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四話 責任と殿


 拝啓、父上様、母上様、如何お過ごしでしょうか、貴方達に育てられた自覚があまり無い息子の私が戦地に旅立って、早一月以上が経ちました。

 私は今これ迄の己の人生における最大の難題に立ち向かっております。

 こう言うのもなんですが、私の生は未だ十と四年ばかりしか経っていないにも関わらず、波乱と謎に満ちた生では無いでしょうか。

 人生は山あり谷あり、楽あり苦ありと辛いのは私だけではないと、また禍福は糾える縄のごとしとも言い、決して悪い事ばかりではないと聞きます。

 しかし、言わせて頂きたい。

 本当にどうしてこうなった。







 さて俺は今、何をしているのか。

 その答えは直視した自分に重くのし掛かるので、出来れば見たくないのだか、見なくてはならない。

 目の前の現実もとい、我が国の第一王子にして、今戦における我が軍の総司令官。

 アレクト・アウレリア殿下との、会食と言う名の野営である。


「うむ、携行糧食は始めて食ったが、なかなか難儀する食い物だな」


「ははははっ!そうですな。ワシもこの歳になると食うのが辛くなりますわい」


 等とローゼン公爵が、どう突っ込んで良いのか分からない事を言っていると、騎士の一人が喋りだした。


「戦場で一番辛いのは、妻の手料理が食えない事です」


「貴方の奥方は手料理を作ってくれるのですか?」


 彼の言った事に、回りから口々に羨ましいとの声が上がる。

 ここにいる騎士は皆、騎士爵位や騎士称号を持つ貴族ばかりで、当然その婦人や婚約者も貴族のご令嬢になる。

 そして、貴族の令嬢は、料理どころか厨房に入ったことの無い所か、場所すら分からない方ばかりである。

 なので彼の奥方はかなり珍しい部類であるが、男としては女性の、特に婚約者や恋人の手料理と言うのは憧れなのである。

 かく言う俺も憧れているが無理だと諦めてもいる。


 そんな騎士達の中で一人の騎士がポツリと呟いた。


「・・・私は・・・私は出来るなら、妻の料理よりこの携行糧食で生きていきたい・・・」


「おっ・・・おう・・・」


 シンと静まり返る。

 よく見たら、彼の騎士の目元には一筋の光が見えたが、見なかった事にした。


「か、カイルはどうなのだ?」


 なんとか、話題を逸らせようとしたのか、殿下が俺に、そう訪ねてきた。


「そうじゃ、御主にも婚約者はいるじゃろう」


「そ、そうですな!カイル殿!婚約者か、いなければ好いている人は居ないのですかな!?」


 と、回りも便乗して俺の婚約者、もしくは好みの女性や好きな人の事を聞いてくる。

 しかし、その質問は不味かった。


「どうなのだ、婚約者は居るのか?」


 殿下が更に聞き込んでくるが、俺は答えに窮する。


「え、ええと・・・婚約者は、居ますが・・・」


「おお!それで、何処の誰なのじゃ」


 なんだか、異様な盛り上がりを見せる、殿下と公爵を始めとする騎士の方々。

 言っておくが、ここは戦場である。

 なのにこの修学旅行の様な異様な雰囲気は彼等の余裕の表れなのか分からないが、この後の反応が怖い。

 確かに俺には婚約者がいる。


「ホークス侯爵のご息女のリリアナ殿です」


「「おおおおおお!」」


 ホークス侯爵家は建国当時から続く名家で、領地も大きく国の内外にその名が届く一大工業地帯を持つ大貴族である。


「リリアナ嬢には何度か会ったことが有るが、聡明で器量好しの才女だったと記憶している」


「ワシも会った事がありますが、中々良いご令嬢でしたな」


「あれ程のご令嬢が婚約者とは、羨ましいとですな」


 と、回りは持て囃す。

 事実、彼女は美人だ。

 年の頃は俺と同い年なので美少女と言うのが正しいが、白磁を思わせるキメ細やかな肌に艶やかな美しい金色の髪、サファイアのと形容される大きな瞳を持ち、体型の方もスレンダーでありながら確りと凹凸があり、此からが末恐ろしい。

 とまあ、世の男の理想の大半を詰め込んだような容姿をしている我が婚約者だが、一つ大きな問題がある。


「いえ、実は仲がすこぶる悪いのです」


「えっ?」


「なぬっ?」


「仲が悪いとは、どれ程悪いのだ?」


 婚約者で不仲なのは、そんなに珍しい事ではない。

 だが、俺の場合は桁が違った。


「全く相手にされず、話し掛けても無視される程度には、嫌われております」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


 昔、誰かが言った。

 好きの反対は嫌いではなく無反応であると。


「ぷ、プレゼントとかは・・・」


「花とイヤリングを贈りましたが後日、そのまま返ってきました。全く触られておらず、完全にそのままでした」


「・・・」


「・・・」


「食べ物はどうじゃ」


「チョコレート菓子を渡そうとしましたが、受け取ってもらえず、侍女に受け取らせた後に自分では食べずにその場で侍女達に食べさせていました」


「う、うぬぅ・・・」


「お、おお・・・」


 他にもまだある。

 まず、手を触れたことはなく、パーティーでもダンスはおろかエスコートしたことも談笑したこともない。

 笑顔が素敵だと聞いた事があるが見た事がない。

 料理も出来るそうだが、食べるのは勿論の事、見た事も香りを嗅いだ事もない。

 挙げ句の果てに、自分の前で別の男と楽しげに会話していたり、ダンスしたりしているのを見せ付けられる始末。


「一体何が悪いんでしょうかね。やっぱり顔なんでしょうかね」


「い、いや、言う程の顔ではないぞ?」


 と殿下がフォローしてくださるが、殿下に言われると尚更にへこむ。


「そう言えば、リリアナ殿は弟と仲がいいのですが・・・やはり、そう言う事なんでしょうね」


 別に彼女の事が好きな訳ではないが、男として美少女に嫌われているだけで、其なりに辛いし、それが親が決めたとは言え婚約者なら尚更だ。

 お陰で、どこに行っても後ろ指を指されるし、両家からも何も言われないから、巷では時期伯爵は弟で、リリアナ嬢も弟と婚約を結び直すのだろうと、そして俺は何処かに追いやられるか、殺されるのではないかとも言われている。

 俺もその内そうなると思っている。

 なので、適当に頃合いを見て、家を出るつもりでいたのだが、もしかしたら、ここに送られたのも、あわよくば俺が戦死すれば良いと思っての事なんじゃ無いかと思い始めていた。


「カイルよ、男は顔ではない。心意気だ」


「そうですぞ!心意気ですぞ!」


 公爵と名の知らぬ騎士が励ましてくれて、回りの騎士や部下の兵達までもが俺を励まそうと声を出す。

 そんなこんなで、夜が更けて行き、俺は眠りについた。







 翌日、日が上ると共に移動を開始した俺達は、騎士達を先頭に二列の縦列で進んで行く。


「気になっていたのだが」


「なんでしょうか?」


 隊列の中央で、隣にいる殿下が俺に疑問を投げ掛けてきた。


「それは一体何なのだ?」


 殿下が指差しながら、何なのかと聞いてきたのは、鞍の右前についた革の布に挿してあるカービン銃の事だった。


「ああ、これは私が作った銃です」


「銃?コレがか?」


「はい」


「私が知っているのとは、僅かならず違うようだが」


「ええ、はい、コレは私が設計して作った。レバーアクション、リピーターカービンです」


「レバーアクション?」


 馬の背で揺られながら、レバーアクションの連発機構の説明やカートリッジの有効性、更にはショットガンやリボルバー拳銃の説明をすると、殿下は少し考え込むと更に訪ねてくる。


「製作費用はどれくらいかかる?」


「そうですね、拳銃が一挺あたり金貨二枚で、カービンの方は、金貨五枚程です」


「っ!・・・そんなにかかるのか!?」


 金貨は日本円で大体百万円位の感覚で使われる。

 金貨一枚は銀貨百枚に相当し、銀貨一枚は銅貨百枚に、更に下の鉄貨は百枚で銅貨一枚と等価になる。

 金貨一枚で四人家族が一年間暮らしていける金額だと聞いて、大体百万位と思っているが正しいかは分からない。

 しかし、高額な事には変わりはない。


「銃自体、高価だとは知っているが、それにしても高すぎないか?」


「はい、材料に使う鉄が、通常よりも高品質で、銃身を始めとした各種の部品の精度も桁違いなのです」


「ほう」


「それに、自分で使う分の、少数生産でしたので、それも価格高騰に作用しました」


「成る程。大量生産したら安くなるか?」


「そうですね、量にもよりますが、最大で半額程度にはなると思います。」


「そうか」


 しかし、他にも問題がある。

 一挺の製作にかかる日数が、マスケットの三倍かかり、カートリッジも、魔法石の加工と高品質の金属系魔法触媒の確保、大量の真鍮が必要で、一発単価が銅貨五枚位になる。

 コレがマスケットなら、ライフリング無しで銀貨二十枚、ライフリングありで五十枚になる。

 弾代も一発あたり鉄貨五枚まで下げれる。

 それでも、やはり銃は高価な物で。

 槍なら一本銀貨五枚、剣なら鋳造焼き入れのロングソードが銀貨三枚、鍛造の鋼鉄製なら、凡作で銀貨八枚、名品で十枚位となる。

 因みに、業物の名剣は概ね金貨一枚以上である。


「この銃を軍に導入するのは無理だな」


「ええ、少なくとも後一世紀は先の事になるかと」


 コレまでの戦闘において非常に頼りになったこの銃だが、既に二百発以上撃って、残りは三十発程しか残っておらず、ショットガンは元々あまり持ってきていない。


「弾の補給に苦労するのも弱点の一つですね」


「そうだな、軍にとっても補給は常に頭を悩ませる最大の原因だな」


 現状では、補給が滞る事も少なくなく、そんな状態で全軍に銃を装備させるなど、夢のまた夢でしかない。


「まあ、生きて帰る事が出来るか分からない今は、そんな事を考える時ではないな」


 と言って笑うが、この時、俺はある疑問が浮かんでいた。

 それは、殿下は撤退の際に敵に追われて逃げている内に本隊と離れてしまい、そこに着いてきたローゼン公爵達とここまで来たそうだが、それ以前に何故殿下が戦地に来ているのかが不思議だった。

 王族が直接指揮を取るのは珍しい事出はないが、アレクト殿下は政治において功績はあれど武功や武勇についてはあまり聞いた事がない。

 頭が良く剣術も非凡な物で文武両道だとは聞いていたが、武勇や戦略戦術においては、第二王子の方が有名だった。

 なので、来るとすればそちらでは無いかと思っていた。


「どうした?」


 俺の様子を訝しがった殿下が俺に声をかける。

 俺も、失礼を承知で疑問に思ったことを聞いた。

 すると殿下は、一瞬キョトンとしたかと思うと、小さく笑いながら答えてくれた。


「知っての通り、私は政務においては、それなりに成果を出していると思う。知略に関しては、弟達には負けないと思っているが。弟達も将来は私を支えてくれると、言ってくれている」



 そこで一旦言葉を区切って、空を見上げて大きく深呼吸をした。

 そして、前を向いて、口を開いて話を続ける。


「しかし、それでは・・・それだけではいけないのだ」


「何が駄目なのですか?」


「私が王となった暁には、この国をより良い国にしたいと思っている。その為に私は政務に力を注ぎ、戦は弟のレオンが担当することになる。私は、その時に戦場の事を何も知らずに命令するだけの、頭でっかちにはなりたくない。現場の事を知り、その上で、その経験を生かして国政に取り掛かりたいと考えている。だからこそ、今回の戦いに無理を通して参加したのだ」


 まあ、殿下の言っていることも分からなくも無い。

 現場としても、実情を少しでも知っている人が上にいるなら、心強いとも思う。

 しかし、それでも俺は言った。


「殿下・・・」


「なんだ?」


「貴方のそれは、ただの我儘です。貴方の行為は多くの人に迷惑を掛けます。現に今がその状況ではありませんか」


「それは・・・」


 痛いところを突かれたと言わんばかりに、表情を歪める。


「もしも、貴方ではなく、レオンハルト殿下が指揮を取っていれば、負けなかったかもしれません。少なくとも、少数の騎士と共にはぐれて孤立してしまうことは無かったでしょう」


「・・・そう・・・だな」


「貴方の我儘によって、多くの将兵のみならず、我が国の将来までもを危険にさらしているのです。貴方はそれを理解するべきだ」


「・・・」


 打ちのめされて、うつ向きながら黙り込んでしまった。

 無理もない。

 殿下にとって初めての戦争で失態を演じてしまい、それを責められるのも初めてだっただろう。

 俺は言いながら、もし生きて変えれても、処刑されるんじゃないかと戦々恐々としながらも、言葉を続ける。


「ですが、そんな殿下だからこそ、ローゼン公爵達も貴方に着いてきたのでしょう」


「・・・え?」


「私は騎士ではありません。正式に軍に身を置く者でもありません。でも、もしも私が騎士であるなら、兵士であるなら、貴方の・・・アレクト殿下のお考えを、とても嬉しく思うでしょう」


「カイル・・・」


「きっと・・・」


 そこまで言い掛けたその時、大きな地響きが鼓膜を震わせた。


「共和国軍だ!」


 背後から共和国の騎兵が押し寄せて切るのが、目に見えた。


「走れ!」


「逃げろ!!」


 全員で急いで逃げようとした時だった。


「っ!?」


 兵達は大丈夫かと後ろを振り替えると、誰も着いてきていなかった。

 驚くべき事に彼らは、横隊を作って迎撃の用意をしている。


「何をしている!早く逃げろ!」


「いいえ、逃げません」


「何?」


「あっしらの足じゃ逃げても無駄。ならば最後に悪あがきをしようかと思います。若様はお逃げくだせぇ」


「お前ら・・・」


 獣人達なら逃げられるだろうと目を向けると、代表のあの男が真っ直ぐに此方を見据えて言う。


「我等は誇り高きライカンスローブだ、どうせ逃げても奴隷のままの惨めな生になる。ならば、ここで華々しく散るのが良い」


 俺は彼らの目を見て、彼らの言葉を聞いて、皆が覚悟を決めているのを知って胸が熱くなった。

 そして俺も覚悟を決めて、この気持ちの良い男達の作った隊列の後ろに陣取って声を上げた。


「全員!三列横隊!弓は横隊の後ろに!ドワーフは最右翼!ライカンは最左翼だ!」


 一瞬、俺の方を見てから間を置いて、その直ぐ後に彼等の声が響いた。


「「「応っ!!!」」」


 俺達が迎撃の意思を見せて、準備をしていると後ろから殿下が近付いてきた。


「なにをやっておるのだ!早く逃げるのだ!」


 焦った声を上げながら、俺達に撤退を促す殿下に対して、俺は無礼を承知で振り向かずに答えた。


「貴方こそ何をしているのですか、早くお逃げください。ここは、我らが一瞬でも時を稼ぎます。早くお逃げください」


「何を言っているのだ!」


「責任を!」


「っ!!」


「貴方は責任を果たさなければなりません!それはこんな所で私達に声を掛ける事ではないはずです。将たる者の責務を果たすためには、一兵を惜しんでいる暇などありません」


「しかし・・・!」


 俺が過ぎたる叱責をしても尚、言い募って留まっている殿下に俺は更に言葉を続けた。


「これは私の責務でもあるのです。軍に参加し将を仰ぐ者としての責務なのです。我が軍の勝利の為に貴方を敵の手に堕としてしまうわけには行かないのです。」


「な・・・に?」


「その責務を果たす為には、ここに留まり奴らの足止めをしなければならないのです」


 俺がそう言うと、殿下が馬鹿なことを言い出した。


「ならば、私も一緒に!」


「殿下!何をしておられるのですか!早く逃げましょうぞ!」


 殿下が来ないことを不思議に思ったローゼン公爵が、やって来て殿下に近寄った。


「行かぬ!私もここで・・・」


 敵が近づいてくるなか、なおも馬鹿げた我儘を言う殿下に、俺は声を上げて遮った。


「いい加減にしろ!!」


「っ!!」


「お前はなんだ!この国の王子だろうが!お前は王になるのだろ!ならばここで死んではいけない!どんな犠牲を払っても、お前は生きなければならないんだよ!」


「っ!ぐっ!」


「お前、言ってたよな、現場が見たいって。経験したいって。なら教えてやる。これが現場だ!これが戦場だ!これこそが現実なんだ!」


 もう、敬語なんて使っていない。

 精一杯の言葉で、彼に今のこの状況を伝え、彼が逃げなければならないと言うことを伝えた。

 背後からは、彼の嗚咽と啜り泣く声が聞こえてくる。

 俺は尚も前を向いたままで、ローゼン公爵に頼んだ。


「ローゼン公爵」


「なんじゃ」


「殿下を頼みます」


「うむ」


 不思議と公爵の短い返事の声を聞いただけで、気分が楽になる。

 後ろでは、馬が方向を変える様子が音で分かった。

 鞭の音が鳴り馬が一頭走り出した。

 公爵が殿下の馬を叩いたのだ。

 おおきく嘶いてから走り去る馬上から、殿下が声を張り上げて言った。


「必ず!必ず助けに来るぞ!!死んだら許さんぞ!!」


 その叫びを聞いて僅かに笑みが漏れる。


「ようやく行ったか」


 呟く俺の胸中を一瞬だけ安堵で満たされるがすぐに、恐怖と不安がこみ上げてきた。

 すると、直ぐ隣まで公爵が来た。

 公爵は俺の顔を見て言う。


「なんとも不細工な顔じゃ・・・よう我慢したの」


 俺は振り返ることができなかったのだ。

 恐怖に顔が歪み、涙と鼻水が垂れていて、とても見せられた物ではない。

 もしあそこで振り返っていたら、きっとそのまま走り出していただろう。

 その位怖い。

 公爵はそんなことはお見通しで、一度肩をポンと叩いてから一言だけ発して去っていった。


「武運を」


 その声はとても優しく、とても力強く、そしてもの悲しそうな声だった。

 その言葉に勇気づけられた俺は目元の涙を袖で拭い、兵達に目を向けると、幾人かが俺の方を見ていた。


「不細工な顔ですな若様」


「酷い顔ですよ」


「・・・お前らも人の事は言えんだろ」


 不思議な気分だった。

 ここにいる者達とは、一番付き合いが長い者でも僅かに一月足らずであり、殆どの者とは、まだ三日四日しか経っていない。

 だと言うのに、まるで旧知の者であるかの様な気分になる。

 今この時において、俺達の意思は一つに纏まっていたと断言出来る。


「なるようになるか・・・な」


 戦いの時は近づいている。

 死神の鎌を伴って近付いてい来ている。


「覚悟を決めろ」


 そう呟いて己を奮い立たせながら銃を構えた。

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