には本当に心から感謝している…ありがとう」
フラン「あんたが誰だか知らないけど…まあ、どういたしましてってところかな!」
承知乃助「これから世界を元に戻す」
「みんなで手を繋いでくれ」
菜々美「分かった!」
「ミスト!」
ミスト「ああ」
「時光 武」
武「うむ!」
「ルーズ・セイレーヌ!」
セイレーヌ「はい!」
「ヌーベルト・フランさん!」
フラン「おう!」
みんなで手を繋ぎ、一つの輪になる
承知乃助「そしたらみんな、目を閉じるんだ」
「もう、気付いた頃には元の世界に戻っているはずだ。何か言いたいことがあるなら今のうちに言っておくといい」
武「そうか……みんなと一緒にいれてとても楽しかったでござるよ」
セイレーヌ「うん!本当に毎日が楽しかった!」
フラン「俺もすげえ楽しかったよ…お前らと一緒にいて学んだこともあった…」
ミスト「お前達には本当に感謝している…ありがとうな…」
菜々美「私が言いたいこともう皆に言われちゃった!」
武「ふふ、菜々美!」
セイレーヌ「フフフ!」
フラン「おいおい!ヘヘヘ!」
ミスト「フッ…!」
菜々美「でも私からも言うね!」
「本当に本当に楽しかったよ!みんなありがとう!」
~~~~~
ピピピピ
目覚ましが鳴る
「ふあぁ~もう~うるさいなあ」ピピガシャ
「う~んってあれ!」
スマホを見て日付を確認する
X月O日 今日は世界が滅亡する予言の日
「元の世界に…戻った…」
急いでリビングへ向かう
「あのおじさんがいない…」
テレビをつけるといつも通りの朝の番組が流れた
外に出れば犬の散歩をしているおばさんがいる
「世界が元に戻ったんだ…」
私は世界を救った…でもなんでだろう…嬉しいとか喜びとかそういう感情が全く無い
私は正直、今の生活が好きじゃない
お母さんもお父さんも仕事ばっかりで会う時間なんてほとんどなかった
それに顔を合わせても会話することなんてない
学校の授業も退屈で部活も最初は楽しかったけど今はただただつらいだけ
友達と一緒にいるのも最近はなんだか疲れる
なんで私はあんなに必死になって世界を救おうとしたんだろ?
自分の為?みんなの為?一体、何の為?
私は大和達と一緒にいて楽しかったから…
大和…
大和は無事なのかな…
今日からまたいつものなんにもない日常が始まる
学校のみんなは予言の話で夢中だ
予言なんか当たらないだの嘘だのと言ってる
本当は昨日、世界が滅亡してたなんて誰も知らない
担任「みんな!席について!」
「今日からうちのクラスの仲間になる転校生を紹介するわ!」
生徒「転校生だって!男の子かな!女の子かな!」
こんな世界にいても全然楽しくなんかない…
転校生「皆さんはじめまして」
「未来 大和です」
え?………………………………………
やっぱりちょっと楽しいかも




