万能
「歴代最強の勇者様、なんですよね?」
「まぁ、うん」
「勇者様には他の勇者みたいに二つ名とかってないんですか?」
二つ名かー。
そういや最近はずっと宿にこもりっぱなしだから二つ名で呼ばれることがなかったな。
てか、最後に二つ名で呼ばれたのっていつだっけ……。
そもそも、俺の二つ名ってなんだっけ?
えーっと、確かにあったのは覚えてるんだけどなぁ……。
「なんだっけ……?」
思い出せねぇ……。
「まったくもう、いっつも宿でごろごろだらたらしてるから脳が老化したんじゃないですか」
「おいおい、まだ俺は20代だぞ」
まだまだピチピチのお兄さんだぞ!
まさか、この年で脳が老化したなんてことはないはず……。
大丈夫、俺は勇者だから脳が老化するなんてことはない! ……はずだ。
「仕方ない、本気出して思い出すとしよう」
とは言ったものの頑張っても思い出せないのでとりあえずこっそりと魔法を発動!
べ、別に老化したと認めた訳じゃないからな!
「思い出したぞ、俺の二つ名は『万能の勇者』だ!」
「万能の勇者、ですか。なにができるのかいまいちわからないわかりませんね。あと、あんまり格好よくないです」
辛辣だな……。
万能の勇者だって格好いいだろうが……!
そりゃ、過去の『滅焔の勇者』とか『雷撃の勇者』とかにくらべりゃインパクトに欠けるだろうけどよ。
「なんでそんな二つ名になったんですか」
「なんでもできる、できないことがない。俺の前には不可能は存在せず可能のみがそこに存在する、故に『万能の勇者』と名付けられた。気がする……」
なんか自分で言うと恥ずいな。
「で、具体的にはなにができるんですか?」
「なんでもできるぞ、例えば窓を割るとか」
「その辺の子供でもできますよ」
だろうな。
でも、俺は割った後の窓を一瞬で直すこともできるぞ。
「一軒家を真っ二つに割るとか」
「わたしでもできますよ」
そういや、結構前に宿の中からドラゴンぶっ殺して無理矢理レベルあげたもんな。
筋力も相当上がってるだろうし、アリスでもできるか。
「世界を手刀で割ることができる。実演してみようか?」
世界を真っ二つにしてもすぐに修復できるしやってみるのもいいだろう。
「それは勇者様にしかできませんね。って、なにホントに世界割ろうとしてるですか!? ダメですよ!」
「えー」
「えー、じゃないです! 暇潰しに世界割るくらいだったら大人しくだらだらしててください!」
なんだよ、久しぶりにやる気を出したのさー。
ま、お許しが出たし存分にだらだらするとしようか。




