表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/149

十話 丘陵の戦い、前進あるのみ

遅くなってしまいましたが何とか投稿できました。



「突っ込め!!」


 勾配の緩やかな狭い林道を抜け、緑一色に支配されていた視界が開けると、敵の本陣と前線との間に出る事が出来た。

 向かって左側が敵の前線部隊で昨日突破出来なかった場所だ。

 今回の俺達の目標は右側にある本陣で、僅かな篝火と眠気眼を擦る見張りが見えた。

 俺達は徐々に速度を上げ、横に広がりながら敵陣に近づいていき、兵団が最高速度に達して突入する直前、鬨の声を上げて敵陣に斬り込んだ。


「「「おおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」


 先頭を俺と皇女、騎士30騎が走り、その後をシャムシールをかざした平原移民とトマホークを持ったダークエルフが続く。

 平原移民達は先程までの戦闘で最も消耗していたにも関わらず士気は旺盛で、その勢いは些かも衰えていない。

 ダークエルフ達も物怖じせず、トマホークやマチェットを振りかざし、独特の甲高い声を出しながら突っ込んでいく。

 全くの無防備だった敵陣に突入した兵達は、目の前にある天幕を潰し、不幸にも早起きしていた敵兵に襲い掛かった。

 その中を走っていた俺は、前方の天幕から起き出てきた兵士を見つけた。

 俺はその男に狙いを定めると馬首を向け、間抜けな顔にサーベルを叩き付けた。

 サーベルの刃が顔にめり込んで骨に当たり、その感触を一瞬感じた後は、何の抵抗もなく振り抜いた。

 俺に斬られた男は、声も上げる事が出来ずに息絶えて地に伏す。

 そんな後継がそこかしこで散見された。


「ぎゃっ!?」


「敵襲だぁ!!」


 突然の攻撃に対応出来ずに慌てふためき、逃げ惑う敵の姿を見る限り、この奇襲の初期段階は成功したと言えるだろう。


「走れ!走れ!俺に着いてこい!!」


「ハハハハ!!良いぞ!ベイル!最高だ!!」


「殿下!自重してください!」


 後ろでは、お転婆皇女に振り回されているベイルと言う騎士が、必死になって皇女を追い掛け、制止しようとしているが、皇女は全く話を聞かず、片手半剣を振り回している。


「カイルよ!」


 いつの間にか、皇女が隣に着けている。

 皇女は、剣を振りながら俺に声を掛けてきて、俺が反応を返すのを待たずに言った。


「カイルよ!私と貴様のどちらが先に走り抜けるか勝負だ!」


 恐ろしい事に俺は、この挑発に乗ってしまった。

 速度を上げた皇女を抜こうと、此方も速度を上げ、一直線に敵陣を駆け抜けて皇女を追い抜いた。

 興奮したまま速度を上げて、敵を切り伏せ追い散らし兵団の先頭を走るのは、実に気持ちが良く。

 また、それに触発された兵達や皇女と騎士達も更に熱狂して、競う様に敵陣の中心目掛けて突進していった。


「「おおおおおおおおおお!!」」


 そうして走っている時だった。

 前から敵の騎兵が10騎ばかり突っ込んできた。


「その意気や良し!」


 そう言って真っ先にそちらに向かったのは、やはり皇女だ。

 俺が僅かに速度を緩めてしまった隙に一気に抜き去り、剣を構えて突撃して行く。

 慌てて俺と騎士達が続き、スレ違う一瞬に敵と切り結ぶ。


「つぇあああ!」


 奇声を上げて斬りかかって来た敵の騎兵に対し、此方もサーベルを繰り出して斬りつけてやる。

 敵の刃を上手くかわし、一瞬僅かな手応えを感じて騎馬の一団を抜ける。

 敵はどうなったのかと思い、少しだけ後ろを振り返ると6騎が後ろの歩兵に捕まって、馬から引き摺り降ろされて滅多打ちにされている。

 後の騎兵は騎士達が討ち取った様子で、残念ながら俺は敵を討つことは出来なかった様だった。

 それから、夜営地を突き抜けた俺は、陣内に立てられていた柵の間際まで来て足を止め、ふと後ろを振り返り、回りを見回して再び前を向いた。

 そんな俺の素直な心情が思わず口から漏れる。


「やべぇ・・・やっちまった・・・」


 かなり興奮した状態で走り回り、皇女や騎士達と先頭を競いあったのだが、ここに来る頃には勢いも無くなり、冷静さを取り戻して我に帰って途方に暮れた。

 調子に乗って進んで来たものの、目の前の敵本陣は馬防柵に囲まれていて、その中には戦闘準備を整えた敵の精鋭が待ち構えている。

 後ろからは敵の前衛陣地から主力の重装歩兵が迫ってきている。

 今逃げれば、敵の騎兵に追われる事にはなるが、歩兵からは逃げ切れるだろう、少なくとも皇女と騎士と自分の命は助かるだろうが、他の兵達は全滅するだろう。

 かと言って、このまま攻撃しても大きな被害を被るだろうし、皇女や自分の命も危険にさらす事になる。

 一時の勢いと流れに任せた行動により自分自身のみならず、指揮下の兵達と皇女殿下の命を危機にさらしてしまった。

 そう考えると、自分の行動の愚かさに頭を痛め、肩に架かれる責任の重さに、押し潰されそうにもなる。

 だが、今はそんな事を考えている場合ではない。

 俺はどちらかを選ばなければならない。

 簡単な事だ。

 自分の命を掛け金にして前か後ろか選ぶだけ。

 選んだら声を張り上げて祈れば良い。

 前へと言えば、敵陣に進み首を取れば良い。

 後ろへと言えば、騎兵に追われながら、来た道を戻れば良い。

 ただそれだけだ。

 どちらを選んでも死人が大勢出るし、生き残れるかも分からない。

 皇女が死ねば同じ事、生きて帰っても責任を取ら無ければいけなくなる

 どちらにしろ俺が生きて逃れる事は難しそうだった。

 それならば、せめて敵の将を討ち取れば言い訳は立つかも知れない。

 ならば答えは自ずと決まる。

 覚悟を決めて鐙を踏み締める。

 腹に力を入れて、声を張り上げた。


「聞け!」


「「「!!」」」


 そう言うと、その場にいる全員が反応して姿勢を正す。

 皇女もビクリとして背筋を伸ばす

 彼女は俺よりも立場が上なのだから、そんな事をする必要は無いのだが、何故かその行動を取った。

 それが何故かツボに入り、妙に可笑しく、込み上げる笑いを噛み殺して言葉を続ける。


「我が兵団は此より、敵陣中央、本陣本営に向けて攻撃を行う!」


「「「お、応っ!!!」」」


「まず、懲罰隊とドワーフ隊は協力して柵の破壊に努め、柵の破壊後、黒人隊が侵入し敵を抑えろ!」


 この言葉に対する返礼はなかったが、ドワーフ達は斧を構え、黒人達も槍を持ち直し大きく頷いて返した。

 懲罰隊のもの達は反抗的で士気も低く、全く反応を返さないが、気にせず続けて言う。


「敵による激しい抵抗が予測される!この間、剣闘隊、ダークエルフ隊は支援に回れ!」


「「了解!」」


 剣闘士達は士気も高く戦意も旺盛で、大きな声で了解の意を表した。

 ダークエルフは表情からは今一分かりにくいが、トマホークやナイフを握り直したりしているのを見るに、それなりにやる気は有る様だ。

 正直彼等には申し訳無いと思う。

 もっとましな装備を与えてやりたかったし、ちゃんとした訓練を施し、部隊としての統率を持った戦闘集団に出来ればと思っていた。

 ましてや黒人達やダークエルフ等に至っては、全く関係が無い上に無理やり連れてこられて戦わせられているのだから、実に申し訳無い。

 しかし、だからと言って彼等を逃がしてやるとか、戦いに参加しないとか、そう言う選択肢はなかった。

 そして、今ここに至り、俺と哀れな奴隷達は一つの山場を迎える事になる。

 俺と言う無能な指揮官を持ったばかりに、こんなことになってしまって本当に申し訳無く思う。

 そんな無知で無能で無力な俺は、彼等に号令を発した。


「前進!」 


 俺の前進号令と共に、この奇襲戦の最終段階の戦闘が始まった。


「懲罰隊前進!剣闘士隊は柵を乗り越えろ!」


 もはや奇襲による優位性は無く。

 後は敵に囲まれてじわじわとすり潰されるのを待つのみだった俺達は、最後の悪あがきに出た。


「退くな!前へ出ろ!それがお前達の受ける罰だ!」


 俺はそう言いながら、逃げようとした犯罪者の一人を撃ち殺して見せしめにした。

 はっきり言って気分の悪くなる事だが、こうでもしなければ、奴らは簡単に逃げるし役に立たなくなってしまう。

 それに、彼等は皆、相応の罪を犯してここにいるのだから、その罪を償う為には逃げる事は決して赦されないし、勝つには必要な事でもある。

 だから俺は心を鬼にして配下の兵にも命じた。


「槍隊構え!逃げて来た奴は殺せ!容赦はするな!奴等は犯罪者だ!」


 前にいる懲罰隊の者にも良く聞こえる様にそう言った。

 願わくば、彼等が真面目に戦いに罪を償って生き残れる様に、そんな事を考えながら、柵越しの敵と戦う彼等を見詰めた。


「柵を越えろ!僅でも良いから隙間を作れ!」


「カイル!」


「何でしょうか?皇女殿下」


 この忙しい時に話し掛けてきた皇女を、少しだけ煩わしく思いながら、前を向いたまま反応を返す。


「私にも何か出来る事は無いか?」


 一体何を言っているのだろうか。


「何も無い!大人しくしてろ!」


 思わず怒鳴り付けてしまい、後ろでビクリとする気配が感じられる。

 今は丁寧な対応をしている余裕は無いし、お転婆娘に構っている暇も無い。

 それに、彼女とは関係の無い事ではあるが、ストレスも溜まっていて、その八つ当たりもあった。


「クソッ!全体前進!槍を使って牽制しろ!」


「「応っ!」」


 焦り混じりに前進を命じて前へ進む。

 農兵達の構える槍を使って柵から敵を離し、その間に柵を壊す事にした。

 補給拠点の防衛の時に敵にやられた事を思い出したのだが、最初からやれていたらどんなに良かっただろうか。

 しかし、俺の鈍い頭では直ぐに気が付かず、今になって思い出したのだ。


「押せぇ!押して間を開けろ!懲罰隊は早く柵を壊せ!ドワーフ達も急げ!」


 兵達に檄を入れ、攻略を急がせている時だった。


「カイル!カイル!」


 再び皇女が声を掛けてきた。

 それを煩わしく思い無視を決めようとしたのだが、余りにもしつこく、振り返って文句を言おうとしたら、間を置かずに食って掛かってきた。


「一体何だ!今はいそ・・・」


「敵だ!後ろから敵が来たんだ!」


 そう言って皇女が指差す方を見ると、先程通って来た野営地から敵の集団が近付いて来ているのが見えた。


「どうするのだカイル!」


 これは一体どうした物か。

 距離は既に200を切り、あと僅で後ろから攻撃を受ける所だ。

 ここで終わりかと頭に過るのだが、神は俺を見捨てはしなかった。


「柵が壊れたぞ!」


 その言葉を聞いた瞬間にそちらを向けば、柵の一部に穴が開き、侵入出来るのが見て取れる。

 それを確認して直ぐに体が反射的に動いた。


「ハンス!槍隊をまとめて後を守れ!ダークエルフは俺に続けて突入しろ!」


 言うが早いか、ヘンリーを走らせて敵陣に入り、着いてきた皇女と騎士と数名のダークエルフを伴って、敵の守備兵を突破した。

 俺達に抜かれた敵兵は後に続いた残りのダークエルフと、剣闘士やドワーフ等と戦闘に入り、追って来る様子はなかった。

 槍隊はハンスの指揮の下で後ろから来た敵に当たり、東方移民もこれに従った。


「止まれぇぇぇ!!」


「押し通る!邪魔するな!!」


 奥に進んで俺達の前に出てきたのは、騎士だった。

 馬にこそ乗ってはいなかったが、重厚な甲冑に身を包み、ロングソードとカイトシールドを持つそいつは、明らかに重装歩兵や重騎兵とは違っていて、そんな装備の兵が居るとすれば、それは裏切者に他ならない。

 案の定、盾に描かれている紋章から、ソイツがオルグレン騎士団の者で、アダムスの配下の騎士である事が分かった。


「グブッ!!」


 目の前に立ちはだかって来たその騎士を撥ね飛ばし、更に進もうとした時だ。


「やああああああああ!!」


「・・・っ!」


 いきなり槍が突き出され、寸での所でそれを避けるも、バランスを崩してヘンリーから落ちてしまった。


「カイル!」


 遠ざかる皇女が、一瞬だけ此方を見て声を掛けてきたのが分かるが、皇女は騎士達に囲まれてながら走り去り、直ぐに見えなくなった。


「グハッ!!」


 衝撃で肺から全ての空気が吐き出され、遠退いて行く意識を何とか繋ぎ止め、急いで立ち上がろうとすると、先程の槍を持った兵士が直ぐ側まで来ている事に気が付いた。

 見た目からアダムスの配下の農兵だと分かるソイツは、荒い息遣いで俺に止めを刺そうと槍を構えている。


「ハア・・・ハア・・・」


「や、止めろ・・・止めろ!」


 思わず吐き出されてしまった言葉は命乞いの言葉だった。

 絶体絶命の状況下において、俺は平静を失い死への恐怖からみっともなく喚いて、助命を求めた。


「頼む・・・殺さないでくれ・・・」


「こ、殺してやる!お前を殺して、褒美を貰う!」


 ジリジリと寄ってきて、槍を下向きに構えて狙いを定める。

 そうして、俺を殺そうとしているこの男は、今にも泣き出しそうな顔で、うわ言の様に褒美を貰うと呟いている。


「し、死ね!」


 これ迄かと、遂に運が尽きたかと、そう思って目を瞑る。

 次の瞬間、左の肩口に鋭い痛みを感じた。


 しかし、何時まで経っても意識は途切れず、次の攻撃も来ない。

 そう不思議に思っていると、俺の顔にべチャリとした生暖かい液体が降り注いだ。


「一体何時までそうしているんだい?」


 声を掛けられて目を開けると先程の男が首から血を流したまま俺を見詰めていた。


「早く立ちたまえ」


 声の聞こえる方を見ると、そこにいたのは、エスト・ローゼンだった。


「もしかして、手を貸して欲しいのかな?」


「要らん!」


 急いで立ち上がると、槍の掠めた肩がズキリと痛むが、それを無視して俺を助けた男に向き直った。


「・・・先ずは礼を言う。ありがとう」


「どういたしまして、団長殿」


「何故ここにいるんだ?」


「これは奇な事を、私も兵団の一員ですので」


 俺が聞きたかったのは、どうやって此処まで来たのかと言う事なのだが、エストは芝居がかった風に答えて、俺にサーベルを手渡してくる。

 サーベルを受け取りながら聞きたかった事を更に追求しようとしたのだが、そこにワラワラと敵が出てきた。


「囲まれてしまいましたな」


「・・・」


 敵の数は八人。

 装備は、ドイツもコイツも粗末な物で、麻布の服に青銅の剣。

 俺は、エストに声を掛けながら背後に回った。


「エスト」


「何です?」


「さっきの俺の醜態は誰にも言うなよ」


 エストと背中合わせになりながら、そう言うと、背中越しにエストが肩を揺らして笑うのが感じられた。


「え、ええ・・・言わないでおきますよ」


「・・・背中、任せたぞ」


 声を震わせて言うエストに少し腹立ちながら言うがエストからの返事は無く。

 ただ、剣を構える気配が背中に感じられ、それを返事と受けて、俺もサーベルを構えた。


「ハアッ!!」


 口火を切ったのはエストだった。

 背後にいたエストは、電光石火の勢いで突きを繰り出し、その刃を敵の一人の首に食い込ませる


「フッ!!」


 それを見ていた目の前にいた敵に斬りかかった。

 半身になってサーベルの切っ先を正面に向けて中段で構える姿勢から、飛び出しながら円を描くように上段からの降り下ろしで、袈裟に深く切る。


「ぐあっ・・・がっ!」


 切りつけた奴を蹴り飛ばして、胸の辺りまで食い込んだ刃を強引に引き抜くと、今度は左から斬りかかってきた敵に対処する。


「・・・っ!」


 上段からの攻撃を射抜き胴の要領で切り殺す。

 その間にも背後のエストが見事な剣捌きで二人の敵を倒している。

 その様子は、非常に優雅で、洗練されていて。

 まるで踊っているかの様な華麗な剣捌きだ。

 そして、俺が三人目の敵に斬りかかり、一太刀を受けられて鍔迫り合いをしている時だった。


「やああああ!!」


 もう一人の敵が後ろから斬りかかってきた。

 その時、俺がこれに対処しようとすると、いつの間にかにエストが躍り出てあっさりと倒してしまった。

 それから間を置かずに目の前の敵を殺し、最終的には俺が三人エストが五人を殺して戦いは終わった。


「こんな物かな」


 やはり、エストは強い。

 現段階で既に俺の数段上の実力を持ち、見た感じでは、躊躇いや怯えも無い。

 そんなエストは、レイピアに着いた血を払いながら、俺の方を向いて話し掛けてきた。


「さて・・・これからどうするのかな?団長殿?」


 そう言うエストの表情はどこか嫌味たらしく、俺は努めて平静に答えた。


「決まっているだろ、前進だ」


「了解」


 言うや否や、二人で競う様に先に進みながら、向かって来る敵を倒していく。

俺が右から来た敵を斬り倒すと、その隙に正面から現れた敵にエストが鋭い突きを放つ。

 今度は、エストが斬りかかられて、それを受けていると、そこに別の敵が槍を持って攻撃する。

 俺は、その敵に拳銃を向けて引き金を引いた。

 そうやって進んで行くと、俺を振り落としたヘンリーが立ち止まっていて、その奥では騎士達が戦っている。


「殿下!!」


 誰かが叫んだ声を聞いて、その方向を見ると、尻餅を着いた皇女に一人の騎士が剣を振りかぶって、今まさに降り下ろさんとするところだった。


「っ!」


「タリア皇女!」


 そして、剣が降り下ろされる。


 振り上げられた剣が降り下ろされ、皇女の命を奪うその寸前に、俺はトマホークを抜いて投げつけた。

 勢い良く飛んで行ったトマホークは、皇女に襲い掛かる騎士の頭に吸い込まれる様に飛んで行き、兜ごと頭を叩き割って、血と脳髄を撒き散らしながら仰向けに倒れた。


「あ・・・ああ・・・」


 パクパクと口を動かし、声も出せない様子のタリア皇女は、頭から汚物を被り。

 護衛の騎士に起こされるまで、凍り付いた様に動く事が出来ずに、茫然と地面に座り込んだまま、視線を一点に集中している。


「エスト」


「えっ!?」


 俺がエストに声を掛けると、声を上げながらビクリと飛び上がって答えた。


「行くぞ」


 そう言ってエストを引き連れて、次の敵に襲い掛かった。


「はあぁぁぁぁ!!」


 エストと協同して敵に斬りかかり、一人一人、敵を殺していった。

読んでいただいて真にありがとうごさいます。

こんな拙い話しにも関わらず読んでいただける事は大変な励みになります。

よろしければ今しばらくはお付き合い頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ