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ケルベロスさん



「歴代最強の勇者様、なんですよね?」


「あぁ、そーだよ。チッ」


俺にしては珍しく舌打ちをしてまった。


しかし、アリスに対して舌打ちしたわけではない。


理由は別にあるのだ。


「あ、また負けた……」


「今日はなんだかずっと勇者様イライラしてますね。あと、ケルベロスさんは殺しちゃダメですよ?」


ケルベロス?


あ、もしかして……


「さっきの独り言聞こえてた?」


「もちろん聞こえてましたよ。耳を澄まして一言一句全て聞きとれるよう集中して聞いていましたよ」


「なぜそこまで頑張って俺の独り言を聞くんだ!?」


「だって暇なんですもん。勇者様ずっと光る板いじってますし」


あ、アリスちょっと拗ねてる。


すいませんごめんなさい、これからはゲームする時間減らします許してください。


心の中で実行されるか微妙な誓いをたてる俺。


「で、どこからどこまで聞いてたんだ?」


「ほぼ全部聞いてましたよ。『なぜ奴が倒せない!』とか『くそ、現実のケルベロスなんて一瞬で殺せるのに!』とか『気晴らしにこの世界のケルベロス殺しにいくか……』とか『ははは……ケルベロスめ待ってろよ八つ裂きにしてやるからな』とか」


全部聞かれてた……。


穴があったら入りたい。


「あ、でもそのげーむでイライラしたからといってこの世界のケルベロスさんを殺しちゃダメですよ? ケルベロスさんは見た目は完全に邪悪な魔物ですけど真面目に地獄の門番として勤務してますからね」


そう、この世界のケルベロスはボスキャラ的な存在ではない。


地球で例えるなら大企業の本社の警備員的な存在なのだ。


「チッ、ケルベロスめアリスのおかげで命拾いしたな」


アリスのおかげで地獄の門番ケルベロスは今日を生き延びることができたのであった。




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