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ダメ人間
「歴代最強の勇者様、なんですよね?」
「あぁ、そうだよ」
「じゃあなんで、魔王を倒しに行かないんですか?」
「気づいてしまったからだよ」
俺は、ベッドからは立ち上がらず顔だけアリスのほうへ向ける。
「ま、まさか世界の秘密とかにですかっ?」
いや、そんな壮大なスケールのことでは無いんだけどね。
「知りたいか?」
「はいっ! 教えてください!!」
「いいだろう。教えてやる。俺がこの世界に召喚されてからの二年間で気づいたことを」
たっぷりとタメてから言い放つ。
「俺は、だらだらすることの素晴らしさに気づいたのさ!」
「え……」
そう言った瞬間、アリスが俺を見る目がダメ人間を見る目に変わった。