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怪談

夏の怪談

作者: materialism

これで少しでも涼しくなってください。

これは私がまだ看護師だった頃のお話です。

私は一年目にしては珍しく手術室担当の看護師を務めておりました。


初めは皆様の邪魔にならないようにするだけで精一杯だったのですが、そのうち、ホワイトノイズというのでしょうか?

ザーッと雑音に混じって、かすかに声が聞こえてくることがありました。


「……電気メス……接続……」

その声が気になって電気メスのコードを確認すると、接続がしっかりされておらず金属部分が露出していました。

私がそれを指摘すると担当医の方から酷く感謝されて嬉しかったのを覚えています。


初めは一年目の私が手術室担当を務めることに、嫉妬されることや陰口を叩かれることもあったのですが、私があの微かな声を聞き行動するたびに、担当医の方や同僚の看護師から感謝されることが続き、

私が手術室担当の看護師を続けることに文句を言う人はいなくなっていきました。


ある日、私は無心でその微かな声に感謝しました。多分、それがいけなかったんだと思います。

いつもは微かにしか聞こえない雑音混じりの声が、この時ははっきり聞こえたのです。

「お前が邪魔しなければ・・・」

助けてくれていたと思っていたのは私の勘違いだったようでした。


それから私は怖くなり、手術室担当を外してもらいました。

それだけではなく、その病院自体も辞めてしまいました。


今から考えると私がいなくなることで助からなかった患者様がいたかもしれないとも思いますが

あの時は辞める以外の選択肢は思いつきませんでした。


今となっては私には、あの病院で医療ミスが

起きていないことを祈ることしかできません。

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