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いつも青い空  作者: 鳥海
3/7

走り出す。③


車に着くと、助手席に乗せてあった自分の荷物を後ろにどけた。

「君の荷物は?」

「重いんで、気を付けてくださいね」

彼女はバックパックを僕に手渡した。しっかりとした重量感のあるバックパックだが、やはり女の子の一人旅にしては容量が少ないように感じる。

「おじゃましまーす」

彼女が助手席に乗り込んだ。

「いらっしゃいませ」

彼女は楽しそうに笑った。

「ふふ、お兄さん結構ノリのいいタイプですね?」

「あんまり言われないけどね。楽しいことは大好きかな」


車はサービスエリアの駐車場から、高速道路へと走りだす。スイスイと進む高速道路は、ともすればスピードを出しすぎてしまう。隣に命を預かっている感覚が、緊張感を抱かせる。

「僕、唯秋(ただあき)って言います」

突然自己紹介をしたのは、彼女の名前を知りたいと思ったからだ。ヒッチハイクで旅行なんて、訳ありかもしれない。不用意に名前を聞いて、答えられないなんて言われた日には、気まずくなること請け合いだ。

「じゃあ、アキさんですね」

「そっちなの?」

「そっちって?」

「小学校の時、タダって呼ばれてたからさ」

「私ハルっていうんです。なんかハルとアキっていいコンビっぽいでしょ?」

ハルとアキ、春と秋。こんな偶然あるのか。名前が二人とも季節に関係するなんて。それに加えて、春も秋も好きな季節だ。

「素敵だね」

「素敵だねって男の人も使う言葉なんだ」

「使いたいときには使うよ」

「素敵ですね」

言葉遣いを褒められるのは嫌いじゃない。むしろ好きだ。言葉は内面を表すものだから。内側の柔らかい部分を、褒められたような気になる。


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