表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/43

16

 いきなり割って入ってきた声に驚いて、エラと同時に声をした方に振り返る。



 そこにはエラが持っている棒の持ち主らしい、クリス先輩が立っていた。



「エラ、こんなところで何をしているんだ?」



 クリス先輩はたまに見せる、笑っているようで笑っていない笑顔を携えながら、歩いてくる。


 どう言う訳か、先輩はエラに怒っているらしい。



「あら?クリス先輩。さっきぶりですね」



 そんな先輩の笑顔に気付いていないのか、エラは呑気に応える。


 エラ!どうしてそんなに呑気に挨拶が出来るの??


 エラの言葉に、先輩の笑顔が更に深くなったのを私は見逃さなかった。



「俺に面倒な報告を押してつけて、どこかに行ったかと思うと、こんなメモが置いてあった俺の気持ちが分かるか?」



 そう言って、先輩はメモを突き出した。



 メモに書かれている内容を読むと、『棒を借ります。止めないでください。 エラ』



「止めないでくださいって、何をするつもりだったんだ」


「すこぉーし、お仕置きするつもりだったの」


「お仕置きって、これは人を殴るための棒じゃない」

 

「いい感じの棒がこれしかなかったの。仕方ないじゃない」



 そう言って棒を振るエラの言葉に、先輩はハァーとため息をついた。



「で、誰にお仕置きするつもりだったんだ?」



ーーー



「どういうこと!?」



 さっきは話せなかった、エミリーとの裁判について話していると、エラが温室にあるテーブルをバンッと叩いて、椅子から立ち上がった。



「エラ、落ち着け」


 

 エラの声が温室に響き渡る。


 クリス先輩はエラに座るように言うが、エラは先輩の言葉をはねのける。



「落ち着いていられないわ!!どうして減刑の話が出てくるのよ!?!?」


「私も減刑なんてしたくないわ。だけど……、エミリー様は若いし、犯罪者にするには可哀想だと思っている人がいるみたい」


「そんなんじゃだめよ!!婚約者がいる男に言い寄って、マリベルを階段から突き落とすような女なのよ!?」



 エラの言葉に私も同意する。私としても今までのことと、私が受けた被害を考えたら、減刑になんてするつもりはない。



 傷害罪、接近禁止令と首都への立ち入り禁止を取り付けたいのだけど、エミリー側の弁護士が曲者であらゆる手を使って、エミリーの情状酌量を狙ってくるのだ。



「相手側の弁護士が、減刑の嘆願書を提出してきたの」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ