私がもやしを呼んでいる
何が起きていたのか、それはモンスターと一人の魔法使いの女の子の戦いだった。
人型で角が生えたモンスターや鎌のような大きい武器を持つモンスターなどのモンスターがたくさん集まっていた。
魔法使い一人に大勢で、もはや話にならないくらいに攻撃を繰り出していたのだ。魔法使いはかろうじて避けているが、もうかなり疲れ果てている様子。
「これはまずい‼」
私もこんなモンスターは見たこともなく、ここまで数量差があると、勝てる気がしない。
でも、このまま放っておくわけにはいかない! 人間として、もやし農家として‼
「うああああぁっ‼」
ついに魔法使いにモンスターたちの攻撃がヒットしてしまった‼
少し後ろに下がり、前に倒れてしまった。動かない魔法使い。満足げなモンスターたち。急がないと‼
ここは、正面から戦うではなう、魔法使いを抱えて逃げようか…。いや、それじゃあ追いつかれる…。
なら…、「もやし」の力を使うしかない‼
勢いよく走りだす私。この勢いが、この行き当たりばったりがたまらない!
今回ばかりは少し怖いけど、あの時、急に「もやし農家になる」と決意を固め栽培を始めたときもなんとかうまくいった。
「ん? おまえは誰だ!」
モンスターに気づかれた‼ こうなったら……。
すべてを「もやし」にかける!
「壁菜‼」
モンスターを分断し、そのまま魔法使いを抱え、私は「もやし栽培ハウス」の方向へ駆けだした。
もやしの常時スキルは「軽量」そして、今はもう夜に近づき、暗くなってきている。
「影バフ」も発動を開始する!
そのまま、走り続けた。「もやし栽培ハウス」につくまで走り続けた。
もうあたりは暗い、ただ走り続けた。まだ、息はあるようだ。でも、傷はかなり深く、致命傷と言える。「もやしの力」では治すことができない。
モンスターは追ってこなかった。魔法使いは助からないと思ったのだろうか? でもそれが不幸中の幸いと言える。
傷に包帯を巻いた。転生した時にポケットの中に入っていたもの。まさかこんなに早く使うことになるなんて……。
どうにか、意識を取り戻してほしい…。もう夜中、致命傷にはあまり効果はないみたいだけど、この一帯に「超再生」のフィールドを展開して寝よう。
私は眠りについた。
|3日目|
朝がやってきた。魔法使いは少し動いたりしているし、息も正常、意識はないけど多分大丈夫‼
「よかった~…。」
つい声が出てしまった。でも、まだ熱が出ていたり、汗を掻いている。
どうにかこの近くで、熱を冷まさせられそうなものを探さないと…! あっと、その前に書置きを。
「起きてもしばらくは動かないでね。あと、ここにはモンスターはいないから安静にして待っててね」っと。
そしたら探しに行こ!