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私の秘密は増えてゆく ~この幸せを守るため――だからわたしは仮面をかぶる~  作者: 月城 葵
三章    少女と暴かれる秘密

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45話  偶然が必然に変わる時 ~導いた答え2~



 所長が言うには、この時期のトマトは非常に安い。

 農家からしてみれば、ただの処分品になる。

 そんなものを大量に所持していることに、注目するべきだと。


「処分品に近いトマトを、大量に運ぶ理由を考えてみなさい」


 ……東地区で配るため? いや、犯罪者がわざわざしないなぁ。


「運ぶ、運ぶ……配る……ん? 何かを作ろうとした? いや……」

「何か気づいたか?」

「お金儲けじゃないのは、わかるんですが……」


 いくら頭を捻っても、わたしの頭脳では何もわからない。

 もう頭から湯気が出そうだ。


「ふむ。では、視点を少し変えよう。毒はどこで仕入れたのだ?」

「そりゃぁ、決まって……」


 ……こことは言い切れないなぁ。あれ、街のどこか? いや外だとしたら……。


「どこでしょう?」

「現状では、街の中か外の二択だな」


 所長の顔には、ヒントは与えたぞと書いてある。

 紫色の瞳がじっとわたしを見据えて、答えを待っている。


 ……おかしいな。さっきから所長の考えを聞いてるのに、テストみたいになってるぞこれ。


 毒が街の中で製造されたのであれば、それに見合った量のトマトでいいはずだ。

 外で製造されたなら……いや、わざわざ毒を持ち込むのは面倒なはず。

 そうなると、やはり街の中だろうか。


 ……面倒? なんで? 門兵にバレるから……処罰は困る。なら、バレなきゃいい。


 キーワードを並べて整理していくと、頭がクリアになっていく。

 自分でもよくわからないうちに、なんとなく口を開いてしまった。


「大量のトマトは毒を運ぶための偽装だった?」


 所長がふっと笑った。

 どうやら正解のようだ。


「大量の物資の中に、あの毒の小瓶を隠すためという理由が一番筋が通るな。今の時期のトマトなら、ただ同然だ。門兵も大袋で大量のトマトが運び込まれたら、個別に袋から出すこともしないだろう」


 ……たしかに、そうだね。


「ましてや、商品ではない処分品だ。検査も甘くなる。毒のトマトは運搬中に袋の中で瓶が割れてしまった、あるいは漏れ出したなど、偶然であったと仮定した場合はどうだ?」


 だから、あの袋のトマトだけ異様な腐り方だった。

 もともと混入することが目的ではなかったならば……。


「しっくりきます……でも、瓶が簡単に割れたりしますか?」


 所長が棚に置いてある空き瓶を見た。


「薬品を入れる容器は密閉しないといけないため、少しの漏れも許さないよう特殊な瓶に入れる」


 空気に触れないようにとか、他にも魔法的な要素があるのだろう。


「へぇ~、そうなんですね」

「しかし、強度に欠点がある。非常に脆いのだ。そのため、通常は優れた衝撃、耐水加工が施された箱に厳重に保管されて運搬される。そのような瓶が、剝き出しの状態で運搬されていたのであれば、割れても不思議はない」


 そういうと、所長は机の上にあった木製の匙を手に取った。

 棚にあった空き瓶の側面を、コンコンと軽く叩き実演する。


 すると、軽い衝撃なのに瓶にはうっすらと亀裂が見えた。


 ……かなり脆いのね。


「でも、仮定の話ですよね?」

「そうだ。あくまで仮定だ」


 なぜか所長を見ていると、確信している気がするのだ。

 そこまでの自信はどこからきているのか。


「疑問か? まるで確信しているようだと」


 ……あっ、バレた。


「……はい」


 少し迷ったように所長の瞳が揺れたが、「聞きたいか?」と問う。

 もう部外者ではない気がするわたしは、こくりと頷いた。





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