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ベンチ裏のシンデレラ~弱小暗黒球団でプロ野球選手をしている俺が「幼馴染」と「18歳の新社長」そして「ホームレス」と球団再建することになるとは夢にも思いませんでした⁉~

作者:古見政宗
翔太はこの日、4打数0安打4三振。



 バットに当てることすらできなかった。



 ロッカールームは重い空気に包まれ、選手たちは黙々と着替える。登米だけが、淡々と後輩たちに声をかけた。



「開幕戦で負けるのはいつものことだ。明日からだぞ」



 翔太はユニフォームを脱ぎながら、今日の試合を反芻していた。





 そのとき、スタジアムの外野席に設けられた簡易ステージで、異様な空気が流れた。スーツ姿の少女がマイクを手に立ち、観客に向かって話し始めたのだ。



 藤堂すずめ、18歳。仙台シルバーフォックスの新社長だ。黒のテーラードジャケットに、白いブラウス、タイトなスカート。長い黒髪は緩やかなウェーブで肩に落ち、鋭い目つきが場を支配する。





「皆様、今月から仙台シルバーフォックス球団の新社長に就任いたしました藤堂すずめです。本日は開幕戦にお越しいただき、ありがとうございます」



 彼女の声は、冷静で、どこか威厳を帯びていた。観客席のざわめきが一瞬静まる。



「我々は現在、厳しい状況にあります。資金難、施設の老朽化、そして成績の低迷。しかし、私はこのチームを必ず再生させます。皆様のご支援が必要です。共に、シルバーフォックスを再び輝かせましょう。本日は残念な試合でしたが引き続き応援のほどよろしくおねがいいたします。」



 すずめの言葉に、観客からまばらな拍手が起こる。だが、その中に冷ややかな声も混じる。



「なんでこんな若い女が新社長なんだよ! 球団潰す気か!」



 すずめは動じず、軽く微笑んだ。
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