序章
滅びゆくときは、悲しいときですか?
生まれゆくときは、嬉しいときですか?
忙しない現代に、一瞬のゆとりを。
「芸術」とは、人の数だけ存在すると思う。
美しい花をみたとき、「芸術」だと感じる人もいれば、
迫力満点の絵画をみたとき、「芸術」だと感じる人もいるだろう。
そう、人の数だけ「芸術」は存在すると思う。
私が最も「芸術」だと感じるときは、「壊れゆくその瞬間」である。
例えば、美しい花の花弁が地表へ落ちていくときや、
巨大なビルが音を立てて壊れていくとき、
もっと言えば、ウイスキーの瓶が硬い地面に落ちて割れていく瞬間も、「芸術」であると感じる。
前置きが長くなったが、なぜこんなことを話したかというと、
私が商う、「芸術的」なバーが原因だろう。
古く、旧く、そして絵に描いたような、ありきたりな見た目をした、そんなバーだ。
ここには不思議な客が集まる。
どうしてかと言われても、こればかりは私にもわからない。
開店した当時から、その店の入口は様々な世界につながっており、
「選ばれた」客のみが入店してくるようだ。
ようだ、と曖昧な言い方をしたのは、私がコントロールしているわけではなく、
いつも客に話を聞くとそういった「ワケアリ」な客ばかりだからだ。
21世紀の、文明が発展した世界でなんともバカバカしいと思うだろうが、
どうか私の日記に付き合ってほしい。
今宵はどんな「芸術」が来客するだろうか。
はじめまして、竜胆アロエと申します。
小説をここまできちんと書くのは約15年ぶりです。
今、伝えたい思いをすべてこの創作に落とし込めればと思います。
そして、一人でも皆様のお心に響けば幸いです。
序章から意味がわからない、自分に酔ったものになりましたが、
耐え忍んで続きをみていただけますと幸いです。
明日の皆様に、ほんの少しのゆとりができますことをお祈りしております。