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あなたの瞳におちて -愛した人は、元暗殺者-  作者: 島崎紗都子


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39 名前を呼んで

 暖かく穏やかな昼下がり。

 トランティア家の広大な庭園の一角に設置された東屋で、数人の年若い侍女たちが輪になってお喋りに興じていた。

 気の合う仲間同士の会話はとにかくはずむもの。それが他人の噂話ともなればなおいっそう。そして、今日この日の彼女たちの話題はサラのことであった。


「ほんとに、サラ様の部屋から話し声が聞こえたの?」


「ほんとうよ。相手はきっと男ね」


「男! そんなのあり得ないわよ、サラ様が男の人を部屋に、それも夜中にこっそり呼ぶなんて」


 そうそう、と侍女たちがうなずき、そんなことがあるわけがない、あり得ないと口々に否定する。


「嘘じゃないわ。確かに相手の声はぜんぜん聞こえなかったんだけど」


「じゃあ、男の人かどうかなんてわからないじゃない」


「でも! 会話の内容からして絶対、男よ。間違いないわ。私この耳でちゃんと聞いたのよ。時々サラ様がはしゃいだ声をあげて……」


「それは、ほんとにひとりではしゃいでいたんじゃないの? サラ様少し変わったところがあるし」


 ねえ、と侍女たちは互いに顔を見合わせうなずいた。


「違うわよ。ほんとに誰かと会話してたのよ」


「話している内容は聞こえたの?」


 さっきまで、サラに男の影など存在するわけがないと言い切っていた侍女たちだったが、すっかり興味津々という顔つきで、サラの部屋から話し声が聞こえたと言い出した侍女についっと身を乗り出すようにつめよる。


「サラ様は恋愛には興味ないって感じだったのに」


「でも、この間の夜会で、すっごく美形で長身のいい男を連れていたって話を聞いたわよ」


 侍女たちの会話はさらに続く。


「それ私も聞いた! 回りの女性たちがサラ様のお連れを狙っていたとか」


「バルコニーで二人で抱き合って、そのまま夜の薔薇園に消えてしまったって」


「その後、夜会の会場に戻らなかったって聞いたわ」


「結局、その男の人もどこの誰だかわからなかったみたいだけどね」


「でも、確かに言われてみると最近のサラ様ったらご機嫌だし、少しおきれいになったような気がしなくもないし」


「本当に誰かいい男性(ひと)でもできたのかも」


「ええ! あんな立派で素敵な婚約者がいらっしゃるのに別な男性だなんて!」


「ほんとうよ。サラ様が羨ましいわ。ファルク様と結婚できるだなんて」


「ああ、ファルク様……」


 そんな彼女たちの目に、少し離れた場所で小走りに薔薇園の方へと走っていくサラの姿が目にはいった。

 侍女たちは慌ててサラの元へと走り寄る。


「サラ様、どちらへ行かれるのですか?」


 侍女たちに呼び止められ、サラは足をとめて振り返った。


「とてもお天気がいいみたいだし、お庭でのんびり本でも読もうかと思ったの」


「でしたら、私たちもぜひご一緒させて……」


 目を離したすきに勝手にどこかに行ってしまって、後で探したり、あれこれ面倒なことになってはかなわないというのが侍女たちの本音である。


「い、いいの。ひとりで考えたいこともあるし」


 サラはにっこりと侍女たちに微笑みを浮かべ、次の瞬間、さっと身をひるがえしてその場から逃げるように走り去ってしまった。


「サラ様お待ち……を、って……」


「行ってしまったわ」


「それにしても、本を読むですって? サラ様の手に本なんかなかったじゃない」


「よしましょう。詮索はするのは……」


 追いかけることをやめ、そうね、と侍女たちはため息混じりにこぼし、すっかり遠くなってしまったサラの背中を見送るのであった。



 ◇



 甘く芳しい薔薇の香りが辺りを満たす。

 季節はうつろい始め、空も空気も夏の終わりを忍ばせつつも、吹く風にはまだ熱気が孕み、いっそう花の香の濃密さを増した。

 眩しいほどの陽光がトランティア家の庭園を明るく照らしだす。

 その薔薇園の一角で、サラは短剣を振り回していた。

 当然のことながら、正式に剣など習ったわけではなく、何度か騎士たちの訓練を目にしたのを真似ているだけだ。

 本人はかなり真剣のつもりらしいが、はたから見れば何とも滑稽であった。

 まるで、子どもが木の枝を振り回して騎士ごっこでもしているようで。

 それにしても、もしもこんな場面を祖母に見られでもしたら間違いなく嫌みやらお小言やらを食らってしまうだろう。

 使用人たちのほとんども祖母の息がかかっているため見られるのはまずい。

 だから屋敷から離れた、滅多に人の来ないこの場所へとやって来たのだ。それに、ここならハルと会っても人に見られることはまずない。

 今までは夜、それもみなが寝静まる頃に会っていたから、こんなにお日様がまだ高い時間にハルと会うのは新鮮な気がした。

 いつもよりもハルとたくさん一緒にいることができる。

 今日はどんなお話をしようか。

 何をしようかと考えるだけでわくわくとした。

 ひとしきり素振りの真似事を終えたサラは、じっとりと汗ばんだひたいを手の甲で拭い、ふうと息をつく。


「すっかり汗をかいてしまったわ。でも、気持ちいいかも」


 服も汗で濡れてしまいぴたりと肌にはりつく。

 握っていた短剣を芝生の上に置き、サラはころりと寝っ転がった。

 お日様が眩しい。

 右手を目の前にかざして太陽の光を遮る。それでも指の隙間からもれる光にサラは目を細めた。

 さわりと吹く風にスカートの裾が大きく膨らむ。

 めくれそうになる裾を押さえようと手を伸ばしたとき、目の端に人影を捕らえサラは慌てて半身を起こす。


「何、遊んでいるの?」


 すぐ近くの木の幹に背をあずけ、ハルが腕を組んで立っていたのだ。

 いつからそこにいたのだろうか。気配すらまったく感じなかった。それに、たった今ここにやってきたという感じでもない。


「ハル!」


 勢いよく飛び起き、ハルの元へと駆けていく。

 嬉しそうに顔を輝かせ、サラはハルの背に腕を回し抱きついた。が、すぐにぱっと手を離し一歩後ろに足をひいてハルから離れる。

 ふっと、昨夜のことを思い出したからだ。


 確かにハルの印が欲しいと言ったけど、まさかあんな場所に跡をつけられるとは思いもしなくて……。


 頬が一気に紅潮していくのが自分でもわかった。

 あの時の痛みも熱さも、もうすでに消えてしまったけれど、ハルからもらった印はまだ肌に残されている。

 しらずしらずハルの唇に視線がいってしまい、サラは慌ててうつむいた。

 何だか目を合わせるのも恥ずかしいと顔を上げられず、目の前に立つハルの足下のあたりに視線を固定する。


「い、いつからそこにいたの」


 声までうわずってしまう。


「あんたが短剣を振り回して遊んでいる時からだよ」


 ということは、もうずいぶん前からここにいたということになるのでは。

 それに……。


 やっぱりハルはいつものハルだわ。

 私ばかりがどきまぎして、ハルは相変わらず涼しい顔。

 何かくやしいかも。


「声、かけてくれればいいのに」


「ずいぶんと楽しそうに遊んでいたから、邪魔しては悪いと思って」


 サラはゆっくりと視線をあげた。


「あのね、遊んでいたのではなくて剣の稽古をしていたのよ」


「稽古?」


 ハルは芝生の上に置いてあるサラの短剣を一瞥して、ふっ……と、視線を斜めに落として笑った。それも口許を歪めて薄く。


「な、何? 今のそのふっ、て笑いは何?」


「別に」


「別にって、すごく感じ悪かったわよ」


「気のせいだよ。それにしても剣の稽古って何のつもり?」


「それはもちろん、少しでも強くなって自分の身くらい自分で守れるようになろうと思ったの」


「あんたもほんとに変わってるね」


 サラは首を傾げ、じっとハルを見上げた。


「何?」


「ねえ、名前では呼んでくれないの? できればサラって言ってくれたら嬉しいな」


「いやだ」


 即答であった。


「またいやなの? どうしていやなの? 名前で呼ぶだけよ」


「照れくさいから」


「……」


 サラは大きく目を開き、ぱちぱちとさせた。


 今、何て言ったの?

 ハルが照れくさいって?

 うそでしょう。


 意外なハルの一言にサラの方が何故かうろたえてしまう。

 でも……。


「照れくさいって、そんな真顔で言われても……」


 それに全然、照れている感じには見えないし。

 サラはうーん、と首を傾げた。が、ちょっとした悪戯心がわいてきたのか、サラはにこりと笑ってハルにつめより上目遣いで見上げた。


「でも、昨夜は名前で呼んでくれたでしょう? 照れないで言ってみて? ね、ほら」


 思わず調子に乗ってハルの両腕をつかむ。


「サラって呼んで」


「いやだって」


 一歩足を後ろに引いたハルを背後の木に押しつける。何だかハルを追いつめている感じで、サラの心に優越感がむくむくと込み上げてきた。

 これまでハルに冷たくされたり、意地悪されたり、どきどきさせられたりしたのだ。少しくらいハルを困らせてみたい、戸惑うハルの反応をもう少し見てみたいと思ってしまった。


「ねえ、私の目を見て言ってみて」


「あんたもしつこい」


 と、声を上げると、ハルはふいっと横をむいてしまった。その顔はどこか赤い。

 サラの胸がきゅんと鳴った。


 え? ハルが顔を赤らめるなんて……こんな顔をするハルなんて初めて見たわ。

 ほんとうに恥ずかしいのね。


 思わず手を伸ばし、ハルの柔らかそうな髪に触れそっとなでる。

 手を振り払われることも、嫌がられることはなかった。

 最初に出会った頃のとげとげしさも、近寄りがたさもだいぶなくなって、こうして見るとどこにでもいる普通の少年にしか見えない。だけど、ハルはレザンの元暗殺者。

 その手でたくさんの人を殺してきたとは信じられなかった。


 でも、さすがにこのくらいにしてあげないと、ハルがかわいそうかもね。

 反撃されたら怖いし。


「……わかったわ。あきらめるわ」


 と、サラは頬をふくらませた。その瞬間ハルが口の端を持ち上げふっと笑ったことに気づく。


 も、もしかして恥ずかしそうに顔を赤らめたのも、困ったように横を向いてしまったのも演技なの!


 サラは、はあ、とため息をつく。

 そもそも、ハルを困らせてやりたいと思ったのが間違いであった。ハルの反応があまりにも可愛くて、ついつい悪戯をしてしまったが、相手は自分よりも一枚も二枚も上手だったことを忘れていた。


 これはもう自然に名前を呼んでくれるのを待つしかないってことね。

 もうそれでいいわ。


 それよりも、本当にハルにお願いしたいことは別にあった。


「あのね、今日はハルにお願いが……」


「断る」


 言いかけたサラの言葉を途中で、それも即座にハルは遮る。


「まだ何も言ってない」


「剣を教えろって言いたいんだろう」


「そう! そうなのよ。よくわかったわね。ね、いいでしょう?」


「断ると言ったはずだ」


「どうして?」


 しかし、今度こそは引き下がらないと、サラは真剣な顔でハルを仰ぎ見る。


「基本ぐらいならいいでしょう? それに、何でも教えてくれるって言ったじゃない」


「何でもとは言ってない」


「言ったわよ」


「言ってない。そんなに剣を振り回したければ、騎士団にでも入れば?」


 サラは唇を尖らせた。

 それができるのならとっくにそうしているわよ、とでも言いたげだ。

 それに、騎士団に入団できるのは男子のみ。おそらくこの先も例外はないだろう。それをわかっていて言うのだからやっぱり意地が悪い。


「それでも、私が少しでも剣の扱いを覚えていれば、ハルに迷惑を掛けることもなくなると思うの」


「俺が守ってやるっと言っただろう。それでも不満? それとも俺では頼りない?」


「そうではないけれど……」


 ハルが実際剣を振るっているところを目にしたことはないが、自分で強いと言っているのだから間違いなくそうなのだろう。それに、この世で最強だと言ったレザンの元暗殺者に守ると言われて、頼りないなどと思うわけがない。


「剣を振り回してどうするの?」


「どうするって……」


「人を傷つけるのか?」


「それは……」


「できるの?」


「……できない」


 両腕で自分の肩を抱きしめ、サラは身を震わせた。

 浅はかだった。

 自分の身くらい守ることができたらと単純に思っただけで、人を傷つけるなど考えもしなかった。

 それ以上、言い返す言葉が見当たらなかった。


「そういうことだ」


「ごめんなさい……ただ、私もハルみたいに少しは強くなりたいと思っただけ。ねえ、ハルは最初から強かったの?」


 まさか、とハルは苦笑しながら答える。


「剣をふるうどころか、満足に握ることさえできなかったよ」


 意外すぎるハルの答えにサラは口を開けた。

 けれど、よく考えれば当たり前のことだ。

 誰だって最初は初心者。

 ハルがどんなに強いからって、剣を握ってすぐに今の強さを手に入れたわけではないはず。それこそ、血のにじむような努力を重ねたに違いない。そうしなければ、切り捨てられる、組織の中では生き残れないとハルは言っていたのだから。けれど、そんなハルを想像することができなかったし、努力するハルの姿を思い浮かべることもできなかった。


「ねえ、ハルにいろいろ教えてくれたお師匠様って、どんな人だったの?」


 ハルの藍色の瞳がふっと翳りを見せた。

 沈んだ表情を浮かべるハルを見て、一瞬、他の男の人のことを尋ねてしまい、機嫌を損ねてしまったのではと危惧したが、どうやらそういうわけでもないらしい。

 憂いを秘めたその瞳は一点を見つめたまま、けれど何かを映しているわけではなく、どこか遠く、寂しげに揺れていた。


「ハル?」


 大丈夫? と、不安になってハルの腕に手をかけ呼びかける。すると、ハルはぴくりと肩を震わせ我に返った。


「あ、ああ……レイのこと? とんでもなく強い人だよ」


「とんでもなく? ハルよりも?」


 ハルよりも強い? というサラの問いかけに、ハルは苦い表情で肩をすくめた。


「俺など足下にも及ばない」


「すごく以外だわ」


「レイと剣を交えて勝てたことすらない。一度も」


「それも以外……」


 シンを無理矢理夜会に連れて行った日、サラはシンがファルクと剣を交えるところを実際に見た。シンは圧倒的な強さでファルクを負かしてしまった。そのシンが、ハルにはかなわない戦いたくないと言い、そのハルはさらに師匠には勝てないという。

 そのレイという人は、どれだけすごい人なのだろうかと、興味さえわいてきた。


「ハルのお師匠様はものすごい猛者なのね。きっと強面で、身体が大きくて、背も高くて筋肉隆々って感じ。あたってる?」


 ハルよりも強いというくらいなのだから、きっとごつい感じの人に違いないと、思ったサラは会ったことのないレイという人物の姿を表現する。しかし、ハルは両肩を揺らしながら笑い出した。


「レイに会ったら、絶対に驚くと思う」


「驚く? やっぱり、ものすごく、ごつい人なのね? 熊みたい?」


「熊ね……」


 ハルは笑ったまま違うと首を振った。


「その反対。あんたが想像しているのと全然違う。見かけは女性みたいにたおやかな人だよ。物腰も柔らかくてきれいな人だ」


「ハルだってそうよ。怒られるかも知れないけれど、ハルだって一見すると強そうには見えないし、とてもきれいだし。前みたいにとげとげしさがなくなって、口を開かなければ……」


 おとなしそうに見えるし……と、最後の言葉はもごもごと口の中で呟く。


「俺たちは容姿も武器だと言っただろう? たいていの奴らは俺たちの見た目で油断する」


 確かに……と思わず心の中でうなずいてしまう。


「ねえ、レイという人も、ハルと似たような境遇で組織に?」


「違うよ。レイはレザンのフィクスレクス国の王子だ。いや、元王子だな」


「お、王子様っ!」


 そんなことまで聞いてしまってもいいのかしらと思いながらも、サラは素っ頓狂な声をあげ目を丸くする。


 一国の王子様がどうして暗殺組織に? いったい、ハルのいた組織にはどういう人たちが揃っているのか本当に謎だわ。


 それにしても……。

 その人のことを語るハルの口調はとても懐かしそうで、嬉しそうにも見えた。


「ハルはほんとうにその人のことが好きなのね」


「好き?」


「とても嬉しそうに喋るわ。会いたい?」


 ハルはいや、と小さな声を落とした。その表情に苦渋の色がにじむ。


「会えないよ。今度会うときは敵だと言われた。その時は容赦なく俺を殺すと。俺はレイにだけは絶対に勝てない。だから、二度とレザンには戻れない」


 サラの手がハルの頬へと伸びた。


「会いたい人に会えないのはとても辛いわ」


 それに、好きだと思っている人にそんなふうに言われてしまうなんて悲しすぎる。


 頬にあてた手をとられ、指先に口づけをされた。そして、ハルは地面に置いてあったサラが振り回していた短剣を拾い上げる。


「両手でしっかり握って」


「え? うん」


 言われるままサラは鞘におさまったままの差し出された剣を両手で握りしめ、怪訝な顔で手にした剣とハルを交互にみやる。

 剣は教えないとさっき言ったばかりなのに、どういうつもりなのだろう。


「むやみに剣を振り回せば怪我をするどころではすまない。それに、あんたに人を傷つけるような真似はさせたくない。だから……」


 と言って、握りしめていた剣をハルの手によって首筋に持っていかれる。


「えっと、これって……私はどうすればいいの?」


「脅しだ」


 脅し……?


 しかし、よもやハルの教わったこの方法が、後に役立つことになろうとは、この時のサラには欠片ほどにも思いもしなかったであろう。


「これ以上近づいたら死んでやるわって、叫ぶのね」


「こうすればたいていの相手は怯む」


 緊張した面持ちでサラはこくりと喉を鳴らしてうなずいた。と同時に、お腹まで派手にぐうと鳴った。


「……」


「……」


「や、やだ! すごい恥ずかしい……そういえば私、お昼ご飯まだだったかも。朝も少ししか食べてないし」


 少しどころか、しっかり食べたけど。


 慌ててお腹を押さえ、サラは咄嗟にいいわけがましく言う。


「今日は予定はないって言っていたね」


「そうよ。だから、ずっとハルと一緒にいられるの」


 うう……でもお腹が空いてきたかも。さっき、たくさん動いたからだわ。こんなことなら、おやつでも用意してくればよかった。

 どうしよう、またお腹が鳴ってしまいそう。


「町に行かないか?」


「町に? ハルと一緒に?」


「俺以外の誰といくつもり?」


 サラは目を大きく見開き、瞳を輝かせた。

 まさか、ハルから町に行こうと誘ってくれるなんて嬉しすぎるわ。


「俺もお腹が空いた」


「もしかして、ハルと一緒にご飯が食べられるの? 行く! 行きたい。ハルと町を歩いてみたい!」

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