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歴代最強の勇者
俺は勇者である。
しかも、ただの勇者ではない。
歴代最強の勇者である。
とある王国に召喚された約二年前のあの日、俺は勇者となった。
この世界の勇者とは、とりあえず魔王倒してこい的な理由で召喚される。
で、今の俺はというとそこそこの宿のベッドでだらだらしてる。
「あの……歴代最強の勇者様、なんですよね……?」
「あぁ、そうだけど?」
そういや、アリスがいたんだった。
数日前、酒場で俺が勇者だっていったら、どうしてもついてきたいって言うんで、仕方なく許可したんだった。
「なんで昼からベッドでだらだらしてるんですか?」
なんだよ、そんなの決まってるじゃないか。
「なんか、起きる気がおきないからさ」
「あの、魔王とか倒しにいかないんですか?」
あぁ、アリスも勇者は魔王を倒しに行くと思っているのか。
「行かないよ。めんどくさいから」
当然のように俺は否定した。