ヴァンパイア・ナイツ16
1週間くらいたったらクラスのあちこちで私が持っているのと同じ系統の待ち受けを見かけるようになった。正直言って私はびっくりした。可愛いけれどダウンロードは有料だからそんなに増えるとは思わなかった。
「何か人気だよね」
私に初めてダウンロード先を聞いた同級生が私に声をかけた。
「そうだね。嬉しい、かな」
別に嘘ではない。私はただでさえ口数が少なくって暗いって思われているし、そんな人が見ていた微妙にダークなモチーフの動画、なんてそれだけで敬遠されるかもしれないと思っていたのだから。
「うん、まあね。でもちょっと増えるの早すぎたかな」
さばさばした口調でそう言われて、私はその同級生が急に羨ましくなった。私はそんな風には自分の思った事を言葉にはできない。心の底で思っていた事を自分の代わりに言葉にしてもらって私は嬉しくなった。
「そう、同じデザイナーの人の別サイトがあるんだけど、見てみる?」
本当は教えるつもりは無かったのだけれど、お礼代わりにならないかと思って言ってしまった。
「へえ、そんなサイトがあるんだ。よく見つけたね」
「名前は違っているんだけれど、多分同じ人。初めに見つけたのがそのサイトで、そのサイトからこの前のサイトにリンクが張ってあったの」
同級生はちょっとあまり乗り気ではないようだったけれど、見てみようかな、悪いけれどURLを送ってくれる?と言って席に戻って行った。
私がメールを送るとすぐに返信が来た。
『ありがとう。友達には言わないでおくね』
私もその方が嬉しいかな。でも返信にはこう書いてしまった。
『そうだね。でも広まっても別に構わないからね』
1度教えた以上、その同級生から他の子に広まっても文句は言えない。でも、広まらなければそっちの方がいいのだけれど。