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いつも青い空  作者: 鳥海
2/7

走り出す。②

「行く前にちょっとコーヒー買ってもいい?」

「どうぞどうぞ」

ついさっき初めて会った女の子と二人、連れ立って歩いている。なんだか悪いことをしているような気分になってしまう。

五人ほどの列が伸びているコーヒーショップに二人して並ぶ。カウンター上にあるメニューを眺める女の子は、鼻歌を歌いだしそうなほどご機嫌だ。

「お兄さんは?」

「ホットコーヒーかな」

「オッケーオッケー」

そういうと、女の子はカウンターに進み出た。

「ホットコーヒーとハチミツラテください。両方Mサイズで」

さっと支払いを済ませてしまう。

「えっとホットコーヒーいくら?」

「いやいやいや、いいですよ!これから車乗っけてもらうんだから」

女の子は右手をひらひらと振った。

「なんか悪いね。こんな若い子におごってもらうなんて」

「こんな若い子って、お兄さんいくつなんですか?」

「いくつに見える?」

「やだそんな、合コンしてるOLみたいなこと言わないでくださいよ」

わざとらしく上半身を仰け反らせると、女の子は顔をしかめた。

「そんな嫌そうな顔しないでよ。25歳だよ」

「ふーん、年相応って感じですね」

僕の顔をまじまじと見つめながら彼女は頷いた。


「ホットコーヒーとハチミツラテでお待ちのお客様~」

甲高い女性店員の声を聞くと、彼女はトトトっと軽快にカウンターに近づき、コーヒーの入ったカップを二つ受け取った。

「はいどうぞ」

片方のカップを僕に手渡す。初めて正面で彼女の笑顔を見たかもしれない。初めてと言っても、まだ出会って30分ほどしかたっていないのだが。若い。若い子ってみんなかわいく見えるな。自分の心の声があまりにも爺臭くて嫌になる。

「では、行きますか」

自分の車へと二人で向かう。一人で降りたサービスエリアを二人で出るというのは、なんとも不思議な気分だ。なぜか心強く感じている僕はおかしいんだろうか。旅は道連れを、こんな風に体現することになるとは。


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