ホットココアが冷める前に
掲載日:2025/12/08
二人分のマグカップを並ばせた午後十時
窓の外で吐く白い息が
凍てついた冬の空気に溶けてゆく
部屋の中ではあたたかい湯気が
テーブルの上で静かに漂っている
あなたは何も言わずに
ただ私の目を見つめて
その瞳に私を映した
そしてやさしく微笑むだけ
沈黙はブラックコーヒーなんかしゃなくて
たっぷりのミルクとお砂糖を入れたみたいに
いいや、それよりもっと甘い
ホットココアみたいな
やさしい甘さ
このホットココアが冷める前に
胸の奥に秘めた
あなたへの想いを伝えようかな
マグカップを両手で包む
冷たくなっていた指先が
少しずつ温もりを取り戻して
空気がやさしくなってゆく
そろそろ言葉を交わそうか
会話なんてなくても
心地いいけれど
ホットココアが冷める前に
「あのさ、」
ご覧いただきありがとうございました。
ホットココアが冷める前に。
誰かに届きますように。




