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俗に言う出会いは最悪ってやつだ  作者: ルーラブ


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3/9

擬似デート

「なんでこんなことに・・・」


雑誌取材当日、学校に向かう一真の足取りは重かった。


ヨボヨボと老人のような足取りで学校に向かう。しかし十一時という高校生活二年目にして初めての中途半端な登校時間により、何か特別な日だと体が勘違いしてしまっており、少しだけこのイレギュラーな状態にワクワクしてしまっている。


「最悪、なんでアイツと・・・」


同時刻、同じく学校に向かっていた姫乃も酷く考え込みながら向かっていた。


これから嫌いな相手と半強制的にデートをさせられるために学校に向かっている。この心情を姫乃は昔の遊郭に例えていた。


一真はヨボヨボ歩いていたせいで、生徒会室に到着したのは四人の中で一番最後だった。最後と言っても集合時間五分前であったため遅刻したわけではないが、謎の罪悪感に襲われる。


集合場所になっている生徒会室に入ると見慣れない顔の大人が四人居た。山下先生と談笑していることから雑誌の関係者だと言うのはこの後先生から紹介を受けるまでもなく理解出来た。


「時間になりましたし、向かいましょうか」


雑誌関係者の一人が、先生との談笑に一区切り付けるとそう発言した。しかし今日の撮影はどの場所で行うか、生徒会メンバーには何も知らされていない。


特に今回の当事者である一真と姫乃はこれからどこに連れて行かれてどんな写真を撮られるのか、気が気ではなかった。


一行は用意された車に乗り込み、学校から十分程度の場所にある衣裳店に辿り着いた。


「休日デート」がコンセプトのため、今着ている制服からコーディネートされた私服に着替えるとの説明を車内で聞いた。


そしてお店に入ると待ってましたと言わんばかりに店員さんがお出迎えをしてくる。そして男女別に別れてお店にある服からコーディネートされていく。


姫乃は今回の撮影に乗り気では無かったとは言え、一応年頃の女の子であり自分がどのような服が似合うのか、プロのコーディネーターに見繕って貰え少しテンションが上がっていた。しかもタダだし。


一方の一真はあまりファッションに興味が無いためコーディネーターの言われるがままの着せ替え人形になっていた。


一真の着替え完了から十五分後、ようやく姫乃と結菜が私服を身に纏い登場した。


「お、お疲れ」


普段の紺系統の制服とは違う、白を基調にした清楚感溢れるブラウスを身につけ、学校では束ねてある髪も下げてカールが巻いてある。


そういえば、選挙以降顔を合わせるのが気まずくてまともに目を合わせたことがなかったが、こうして改めて見てみると他の男子が可愛いと絶賛するだけある。しかも普段のツンとした雰囲気が緩和され、華奢で可愛らしい女の子になっている。


姫乃は私服が恥ずかしいのか、下ろした髪の毛を手でクルクルと回しながら下を俯き、頬を赤らめている。


そんな姫乃を揶揄うように背後から結菜が肩に手を当てて「可愛いっしょ」と一真に向けて揶揄う。


「ちょっと!」と姫乃は更に頬を赤らめて結菜に怒る。その様子を見て反応に困っていると、今度は一真の背後から陽斗が「照れんなって」と追い討ちを掛けてくる。


この時、まさか一真の知らない裏であんな作戦が動いてるとはこの時知る由もなかった・・・


その後再び車で移動を挟み、今度は古民家をリフォームしたカフェに連れてこられた。近くの駐車場に車を止めるなり、雑誌の関係者が慌ただしくトランクから一眼レフや照明などの撮影機材を準備しているのを見て遂に撮影が始まるのだと覚悟した。


お店に入ると早速着席位置を指定され、今回の被写体である一真と姫乃は窓際の日当たりの良い席に座らされた。


そして息つく暇も無くすぐに事前に調理してあった美味しそうなパスタがテーブルに運ばれてくる。早速一口と行きたいところだが指示があるまでは手を付けないでと釘を刺されているので、大人しく待てをしている。


時刻は午後一時前、朝ごはんに軽くフルーツを摘んだ程度なのでちょうど程よくお腹が空いている。


ミートパスタの香りが鼻腔をくすぐり、脳が栄養を欲しているのか胃が空腹でムカムカしてくる。


そして遂に胃がグゥゥゥと小さな音を立て始めた。


咄嗟に周囲を確認したが、誰にも気づかれていないようだ。そして目に入ったのが今回の撮影に関係ない陽斗と結菜、そして山下先生が端っこの別の席で美味しそうにパスタを啜ってる姿。遠くからガンを飛ばしたが三人には届かなかった。


グゥゥゥゥ


再びお腹が鳴る音が今度はお店に響き渡った。しかし今度は自分の音ではない。音の主が気になり顔を上げると、そこには頬を先ほどと同じくらい赤くした姫乃が居た。


別にとやかく揶揄うつもりはないのだが、日頃はクールで、一真に対して恨み節をぶつけて来るあの浦木姫乃がここまで恥ずかしがっているのを見るとギャップでつい揶揄いたくなってしまう。


その気持ちを必死に抑えていると、雑誌の担当の人が駆け寄ってきて


「ごめんなさいねお待たせしちゃって。もう撮っちゃいましょうか」


と言うものだから姫乃は申し訳なさと恥ずかしさで更に俯いてしまった。


結果としてこの一件のお陰で「お昼はカフェで♡いつもと違う私服にドキリ」という最初の記事の写真は姫乃の頬の赤さが程よく初心なデートっぽく写り、カメラマンがテンション高めにそれを撮影するのだった。


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