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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【短編版】おばさん聖女、隣国で継母となる〜偽の聖女と追放された、私の方が本物だと今更気づいて土下座されても遅い。可愛い義理の息子と、イケメン皇帝から溺愛されてるので〜

作者: 茨木野

【☆★おしらせ★☆】


好評につき連載版はじめました!!

ページ下部にリンクがございます!!


または、以下のULRをコピーしてお使いください。


https://ncode.syosetu.com/n2184ix/


「セイコ・犀川さいかわ! おまえを国外追放とする!」


 ……はぁ? 国外追放、だと……?


 私の名前は犀川さいかわ 聖子せいこ

 2(ぴー)歳。


 ひょんなことから、異世界へと、聖女として召喚された。

 んで、異世界召喚から数年後。


 聖女として働いていた私に突きつけられたのは、【国外追放】。


「は? 何言ってるんすか……【バカデンス】殿下?」


 私に国外追放を言い渡した男……バカデンス殿下に向かって、にらみつけながら言う。


「いったいこの私が何をしたと?」

「本物の聖女である、【ブリコ・聖高原ひじりこうげん】に、嫌がらせをしていたのだろ!?」


 聖高原ひじりこうげん ブリコ。

 私と一緒に、聖女召喚された女だ。


 たしか10代だったと思う。

 ぶりっこ……もとい、ブリコはこのバカデンス王子の婚約者でもあった。


 つまり……。


「婚約者であり聖女でもある、ブリコを、私がいじめていた。だから、私を追い出すと? バカデンス王子?」

「そのとおりだ! ブリコは貴様と違って、本物の聖女! 祈るだけで結界を張り、怪我人をなおし、病魔を祓う……! 我が国にとって最重要人物だ! その彼女をいじめた罪は重い!」


 はぁ。

 何言ってんだこの節穴は……?


 ブリコがいつ、結界を張った?

 怪我人を治した?

 病魔を祓った?


 ……そもそも、いつ私がブリコをいじめたんだ?

 あ? ったく……。


「バカデンス王子、現場を実際に見たのかい? ブリコが聖女らしいことしてるとこ。そんで、私がブリコをいじめてるとこ」

「いや、見てない! 全てブリコから聞いた。セイコが自分をいじめるのだと!」


 はぁ、でしょうな。

 ほんっとバカな男。


「セイコ。貴様は聖女召喚に巻き込まれただけの一般人。聖なる力を持たぬ貴様を、この国に数年置いておいた恩義も忘れて、聖女をいじめた罪は重い! よって国外追放とする!」


 ……はぁ。

 なんだこいつ。


 一方的に私を異世界から呼び出しておいて、今度は追放?

 ふざけるなよ。


「悪いが拒否権はない。今日中に出て行かねば、貴様を罪人として扱う!」


 どうやら、お気に入りのぶりこをいじめたことで、私に対して、そうとうキレてるようだ。

 が、まあ……。


 キレてるのは、こっちもだ。

 勝手に呼び出して置いて? そのうえ『本物の聖女じゃない』からと放置し、最終的に出て行け、だぁ?


「何か言い残すことはあるか?」

「…………」


 あ゛ー……キレそう。

 だが、このバカにキレたところで、どうにもならないことは、この数年で良~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~く、知っている。


 こっちがどんだけ提案しても、その提案全て却下してきた。

 この国ヤバいよって言っても、聞く耳持たなかった。


 あげく、追放だ。

 ……もー、知らん!


「わかりましたよ、出て行くわ」


 私はきびすを返し、バカデンス王子の前から立ち去ろうとする。


「あ、そうそう、バカデンス殿下」


 くるっ、と私は振り返り、王子に言ってやる。


「私を追放するのって、【ユーノ】大臣には相談した?」

「? するわけないだろ。これはこのバカデンスが独断と偏見で決めたことだ」


 あーはいはい。

 そうですか、そうでしょうね。

 

 ユーノが知ったら、全力で止めてただろうし。

 うん。


「あともう一個。あのぶりっこ聖女のおつとめ、全部、私がやっていったって言ったんだけど。私がいなくなったら、おつとめできる人いなくなっちゃうけど、大丈夫かい?」


 聖女のおつとめ。

 聖女に課せられた仕事のことだ。


 結界。

 治癒。

 そして……浄化。これらを行えるのは、聖女の力を持つものだけ。


「はぁ? 何言ってるのだ、セイコ。おつとめはブリコがやっていたのだろう?」


 あー、だめだこりゃ。

 うん。


「わかった。んじゃ、忠告したからね。ばーい」


 私はバカデンス王子の元を去る。

 この国……終わったな……。


    ☆



 このファンタジー世界に、異世界召喚されたのが、3年前のことだ。

 地球でOLやっていた私は、突如として、見知らぬ場所へと連れてこられた。


 その際、私、犀川さいかわ聖子と一緒に、若い子が呼び出されていた。

 呼び出した魔法使いたちは、聖女が二人居ることに驚いていた。


 そこへ、バカデンス王子が堂々とやってきて、私ともう一人、ブリコを見て、うなずいた。


 そして、バカデンスはブリコのほうへ歩みより、手を取ってこういった。


「あなたが聖女だな?」


 と。

 何を持って聖女だと思ったんだろうか。

 根拠を言えよ根拠をって思ったんだが……。


「はいっ、あたしが聖女ですわ! 王子様!」


 って、ブリコがハッキリと答えやがった。

 自分が聖女である根拠を(以下略)。


 こうしてバカデンス王子はブリコを連れて出て行った。

 残された私は、召喚魔法使いを問い詰めて、事情を把握した。


 曰く。

・この世界は瘴気と呼ばれる毒ガスに悩まされてる。

・瘴気は魔物をうみ、人々を傷つける悪しき存在。

・瘴気を浄化できるのは、聖女だけ。

・聖女は瘴気発生が起こると、自動的に選ばれる仕組みになっている。


 だが、今年は瘴気が発生したのに、聖女が出てこなかった。

 そこで、いにしえの魔法使いが残した【聖女召喚魔法陣】を使い、異世界より聖女を呼び出した、らしい。


 聖女がブリコなら、じゃあ私はなに?


【恐らく召喚に巻き込まれたのだと思われます】

【そう、そうか。じゃあ元の世界に帰せよな?】

【そ、それは……】


 どうやら、呼び出すことはできるらしいが、元の世界に帰す術はないらしい。


 ……ぶち切れた私は城から出て行こうとした。

 しかし外は魔物がうろついていることもあって、危険だという。


 だからこの王都に留まって欲しい、と言われた。

 私は仕方なく、この国に留まってやることにしたのだった。


 で、3年後。

 いろいろやって、私は追い出されたってわけ。


 勝手に呼び出しておいて、最後はポイかよ。

 けっ。まあ、3年前と違って、今の私には【力】がある。


 この3年で身に付けた力があれば、ま、大丈夫でしょう。

 まずは働き口を見つけないとなぁ。


    ★


「で、どうしてこうなった……」


 私は現在、馬車に乗って、とある場所へと向かっていた。

 私の目の前には、銀髪のキレイな顔をした、お兄ちゃんが座っている。


「どうなされました、【薬の聖女】殿?」


 私のことを薬の聖女とかいう兄ちゃんの正体は、【アスベル=フォン=マデューカス】。


 私の居たゲータ・ニィガ王国の隣、マデューカス帝国にて、若くして皇帝の座に上り詰めた男。


 背は180センチ。

 細身、そしてイケメン皇帝。年齢は24だったかな。


 先代皇帝、つまりこの人の父親は早くして死んでしまい、現在アスベル様が帝位をついだ。


 で、頑張って今皇帝として働いてるらしい。


「ああ、いや、なんでもないですわ、アスベル皇帝陛下」

「聖女様、この若輩の身に敬語など不要でございます。どうか、アスベルとお呼びください」


 はいそうですかー、なーんて言えるかっての。

 相手は皇帝だもの。


「ところで、アスベルさ……」

「アスベルと、どうか」


 ずいっ、と顔を近づけるイケメン。

 ほんと顔整ってるな。


 アスベルと呼べと、無言の圧をかけてくる。

 これは従わないとヤバいな。


「あ、はい。えと……アスベル……さんは、私にどのようなご用で?」


 ここまでの経緯を説明しておこう。

 国外追放の憂き目にあった私は、さてこれからどうしようかと、自分ちにて荷物をまとめながら考えていた。


 そしたら、この皇帝陛下が私の家に来て、【着いてきて欲しい!】って急に言ってきた。


 断ろうとしたんだけど、何やら深刻な顔をしてたもので、私は着いていくことに了承した次第だ。


「我が息子の病を、治していただきたいのです」

「息子……」


「はい。私の息子、【アンチ】を、どうか薬の聖女様のお力で、治療していただきたいのです」


 話は、こうだ。

 アスベル様は数年前に結婚し、子供をひとりもうけた。


 しかし前妻はアンチ様を産んだあと、浮気して国外に逃げたらしい。

 で、残されたアンチ様は乳母に育ててもらっていた。


 が、アンチ様は生まれつきからだが弱かったらしい。

 国内の医者が治そうとしたけども、全員さじを投げた。


 医者がだめなら、もう聖女に頼るしかない。

 けれど聖女は現在、ゲータ・ニィガ王国にいる。


「バカデンス王子に、聖女を派遣していただきたいと頼んだのですが、断られてしまい……」

「なるほど、で、私にお鉢が回ってきたわけね」


「はい。薬の聖女様の、お噂はかねがねうかがっております。特に、ヒドラ事件でのあなた様のご活躍は、ここ帝国にも届いております」


 ヒドラ事件。

 去年、ヒドラって言う、毒のドラゴンが国内に出現したことがあった。


 そんとき、毒で瀕死状態の騎士達を、私の作った薬で治療した、という出来事があった。

 それがこのイケメン皇帝の耳に届いていたのだろう。


「薬の聖女様。どうか、我が息子を助けてください……大事な、ひとり息子なのです……どうか……」


 ここで申し出を断ることは、可能だ。

 でもね、できない。


 だって、小さな子が病気で苦しんでるんだろ?

 ほっとけるかって。


「頭を上げておくれよ、アスベル」

「それじゃあ!」

「ああ。この薬の聖女さんにお任せあれ」


    ☆



 さて、やってきたのは、ゲータ・ニィガ王国の隣、マデューカス帝国。

 この国は比較的新しい国だ。


 貴族制度をとっていない、完全実力主義な国なんだと。

 私は帝都カーターにある、帝城へとやってきた。


 で、だ。

 私は皇帝の息子の部屋へと訪れた。


「この子が、アンチ様……かい?」


 ベッドの上には小さな子が寝かされていた。

 父親似の銀髪。体は、ぽっきりおれてしまいそうなほど、細い。


 額には脂汗が浮かび、はぁはぁ……と荒い呼吸を繰り返してる。


「ちゃんと食べてるのかい? この子」

「……面目ないです、聖女様。この子は、母に捨てられて以降、心を閉ざしてしまい……私も含めて、誰にも心を開いてくれないのです」


 ……なんだいそりゃ。

 浮気で出て行ったクソ女に、捨てられたって思ってるのかい、この子。


 可哀想に……。

 あんたが気にすることじゃ、全くないのに……。


 うん。

 ほっとけないね。


「アンチ様。大丈夫、私が助けてやっから」


 私はステータスを開き、アイテムボックスを展開。


「それは……召喚者に与えられし、三種の神器が一つ、アイテムボックス!」


 この国に召喚されたものは、天より特別な才能を与えられる。

 その一つが、アイテムボックスだ。


 そう……召喚者特典ってやつ。

 で……。


 これは、あのブリコにはないものだ。

 つまり、まあ、そういうことなのだ。


 が、今はどうでも良い。


「私の作ったポーションを取り出して……っと」


 翡翠色の液体が入ってる、ポーション瓶。

 私が持つと、ぱぁ……! と輝き出す。


「ポーションが光り出した! 聖女様……これは一体……?」

「私の能力さ」


「能力?」

「ああ。私は【薬の聖女】。能力は、私が作った薬の効果を、超向上させる」


 つまり私が作り、飲ませると、通常のポーション以上の薬効を示すことができる。


 それは、アンチ様の口に、瓶を持っていく。


「ほれ、飲むんだ」

「………………やぁ」


 ……アンチ様は嫌がっている。

 薬が嫌なのか、生きるのが嫌だからか。


 それはわからない。

 でも……!


「飲みなさい!」


 びくっ、とアンチ様がびっくりして目を丸くする。


「元気になって、父ちゃんを安心させるんだよ!」


 この子がどうして薬を拒んだのか、それは私にはわからない。

 でも、この子の父親の気持ちはわかる。

 わざわざ隣国まで出向いて、お尋ね者である私にすがってきた。

 それくらい、この子を大事に思ってるってことだ。


 そんなに強く、生きて欲しいと望まれてるんだ。


「あんたは生きなきゃだめなんだ! 飲め!」

「…………」


 アンチ様は小さくうなずいて、瓶に口をつける。

 ぱぁ……! と彼の体が光り出す。


「アンチ!」

「大丈夫、薬が効いた証拠だよ」


 光が収まると……。


「…………からら、いたく……ない」

「アンチ!」


 アスベル様はアンチ様を抱き上げて、ぎゅっと抱きしめる。


「治ったのだな! 良かった……」

「おとー……さま……ごめん、なしゃい……」


 その謝罪の意味については、わからない。

 でも……その子の目からは、さっきまであった、生きることへの諦めはなかった。


「いいんだ。アンチ。おまえが元気になったのなら……」

「うん……とーたま、ごめんねぇ……」


 ぎゅっ、とアスベル様が息子を強く抱きしめる。

 うん、一件落着だね。


「ありが、とぉ~……かーたま」


 うんうん……うん?

 今、なんつった?


 かーたま?

 かあ……。


 母?


「申し訳ない、聖女殿。この子の母は、あなた様と同様、黒い髪をしていたのです」


 へー……じゃあそいつも、日本人だったかもしれないわけか。


「かあたまぁ……」


 いや、私母親じゃないんだが……。

 するとアスベル皇帝陛下が、私の前で跪く。


「薬の聖女様。お願いがございます。どうか……この子の母親になってほしいのです」

「…………………………は? 母親……って、ええ!? 皇帝の奥さんってことかい!?」


「はい。できれば……」

「いやいやいや。こんなオバさん、いやでしょ!?」


「そんなことはありません。あなたは美しい」

「う、美しいぃ!?」


 そんなこと誰からも言われたことなかったよ!


「聖女様。どうか……」

「かーたまぁ……」


 ……結局、私はこの子の継母となり、皇帝陛下の妻となって、この国をよりよい方向へ導いていくことになるのだが……。


 それはまた、別の話。


 


【★大切なお知らせ】


好評につき、連載版をスタートしました!


『【連載版】おばさん聖女、隣国で継母となる〜偽の聖女と追放された、私の方が本物だと今更気づいて土下座されても遅い。可愛い義理の息子と、イケメン皇帝から溺愛されてるので〜』


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― 新着の感想 ―
[一言] 土下座シーンが出てきてないなぁ タイトル解消キボンヌ それから、薬の聖女様の口調が、およそ20代らしくない これは、どう見ても70過ぎの高齢者だよ 内容は面白いから、ちょっとだけ、手直しをよ…
[一言] タイトル通りに終わってない。土下座は何処ですか? 主人公が20代の割に喋り方がおばあさんだとおもいます。 おばあさんが異世界転移する事で、外見20代にって設定を付け加えては? 色々設定だ…
[良い点] タイトルの土下座は何処へ? 20代でおばさんは失礼では?
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